第158章:胸ときめく茂
寿司屋の駐車場で待つ茂。
約束の時間を少し過ぎたころ・・・待ちに待った葉子が姿を見せた。
いつも『パラダイス キャンパス』で茂に見せていた、店用の衣装とは違う、とてもラフな服装だった。
茂は、うきうきしていた。
なぜなら・・・理由はもう説明するまでもなかろう。
1993年に初めて会ってからというもの、実に12年後に、やっと実現した、葉子との『初デート』なのだ。
・・・これが、喜ばずにはいられようか?
(うれしい・・・。僕は、うれしいよ、葉子ちゃん。やっとここから・・・ここから、僕たちの本当の『関係』が始まるんだよね・・・! なんか、僕・・・とってもワクワクして、楽しい気分だよ・・・。)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「・・・しげちゃん、おいしい?」
葉子が、ニコニコしながら言う。
目の前で流れていく寿司ネタを前にして、テーブルに両ひじをつき、かたわらの茂をじっと見つめながら・・・。
「うん、とっても、おいしいよ、葉子ちゃん! 僕ね・・・今日は、すんごく幸せ。葉子ちゃんと食べる寿司は、いつも僕がひとりぼっちで食べてるときよりも、何十倍もおいしい・・・! だってさ、葉子ちゃんと、初めて、こうして外で食べるんだもの。 ・・・あ、でも、葉子ちゃんは、お寿司食べないのかい??」
「ええ。実はね、しげちゃん。あたし・・・いま、それほどおなかすいてないの。」
「そうなんだ・・・。残念だなぁ。せっかくこうやって、外食してるのに。ま・・・これから、いつだってこうして、またふたりで食べに来られるもんね。」
「うん。いっぱい食べてね、しげちゃん。」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・茂は、とても幸せだった。
なぜなら彼は、過去に自分が果たせなかった夢・・・亡くなった『峯岸美絵子』と、大人になってから、連れだって仲良く外食し、その後、遊園地なりでデートするという夢・・・もう、永遠に実現不可能と思われた、そんな彼の切なる願いを、こうして、彼女に生き写しの『中岡葉子』が、叶えてくれているような気がしたからだ。
彼は、そんな幸福な時間が永久に続けばいい・・・いつまでも続いてほしいと、心から願うのであった・・・。




