第180章:『S看護専門学校』(2)
いよいよ、看護学校の『二次面接』に挑む茂。
この日、会場には、40名ほどの受験生が詰めかけ・・・彼が見る限り、ほとんどが、高校卒業を間近に控えた若者、といった印象であった。
しかし、よくよく見てみれば、茂のように、30代とおぼしき、『中年受験生』もいた。
五十音順に座り、自分の面接の順番を待つ受験生たち。
・・・みな、当然のごとく、緊張の真っ只中・・・といった様子。
でも、なぜか茂はリラックスしていた。
今だから話すことができるが・・・実はこのとき茂は、『落とされたら落とされたで、別の道に進むだけさ。』などと不謹慎なことを考え、自分の目の前でガチガチに固まる受験生たちの様子を涼しい表情で観察しながら、面接のための「素案」を頭の中で練っていた。
実は彼は、この面接のための「自己訓練」「予行演習」といった、事前準備というものを、まったく行なわず、まさに「ぶっつけ本番」で、この緊張感あふれる会場に赴いたのだ。
しかし、そんな「不謹慎」な彼も、やがて自宅を出発前に母がかけてくれた言葉を思い起こし・・・さらに、自分が引き起こした、あの恥ずかしい事件の罪というものに対する反省・後悔・自戒という本来あるべき精神に立ち返り・・・気を引き締め直して、自分の順番を待つのであった。
(・・・茂なら・・・心根の優しいおまえなら、きっとこの仕事は向いているよ。困っている患者さんのために、誠心誠意、尽くしてあげておくれ・・・。)




