第99章:ナレーターが語る、さかのぼったエピソード(2)
深沢氏に教えてもらった足で、さっそく『2号店』に向かった茂。
はやる気持ちを抑え・・・久々に会う、いとしい存在に胸の鼓動を高鳴らせながら、彼は喜び勇んで歩を進める。
・・・やがて彼は、待望の目的地に到着した。
この店舗もまた、『1号店』同様、U駅の比較的近くに立地していた。
ここは、さまざまなテナントが混在する、いわゆる「雑居ビル」であったが・・・『パラダイス キャンパス』自体は、このビルの1階フロアで営業していた。
そして、まず客は、開店前には4階の待合室にエレベーターで上がり、フロアに並べられた、大きく「コの字」につながったソファで待たされるのだ。
当時この広いフロアには、同時にホステスのロッカールームも併設し・・・開店前にここに入ると、出勤してくる女の子たちが、客の目の前を歩いて横切り、奥の「ロッカールーム」へ消えてゆく様子を見ることが出来たのだった。
そして、「開店時間」になると客たちは、同じ狭いエレベーターで1階に下がり、エレベーターのドアが開くと、ユーロビートの激しい音色と、並んで拍手するホステスの列に迎えられる・・・という流れだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・この日茂は、『1号店』にて遊んだあと、この『2号店』に向かったので、少々遅い時間での入店となった。
それで彼は、待ち時間を持たずに、そのまま、もう営業している店内に入れたのだ。
入った彼が目にしたのは・・・『1号店』とは、また違った間取りの広い部屋だった。
入り口近くには、熱帯魚を飼っている大きなサイズの水槽が設置されていて・・・そのそばの客が、若いホステスに『サービス』を受けている様子が、水槽の照明の間接的な明るさの影響で、入り口からも丸見えになっていた。
(・・・この席だけは、いやだなぁ。これじゃ、自分の『モノ』も、あちこちから見られちゃうじゃないか・・・。)
そんなくだらないことを考えながら茂は、入り口からやや奥の、暗い席に案内された。
・・・どうやらこの席が、「あや」・・・いや、「レミー」の指名客専用の席らしい。
そわそわと落ち着かない様子でしばらく待っていると、ペンライトを持った男子店員に続いて、なつかしい女性が、茂の前に現れた。




