第161章:度重なるカネの無心・・・しかし、なぜか母は・・・(1)
茂は帰宅すると・・・しばし悩んだすえ、自分の母に、金の『無心』・・・つまり、『借金の申し込み』をした。
読者の皆様は、「バカヤロー!!」と激怒されるかもしれないが・・・茂は、自分の車を、自分の金で購入したことは、今現在まで、ただの一度も無い。
今の車、スズキの『ワゴンR』もそうであるが、1990年に初めて買ってもらった『イスズ ジェミニ:フルモデルチェンジバージョン(白:ディーゼルターボ)』も新車で買ってもらったし、次のカローラとダイハツのムーヴはおさがりで、タダでもらった。
彼の両親は、いま思い出しても、茂を「なめるように」可愛がり・・・小遣いが比較的少ない代わりに、服もすべて母が買ってきてくれたものを茂が着、自分で買ったことが、いままで、一度たりとも無い。
公務員を茂が辞めてしまったことで、一時期、険悪な関係になってしまった感はあるが・・・あいかわらず、そういった私生活の部分では、彼は50を過ぎたいまも、亡くなった父同様、母に依存し甘え続けている。
高校に入ってから、はじめて「落ちこぼれ」になるまでは、極めて成績優秀だった茂は、教育の面でも、小言一つ聞いたことがなかった。
茂の母はまた、彼がいつまでも「独身」で、女っ気がないことを心配し、たびたび「早く彼女を作って、身を固めておくれ。」と言っていた。
母はまた、亡くなった『峯岸美絵子』と茂の昔の間柄・関係というものを知らない。
それに起因する、彼の今現在の「心境」「本心」というものも。
・・・茂が、ひと言も、その一連のエピソードを、母に話したことが無かったからだ。
その一方彼は、『中岡葉子』のことを、ある時期母に話し、いつか結婚するつもりだ、と、自分の本心を打ち明けていた。
そんな母だったから、彼が今回持ってきた「中岡葉子のピンチ」の件を聞くと・・・何も言わず、なんと、ポンとキャッシュで『10万円』を渡してくれたのだ。
「母さん、ありがとう・・・。これで、僕の『葉子ちゃん』が助かるよ。あとで少しずつ返すからね。すまない・・・。」
「いいって。 ・・・茂。いつか、その『葉子』って人を、うちに連れてきな。おまえ・・・あの『遠山里香さん』と、別れちゃったんだから・・・。」
茂は、そんな優しい母に感謝し・・・あたたかい言葉に涙し、母がくれた『10万円』を抱いて、葉子の待つ『パラダイス キャンパス3号店』に向かうのであった。




