第166章:獄中の茂(1)
署に連行された茂。
さっそく、取調室での尋問が始まった。
「・・・じゃあ、これから『調書』取っからな。正直に答えるように。いいか、ウソはつくんじゃねえぞ。『偽証罪』のオマケもついちまうからな。」
茂は、自分の出身地、家族構成、年齢、生い立ち、これまでの職歴、今回の犯行に至った「動機」・・・こういった、もろもろの「基本事項」の確認を取られ・・・やがて、詳しい犯行の様子も、供述することに。
「・・・なるほどな。ここでおまえは、『陰茎』を露出して、女子高生に向かって、小便したと・・・これで間違いないんだな??」
「はい・・・。」
うなだれながら、尋問に素直に答える茂。
灰色の机と椅子、尋問の刑事が入力するパソコンの他は、いっさい無い、殺風景な、灰色一色の狭い部屋。
ふと彼が気づくと・・・向かって左の壁に架かっている、いわゆる「マジックミラー」越しに、誰かの人影が動くのが感じられた。
・・・『面通し』だ!!
刑事ドラマをよく視聴していた彼は、すぐに気づいた。
そのマジックミラーの向こう側には、おそらく、被害者の女子高生が、「犯人確認」のために呼ばれ、取調べを受ける茂の顔を、隣の部屋から確認しているのだろう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
取調べが終わると、彼は、自分の持ってきたパジャマに着替えるようにと命じられた。
ただし、このとき、パジャマのズボンにある、『しばりヒモ』を抜き取るように言われた。
・・・自殺防止のためである。
過去にはここで、隠し持ったヒモで首を吊る者もいたらしい。
その後、複数の写真と指紋、DNAサンプルまで採取され・・・彼は、留置場に入れられ、鍵をかけられた。
この留置場は・・・実は、房の外の警察官からは全部は見えないように、鉄格子の真ん中あたりが、プラスチック製の板で隠され、そこだけ外からは見えないようになっていた。
収容者の、最低限の「プライバシー」に配慮した構造であった。
部屋は、四畳ほどの広さで、奥にトイレ。
窓にも、鉄格子がはめられていた。
そして茂は、次の「取調べ」の時間が来るまで、畳にゴロンと横になり、自分の今日までの人生を・・・歩んできた道のりというものを、ぼんやり考えるのであった・・・。




