第120章:風俗店『セブンスター』(2)
茂がその店に近づき・・・おそるおそる店のドアの前に立って、店内の音を聞こうと耳を済ませてみたが・・・彼のよく知る、『パラダイス キャンパス』のような、派手なユーロビートの流れている様子はない。
・・・どうやら、別系統の風俗店のようだ。
『セブンスター』
軒先の横長の看板に、そう文言が出ている。
これが、この店の店名らしい。
そして彼は・・・この小さめの店舗に、ある種、異様な「予感」がして、足を踏み入れる決心をしたのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
入店した彼は、入場料の数千円を払うと・・・案内されるまま、奥の暗い席に通された。
店内には、ボリュームをおさえる感じで、日本のポップスが、地味に流れている。
「・・・いらっしゃいませ。お客様・・・あなたは、ラッキーですよ。といいますのはねぇ、本日、『口開け』の子・・・それは美人の可愛い娘を、あなた様に提供しようと・・・こういうわけなんでございますよ、ハイ。」
「え・・・? 『口開け』って、何です??」
「つまりですね・・・お客さんが初めてのお相手・・・風俗店に初めて今日デビューする、『新人』なんでございますよ。お客さんのような優しそうな方なら、間違いなく、あの子を『女』にしてさしあげられる・・・そのように思った次第でして・・・。」
「そんなぁ・・・なにも、そこまでしなくても・・・。」
「いやいや。あたしには分かります。この目に狂いはないですぜ、ダンナ。この厳しい業界を長く渡り歩いてきた、この『宮本』の目を、あなどらないでほしいものですな。さぁ・・・では、来ましたぜ、その可愛い娘が! お願いしますよ、社長!」
彼の威勢のいい『口上』に、いつの間にか聞き惚れてしまった茂の目に入ってきたのは・・・なつかしい、あの女の子の姿だった。




