第190章:里香とのデート(4)
「・・・はぁはぁ、やっと着いたね、里香ちゃん。」
「茂君、ちょっと運動不足よ。うふふ・・・。」
「そぉだね・・・ここんとこ、ほとんど運動してなかったから、ちょっと歩いただけで、コレだ。僕もトシかなぁ・・・。」
「まぁ、何言ってるのよ。あたしたち、まだ30代じゃない。おじいちゃんやおばあちゃんになるのは、まだ早いわよ。」
「ははは。まったくだ。 ・・・ところで、里香ちゃん。あのときは、本当にありがとう。僕ね、あのつらい日々を乗り越えられたのは、里香ちゃんが毎日毎日面会に来てくれて、差し入れだけじゃなくって、あたたかい・・・本当にあたたかくて優しい、心のこもった言葉の数々を、僕にくれたからなんだ。いまさらながら、なんてお礼を言っていいのか・・・。」
「・・・茂君。そんなに深く考えないで。あなたを愛しているなら・・・本当に愛しているのなら、当然のことじゃない。茂君のお母さんだってそうだし、あたしだって・・・。だから、そんな当たり前の行動に、そんなにあらたまって感謝しなくてもいいのよ。どんなに仕事がいそがしくたって、どんな遠くに茂君がいたって、心配なら・・・愛しているなら・・・茂君がつらいとき、困っているときに、わき目も振らず、かけつけるのが本当の恋人でしょ・・・? だって、あたし・・・。」
「里香ちゃん・・・里香・・・ちゃん・・・。」
茂と里香は、いつしか誰もいない公園の静かなベンチで、熱いくちづけを交わしていた。
そう・・・あの日・・・最後にふたりが会い、つらく切ない別れを味わった、『農大祭』での、あの日のように・・・。




