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第164章:茂の転落(1)

 ・・・そんな状況のおり、彼の敬愛する歌手の『本口美奈子さん』が、白血病のため亡くなったというニュースが茂の下に飛び込んできた。


 2005年 11月6日のことである。


 茂が、かつて死ぬほど愛した『峯岸美絵子』は、非常に美奈子さんに似ていた。


 だから彼は・・・『中岡葉子』という、美絵子と「うり二つ」の女性が現れるまでは、この『美奈子さん』を、『美絵子の生まれ変わり」と思うことで、心の慰めにしていたのであった。


 そんな大切な美奈子さんが、37歳の若さで・・・それも、美絵子とまったく同じ病で、この世を去ったのだ。


 そうしたショックと、先に述べた、葉子との「摩擦」・・・彼女に対し芽生えてきた「不信感」。


 混乱し、しだいに自暴自棄になってゆく茂。


 ・・・そんな状況の中、彼は、とんでもない『ハレンチ事件』を起こすことになる。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 それは・・・某市の路上での出来事だった。


 ある女子高近くの、駅に近い繁華街でのこと。


 夕闇が迫り、路地に街灯の光が差すころ・・・茂は、電信柱に向かって、立ち小便をしていた。


 そこへ通りかかる、駅に向かう複数の学校帰りの女子高生の気配。


 少しアルコールをひっかけ、ほろ酔い気分で用を足していた彼だったが・・・女子高生の悲鳴に気づき、我に返った。


 「きゃー!! へんたーい!!」


 実は彼は、電信柱ではなく、いつのまにか路上中央に向かった方向に小便を垂れていたのだ。


 ・・・つまり、構図としては、女子高生たちに向け、自らのイチモツを出し・・・『ご開チン』して、小水を放っていたわけだ。


 一目散に逃げていく彼女たち。


 ・・・すると、彼の中に、なんともいえない「快感」というのか、「興奮」が生まれ、さらに、「高揚感(こうようかん)」まで生じてきてしまったのだった。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 『変態行為(へんたいこうい)』にめざめてしまった彼は・・・そうした犯行に及ぶ際には、事前に必ずカンチューハイなどのアルコールをひっかけ、ほろ酔い気分になってから、『ご開(かい)チン』あそばされていた。


 犯行現場は・・・いつも同じ、最初の現場付近である。


 (もう・・・俺の人生なんて、どうなったっていいや。いまが・・・いまがこうして楽しけりゃ・・・。)


 もはや茂には、被害者の女子高生たちの『迷惑』『恐怖感』『不快感』など、かえりみる余裕も罪悪感も、残されていなかった。


 夜ごと、自暴自棄で『変態行為』を繰り返す茂。


 ・・・しかし、そんな彼の異常な生活にも、やがて終わりのときが訪れることとなる・・・。

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