第140章:かの甘い日々のリスタート(1)
2000年3月24日(金曜日)。
翌日のこと。
この日茂は、『みずき』ではなく、『あや』を正式に指名した。
実はこのときすでに、葉子は、以前の『レミー』ではなく、過去、一番最初に使っていた『あや』に、源氏名を戻していたのだ。
あらためて、彼女から、『パラダイス キャンパス 70番 あや』の名刺を受け取った茂。
彼は、このとき葉子からもらった、この名刺を、令和のいま・・・今日このときも大切にし、自室に厳重に保管している。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「・・・しげちゃん!!」
「葉子ちゃん!!」
茂と葉子は、また再会し・・・以前とは違うシートではあったが、『ヨリ』を戻した。
「葉子ちゃん、僕・・・僕・・・会いたかったよ・・・。」
「あたしも・・・。しげちゃん・・・会いたかったっ!」
そう言って葉子は、茂に思い切り抱きついた。
茂も、そんな彼女をしっかりと抱きとめ、いとおしそうに、彼女の背中を・・・髪を優しくなでてあげた。
しばし無言で、うっとりと、見つめあう葉子と茂。
・・・いつしか、二人の目からは、大つぶの涙が。
そしてふたりは、これまでになかったような強いチカラで、またお互いの体を、ぎゅっと、強く・・・本当に強く抱きしめ合った。
失った時間を取り戻すかのように・・・。
それは・・・とても感動的な場面だった。
昔、本当に遠い昔に、同じような場面があったことを、読者の皆様はご存じかと思う。
・・・そう。
茂と峯岸美絵子の『再会シーン』である。
葉子は、このとき、美絵子とまったく同じような言い回しで、茂に・・・あの日の美絵子と同じように、それこそ「飛び込むように」、彼に抱きついた。
茂の胸にこのとき去来したものは・・・そのときの気持ち・・・もう、かすかではあったが、あのときの、切なくもなつかしい、「限りなき、この世の春」「永遠にも感じられる、時の魔法」だった・・・。




