↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

139/246

第138章:バレンタインデーの夜にちらつく、あの女性の影

 2000年2月14日。


 ・・・バレンタインデーのこの日。


 茂は、久しぶりに・・・本当に久しぶりに、『みずき』を指名し、『パラダイス キャンパス2号店』にいた。


 ずっとまゆみを指名して、小山市に通っていたので・・・もう、3年も彼女には会っていなかった。


 「・・・ごめんね、みずきちゃん。僕ね、糖尿病でずっと入院してたんだ。仕事も行けなかったから、お金が無くてね。やっと先月から、仕事復帰さ・・・。」


 まさかみずきに、「君じゃなくて、小山市の柳原まゆみに、『生尺』してもらってました」などという本当のことなど、言えるわけがない。


 『ウソも方便』とはよく言ったもので・・・幸い、みずきが、そんな茂を疑うことは無かった。


 (やっぱり、みずきちゃんだよなぁ・・・。ちゃんと僕が来ることまで予見して、こうして、特製のチョコレートまで用意してくれてたんだもんなぁ・・・。なんか、申し訳なくって、食べられないよ、コレ・・・。)


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 みずきと茂が並んで今座っているシートは・・・実は、以前、葉子と茂が、『至高の時』を味わっていた、まさに、その席であった。


 しかし茂はこの日、この店内に入った瞬間から、なにか、一種異様な空気を察知していた。


 みずきの『サービス』を受けた彼が、ぐったりとしてシートにもたれかかっていたとき・・・


 そのすぐ隣のシートに、若い男の客が座った。


 茂には初見の男のようだったが・・・その席についたホステス。


 ・・・どこかで聞いたことのあるような声だった。


 しかし、この晩の店内は、やけに照明が暗く、すぐ隣の席の人物さえも、判然としかねる状態だったのだ。


 洗面台で、茂の放出した『DNAたち』の残りを、水道の水で清めてから戻ってきた、みずき。


 ふと茂は、隣のホステスが誰なのか、彼女に直接尋ねてみようと考えたのだが・・・やめにした。


 3年以上も店に来なかったというのに、そんな不埒(ふらち)で薄情な自分でも、ひたすらけなげに待っていて、しかも、特製のバレンタインチョコまで用意してくれていたみずきに、こんなロマンティックなムードの中、他の嬢に関する質問など、恥ずかしげも無くぶつける資格などないと感じていたからだ。


 (でも・・・小声で話してるようだけど・・・間違いなくこれは、『彼女』。いや・・・そんなこと、どうだっていいじゃないか。今の僕には、『みずきちゃん』がいてくれるもんな。どうだっていいよ・・・どうだって・・・。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。