第134章:大島多賀子嬢(1)
茂には、この大田原支所時代に出会った女性のうち、特に忘れられない人がいる。
それが、『大島多賀子さん』である。
彼女は、元々、「テレフォン・アポインター」というバイトなどをしていた方だったが、この大田原支所の、農産物の「検査期間中」・・・つまり、秋から初冬にかけて、農産物検査のために、一時的に事務所からいなくなる、大部分の職員に代わる「電話番」などの業務を任される、「臨時職員」であった。
この方は、1998年と1999年の二回とも、この時期の支所長の斎藤氏以外いない、からっぽの支所を守ってくれていた。
当時茂は、28歳。
それよりも彼女は、少し若かった。
おせじにも「美人」とはいえず、一見して冷たい印象すら受ける、長身のセクシー・スリムの方だった。
この大島さんが、茂をどういうわけか気に入り、それとなく「合図」というのか、「そぶり」を見せてくるようになる。
令和の今と違い、けっこう、そういった「女心」というものが分かっていなかった、若き日の鈍い彼には、非常に気が強いこの女性を、どうしても受け入れる気がしなかった。
そこそこ気が強い葉子はともかく、美絵子も理沙も、とにかく茂には従順で、素直でおだやかな性格だったので(遠山里香ちゃんは除きますヨ)、付き合ったとしても、たぶん3日も持たんだろうと、茂本人も感じていたからだ。
そんな大島さんも、茂が自分の気持ちに気づいていながら、そ知らぬ顔で無視しているので腹を立て、先に述べた「高久係長」とくっつき、遠まわしに茂を「口撃」するようになる。
そうなると、ますます茂は彼女を避けるようになり・・・もはや、二人には、修復できないほど「ひび」が入ることに。
それでも大島さんは茂のことをあきらめきれず、2年続けて、この支所での「臨時職員」に応募し、こうして、1999年度も、茂を慕って、日々、告白の機会をうかがっていたのだ・・・。
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・・・ここで読者の皆様に、ちょっと先の話の「ネタばらし」をしてしまうが・・・
実は、大島さんが2度目に「臨時職員」として支所に来たときには、すでに『パラダイス キャンパス2号店』に、「レミー」こと葉子が戻ってきていて・・・前回、祭りで茂に顔写真を撮られた武村以外の、「二重スパイ」の鈴本睦雄や小山の小森係長などの「暗躍組」のメンバーが、すでに葉子を指名して、入り込んでいた。
そういった裏事情もあり、睦雄は、ことあるごとに、茂と大島さんをくっつけようと画策し、ふたりが交際するよう、手助けまで買って出て・・・「葉子の帰還」を茂に悟られないよう、陰で「努力」していたのである。
これはあとから分かったことであったのだが・・・睦雄は大島さんに、茂が風俗に行っていることを、あえてバラし、彼が『フェラチオ』が大好きな男だという、いやらしい情報まで彼女の耳に入れていた。
そのため彼女はそれを真に受けてしまい・・・それを「武器に」、茂を誘惑する作戦に出た。
とはいっても、直接彼女は茂に対し、「茂さんのを、あたしにしゃぶらせて」などという、下品でハレンチでストレートな誘惑法は採用しなかった。
それがあきらかになったのは、彼女のための『お別れ会』の席であった。




