第173章:獄中の茂(8)
茂は、取調べが終わった後・・・尋問官に頼み、母に葉子へ電話連絡してもらうよう、伝言を頼んだ。
尋問官によると、机の引き出しに入っていた、葉子からの手紙(= 内容は、『第144章 - 中岡葉子さんから、茂への手紙』で、すでに読者の皆様には、紹介済みですよネ。)に記載された、電話番号へ、茂の母がかけてくれたそうだ。
すると葉子は、その電話が茂からかかってきたものと勘違いし・・・自然、彼の母と話すことに・・・。
これは、茂が釈放されたずっとあとに、母から聞いた、二人の電話での会話の様子を再現したものである。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
葉子:「・・・しげちゃん?」
茂の母:「葉子さん・・・あなた、『中岡葉子さん』ね・・・?」
葉子:「あなたは・・・?」
茂の母:「私ね・・・茂の母よ。初めまして。」
葉子:「初めまして、お母さん。」
茂の母:「葉子さん・・・茂はね・・・茂はいまね・・・XX警察署にいるの。」
葉子:「えっ・・・?」
茂の母:「あの子ね・・・悪いことしちゃってね・・・いま、留置場にいるのよ。あと少ししたら、別の施設へ・・・最終的には、刑務所に半年間は行くかもしれないって・・・。」
葉子:「そうだったんですか・・・。」
茂の母:「知らなかったの・・・?」
葉子:「はい。ふだん、新聞もTVも見ないものですから・・・。」
茂の母:「そう・・・。ねぇ、葉子さん。あなた・・・茂の『彼女』なのよね。あの子が、そう言ってたわよ。」
葉子:「・・・はい。」
茂の母:「あの子が出てくるまで、待っていてくれるわよね、葉子さん。」
葉子:「ええ・・・。もちろんです。私、茂さんのこと・・・ずっと待っています。」
茂の母:「ありがとう。・・・ところで葉子さん・・・ぶしつけな質問で申し訳ないけれども・・・あなた、茂から、お金借りてるわよね・・・?」
葉子:「え・・・? は、はい。」
茂の母:「・・・いくら? いくら、借りてるの・・・?」
葉子:「えーーーと、80・・・たしか、80万円です。」
茂の母:「返せるあてはあるの・・・?」
葉子:「少しずつ、茂さんに返していきます・・・。」
茂の母:「そう・・・。無理しないでいいから、必ず返してね。・・・あれね、私が茂に持たせたお金なの。大切なお金なのよ・・・。実はね、葉子さん。あれは、私が茂に内緒で積み立てしている、茂のための『結婚資金』なのよ。ね・・・それが、どれほど大事なお金か、あなたにも分かるでしょう・・・?」
「・・・はい。」
「まぁ・・・その件は、もうこれでおしまい。ねぇ、葉子さん。よかったら、いつでもうちに遊びにいらっしゃい。茂も私も、大歓迎で、あなたが来るのを、待っているわ。じゃ、これでね、葉子さん・・・。」




