第176章:獄中の茂(11)
「・・・茂くん、少しやせたんじゃない?」
「そうだね・・・でもね、里香ちゃん。僕ね、一時期、すんごく太ってたんだよ。これね・・・実は、減量した結果なんだ。」
「そう・・・。でも、元気そうでよかった。」
「ありがとう、里香ちゃん。ところで・・・どうして僕がここにいることが・・・?」
「新聞・・・。」
「え・・・? 新聞!?」
「そうよ。新聞にね・・・茂くんのことが書いてあったの。だから、あたし、いてもたってもいられなくなっちゃって・・・茂くんのお母さんにも、電話してからここに来たのよ、あたし・・・。」
(そうだったのか、里香ちゃん・・・。君は、やはり『本物』だったんだね・・・。僕は・・・僕は、『選ぶべき人』を、完全に間違えてしまっていたらしい。ごめんよ、里香ちゃん・・・。)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ねぇ、茂くん・・・。ひとつ訊いてもいいかな・・・?」
「え・・・? なんだい、里香ちゃん。」
「美絵子ちゃん・・・あの、『峯岸美絵子ちゃん』とは、どうなったの・・・? いま、あの子はどこに・・・。」
そのとたん、茂の胸に、忘れかけていた、あの『悲しみ』・・・そして、なつかしい、そのあまりにもなつかしい、美絵子との想い出の数々が、まるで『天使』のようだった彼女の、茂に優しく・・・そして、限りなくあたたかくほほえむ、あの魅力的な笑顔の数々と共に、ふたたび彼の心に、ありありとよみがえり・・・彼の目には、とめどなく熱い涙が湧き出し・・・激しくほほを濡らすのだった・・・。




