第193章:里香とのデート(7)
「きれいな星空よねぇ・・・。」
里香がつぶやく。
「そうだねぇ、里香ちゃん・・・。」
二人が今いるのは、『山田うどん』の駐車場ではなく、最初に行った『道場宿緑地公園』のジャリの駐車場。
もう、すっかり日は落ちて、東からは三日月が昇ってきている。
・・・目の前の木立ちの隙間から見えるのは、遠く小さく輝く、宇都宮市内の美しい夜景の一部。
ひんやりとした風が、ふたりの間を、夜空を吹きぬける。
「ねぇ、里香ちゃん・・・実はね、僕は・・・」
ここで茂は、里香に思い切った『告白』をする。
・・・中岡葉子と、柳原まゆみとの自分に関する、今日までの一連のエピソードである。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「・・・そっか。そんなことがあったの・・・。」
里香は、生々しく、普通の女性ならば聞くに堪えないような内容の『報告』を茂から受けても、予想に反して、静かで淡々とした反応を見せた。
「茂君も・・・本当に苦労してきたのね。つらかったでしょう・・・。よくがんばったわよね・・・。」
「里香ちゃん・・・そんな・・・。」
里香は、茂を責めたり軽蔑するどころか、彼の苦労や彼なりのがんばりを認め、ねぎらい・・・同情の言葉まで、彼に降り注いでくれたのだ。
「その『まゆみちゃん』・・・桑川さんとまた会えて、よかったわよね。いま、彼女、どうしてるの・・・?」
「うん。実はね・・・ちょうど一年ほど前に、桑川から招待状が僕に届いたんだ。彼ね、まゆちゃんと結婚したんだよ。でも僕はね、さっき言ったようないきさつもあってね・・・結婚式には出なかった。お祝い金だけを贈ったんだ。まゆちゃんね、いま、桑川の子供がおなかの中にいるんだって。きっと・・・まゆちゃんみたいに可愛い女の子じゃないかな・・・。」
「ううん。あたし、『桑川さん似』の元気な男の子だと思う。」
「・・・じゃ、賭けようか、里香ちゃん。いくらがいい・・・?」
「100円。」
「ははは。セコイなぁ、里香ちゃんったら。そんなんじゃ、賭けにならないじゃんか。」
「じゃあ・・・150円ならどう?」
「まったくもう、里香ちゃんったら。桑川とまゆちゃん、怒っちゃうゾ??」
そして話題は、いつしか『中岡葉子』のエピソードへと移ってゆくのだった・・・。




