第108章:ナレーターが語る、さかのぼったエピソード(11)
・・・1996年2月25日(日曜日・先勝)。
この日、食糧事務所で、ひとつのイベントがあった。
『お米フェア』である。
これは、毎年この組織で、この時期の日曜に開催される恒例行事で・・・「米麦・大豆・ソバ」に関する数々の資料を展示したり、わた菓子や、手作りのポップコーン、おでん、ヤキソバ、たこ焼きなどのさまざまな出店も並び、ダイコン・白菜・ネギといった農産物を破格の値段で販売したり・・・さらに、有名な料理研究家や落語家を招いて『講演会』があったりで、毎回多くの客が集まる、人気の豪華なイベントとなっていたのだった。
茂自身も、青のハッピ姿で、自分の担当する「資料展示」の対応に追われていた。
例の武村と礒は、いつもは駐車場となっている広場で、米の国営検査についての説明を一般客に行なう部署で、やはり、青ハッピ姿で対応していた。
祭りは順調に進み・・・お客さんも、興味津々で資料の展示物を眺めたり、出店のおでんなどを口にしながら、思い思いの時間を、ガヤガヤと過ごしていた。
親子連れ、カップル、農家の方らしき作業着姿で訪れるおじいちゃん・・・さまざまな方たちが、このイベントを笑顔楽しんでくれていた。
・・・そのうちに、会場の南のガレージの方で、「ドカン!」と大きな破裂音がし・・・会場が拍手と大歓声に包まれた。
「手作りポップコーン」の出来上がり第1号だ。
それが無料で客に配られ始める。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・こうして、お客が祭りを楽しむさなか・・・茂は、いよいよ、先日、綿密に打ち合わせた、大野氏との『作戦・第2弾』を、実行に移しつつあった。




