第5話 俺と境遇の似てる主人公
誤字報告ありがとうございますm(_ _)m
修正致しました。
美少女恋愛ゲーム『恋と魔法のハピネスストーリー』
の攻略対象は隠しキャラを除いて4人。
それぞれのルートに入るには、どの選択クラスに入るかで大きく変わる。
リリアの『薬学クラス』 そして『剣術クラス』『魔法学クラス』に1人ずつ。
そして最高難易度のエリザベートは誰も入らない『魔法具クラス』に入り、一定の評価を受けて『生徒会』に勧誘される事が必要条件になる。
(つまりヴィルティスがどの選択クラスに入るのかが重要だな)
因みにエリザベート以外は選択クラスが別でも攻略する事は可能だが、その分難易度が上がってしまうので、縛りプレイとかする以外ではやるプレイヤーは居ないだろう。
「リリア嬢は薬学クラスに入るんだよね?」
「もちろんです!その為に入学しましたから、
ヴィルティス様は決まっているのですか?」
お昼を食べる為に入った食堂で、横に並んで座ったヴィルティスに聞かれて答えた後、俺も質問を返した。
(さぁどう答える?)
若干緊張しながら待っていると「まだ考え中」と返ってきて、無意識に入れていた肩の力を抜く。
(と言う事は俺に好意を持ってる訳じゃなさそうだな)
安堵したのと同時に、少し残念に思ってしまった気持ちには蓋をして食事を再開する。
(入学してからずっと色んな事考え過ぎてるよなぁ、もうちょっと気楽に構えても良いかもな)
別にヴィルティスが嫌いな訳じゃない、ただ男と恋愛したくないだけで、ゲームを通して彼の生い立ちを知る者としては、寧ろ親近感があるんだよな。
(友達としてなら仲良くなれるかも…ん?)
そんな事を思っていると、ふと視線を感じて周りを確認する。
(何だ?皆ヴィルティスを見てるのか?)
チラチラとヴィルティスに送られる視線、好意的な感じじゃなくて、珍しい物を見るような好奇的な感じだ。
(あ、そうか瞳の色か)
この国では珍しい銀色の瞳、それに加えてゴシップ好きな貴族の間では彼の産まれを知ってる人達だろうか、ヒソヒソしながらこっちを見ている。
(言いたい事があるならヒソヒソせずにハッキリ言えよな、気ぃ悪いわ)
確かにゲーム中で主人公が周りから敬遠されてる描写はあったけど、現実だとこうも嫌な感じなのか、ヴィルティスも視線に気付いて気不味そうな顔してるし。
(よしっ)
「ヴィルティス様、食べ終わりましたから出ましょう!」
「えっ?」
残りの食事を(あまり令嬢らしくないが)ババッと食べ終わり、ヴィルティスの分もさっと片付けてから食堂を出るように促す。
「すまない多少は覚悟してたけど、思ってた以上に周りが俺の事を知ってたみたいだ…俺のせいで君にも嫌な思いをさせてしまった」
食堂を出て暫く歩いてからヴィルティスが口を開く、確かに入学して1日目でここまで噂は流れないだろう、だとするとヴィルティスの『義兄達』が社交界で広めたんだろうな。
バールナー辺境伯家の三男は妾の子、父親が庶民の女性に手を出し産まれたのがヴィルティスだ。
ヴィルティスが10歳の時に母が逝去し、バールナー辺境伯家に迎え入れられたが、本邸に居る義兄達や義母や使用人は、珍しい銀色の瞳の妾の子を忌み嫌った。
父親も特に彼をフォローしないで、両親は義兄たちを優遇しヴィルティスは厄介者扱い、挙句の果てに『魔法学園に入ったら、そこで誰でも良いから婿入り相手を探して来い』って実質の家を出ろ宣言をされ、そして魔法学園へ入学し、様々なヒロイン達と出会う。
(ってのがヴィルティスの生い立ちなんだが、恋愛ゲームの主人公にしちゃ過酷過ぎじゃね!?)
ストーリー作家は恋愛ゲームの主人公に親でも殺されたんか?
(でもこれが、俺がヴィルティスに親近感を持つ理由なんだよな)
流石に俺は妾の子ではないけど、優遇される兄と家族から見放さる生い立ちはちょっと似てるんだよな。
申し訳無さそうに付いてくるヴィルティスを振り返る。
「謝らないでくださいヴィルティス様、貴方は何も悪い事はしてないでしょう?
寧ろヒソヒソ噂話をしたり、不躾に見てくる人達の方が失礼です!」
ハッキリ言ってやるとヴィルティスの表情が少しだけ和らぐ。
「君は…気にならないのかい?俺のこの瞳とか…」
「確かに珍しいですけど、銀色って綺麗だし格好良くて、私は好きです!」
瞳に続いて自分の出自まで言いそうになったので遮ってやる。
敢えて自分で話して傷付く事もないだろう。
……俺今なんて言った?
バッとヴィルティスを見ると驚いた顔をしているが、耳が赤くなってる。
(何で赤くなるんだよ!違うからな!?)
「リリア嬢、今なんて…?」
「ちがっ…違うんです!そういう意味での好きではなくって、ほらっ銀細工とか綺麗じゃないですか、それで」
「うん分かってる!分かってるから落ち着いて!」
ヴィルティスにそう言われ、スーハーと深く息をして自分を落ち着かせる。
(取り乱してしまった…でも実際に銀色って格好良いし)
銀の十字架ネックレスとか、お土産屋さんで見かける龍が剣に巻き付いたキーホルダーとか、少年時代に一度は憧れるじゃん?
(だからヴィルティスにも自分の瞳を嫌いにならないで欲しいと思うけど、産まれてからずっと好奇な目で見られて育ったから難しいよな、でも…)
「ヴィルティス様」
「うん?」
「私がその瞳の色は素敵だと思うのは事実なので、それだけは覚えておいて下さいね」
1人ぐらい肯定する人が居たって良いだろう?
ほらっヴィルティスも嬉しそうじゃん!
……あれ?距離近くね?
突然近付いた距離に戸惑っているとスッと両手を握られ、顔を覗き込まれる。
(えっ?)
「ありがとう、リリア嬢に出会えて良かった」
嬉しそうな笑顔でそう言われ、今度はこっちが耳だけじゃなく顔まで赤くなるのが分かった。
(やっばいコレは駄目だ!このままじゃまた変な事を口走っちまう!)
「そそそ…それは良かったデス…あの私、先生に提出する物があるので!」
どもりながら手を離して欲しいと暗に伝えると、理解してくれたのか直ぐに離してくれた。
「分かった、気を付けてね」
「はい、失礼します」
本当は走り出したいけど(ご令嬢が廊下をダッシュは駄目だろう)と理性で抑えながらその場を離れる。
(あぁ~!恥ずい!! 何やってんだよ俺)
着く頃には顔の火照りが落ち着いてますようにと願いながら、職員室を目指した。
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昼食編で終わったけど、関係性はちょっと進展!




