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第165章:茂の転落(2)

 それは、年が明けた、2006年1月の、或る月曜の早朝のこと。


 「・・・茂。いま、玄関先に警察が来てるんだけど・・・おまえ、なにかやったのかい・・・?」


 「えっ・・・? 警察だって??」


 この日、地元企業の『シャープ』へ派遣社員として出勤予定だった、茂。


 いまだ状況がつかめないまま・・・眠い目をこすりつつ、1階へ降りる。


 そこで彼が目にしたのは、玄関先に立つ、スーツ姿の複数の男たち・・・いや、一人だけ、中年の女性もいた。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 「・・・杉山茂さんですね? われわれは、XX警察署の者です。実は・・・あなたに裁判所から『逮捕状』が出ています。これから任意で、署まで同行願いたいのですが。」


 警察手帳を見せながら、茂にそう告げる、初老の男性。


 彼がパジャマを着替えて玄関を出ると・・・心配そうに、彼の母もついてきた。


 「・・・さあ、杉山さん。その車のうしろの席にどうぞ。」


 男たちに促され、車中におさまる茂。


 両脇を警官に挟まれる形で後部座席の真ん中に座り、運転席の警官から、逮捕状がよみあげられる。


 「・・・X時△△分。じゃ、『通常逮捕』すっからな。おい、ワッパかけてやれ。」


 茂の両手に、冷たく、重い手錠(てじょう)がかけられる。


 腰には・・・「腰縄(こしなわ)」も。



 「茂・・・おまえ・・・」


 「母さん・・・すまない・・・。」

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