第114章:支所での数少ない、貴重な楽しい思い出
1996年度の「大田原支所」での、おだやかで充実した一年。
茂は、失った時間を取り戻すように、仕事にゲームに、読書に、ボディビルのトレーニングに励んだ。
ただし・・・トレーニングを行なう一方、彼は「食事」にも、悪い形でめざめてしまい・・・以前は食さなかった「マクドナルド」のハンバーガーなどの、いわゆるジャンク・フードも口にするようになる。
そのため彼の、スマートで引き締まった体型が、徐々に崩れてゆき・・・気がつくと、みるも無残な「肥満体」に変貌していた。
この体型が4年間続いたことで、茂は、父方の親戚をほぼ全員葬った恐ろしい病・・・すなわち「糖尿病」をわずらうこととなる。
いくら「ボディビル」をやっていても、彼の筋肉は、それだけの「糖質」を溜め込む容量も能力も、もう、当の昔に限界を超えてしまっていたのだ・・・。
ひとえに、「甘い食生活だった」・・・それだけのことである。
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また、この年度の思い出で、彼が特に印象に残っているのが、飲み会の一次会のあとにあった「二次会」であった。
前年度までの、U市本所での飲み会というものは・・・青年部のそれも含め、茂にはとてもつらく、いまわしい、いわゆる「説教飲み会」であった。
一次会でも続いた理不尽な「お説教」が、二次会の、狭い宿泊部屋に場所を移してからも続く、夜通しの「お説教会」・・・。
読者の皆様のうち、いったい何人の方が、このときの「説教飲み会」をじっと我慢して、朝まで一睡もせずに乗り切ることができるだろうか・・・そのように感じてしまうほど、エゲツなく、下品で幼稚極まりない、農水省特有の飲み会・・・いや、「キXXイ会」の数々であった。
ところが、大田原支所に来てからの茂は、一次会においても、上司や先輩から、「俺に勺をしろ!」などと脅されたことはなかったし、説教をくれられることもなかった。
そして「二次会」では・・・先に述べた『河和課長』のいきつけのスナックに課長の完全なおごりで全員で立ち寄り、さらに、課長が個人的にひいきにしていた、別のスナックにも何軒もハシゴし・・・ホステスとカラオケをやってデュエットしたり、彼女たちにとっておきの「ギャグ」を披露してみたり、店の唐揚げをつまんだり、「ポッキー」や「おせんべい」などの出された菓子をポリポリ食ったり・・・と、それはワクワクした楽しい時間を茂にプレゼントしてくれた。
飲み屋街として県北で有名な、T県大田原市の「親不孝通り」での、茂が今でも大切にしている、7年間の食糧事務所生活の中での、数少ない、貴重な楽しい思い出であった。




