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美少女恋愛ゲームに異世界転生したのに攻略対象(チョロイン)だったんだが!?  作者: 萌奈菓


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第15話 『薬学クラス』と加護の発現

「薬草の種類は多岐にわかれていて、正しい配合を行わなければ効果を得られないどころか人体に有毒なポーションが出来てしまいます」


遂に始まった選択クラス。

『薬学クラス』である俺とヴィルティスは、俺達のクラスの担任でもあるアンジー先生の座学を受けている。


ゲームにも勿論出てくるポーションは主に4つ。

怪我を治す『治癒のポーション』

魔力を回復する『魔力回復ポーション』

毒を治す『解毒ポーション』

麻痺を治す『麻痺解除ポーション』


これらは使われる薬草と薬師の腕により、低級、中級、上級とグレードが分かれる。


(ゲームだと熟練度を上げる事で上級を作れるようになるけど、現実だと鍛錬を重ねて経験を積んでいくんだろうな)


まぁ1年生では中級でも難しいと言われているから道程は遠いなと思いながら、板書をノートに写していった。



「では、本日よりポーションの調合を実際にやってみましょう」


あれから何回か座学を受けた後、いよいよ実技授業でポーションの調合を学ぶ事になった。


先生があらかじめ用意してくれていた、低級の治癒のポーション用の薬草を受け取り、授業で説明された手順通りに、すり潰してお湯で煮詰めて()した薬液にポーション専用の杖(見た目はほぼマドラー)を差し入れて、魔力を注ぐとポーションの完成だ。


(これ、自分の属性魔法が出ちゃうと、不純物が入った判定で一発でパーになって失敗になるんだよな)


「あっ!失敗した!」


ヴィルティスの声がした方を見ると、火属性の魔法が出でしまったらしく、容器に入った薬液がゴボゴボと再沸騰して黒く濁ってしまっている。


他の生徒も土が入ったり、風で撒き散らしたりで失敗者が続出してて俺も緊張してしまう。


(思ってたより魔力だけを注ぐって難しそうだな)


俺も集中して魔力を注ぐけど、やっぱり難しくて水属性が入ってしまい、ゴポッて音と共に容器の水位が上がってしまった。


「あ〜私も失敗してしまいました、薬液の濃度が薄まってしまいましたね」


まぁ最初っから上手くは行かないよなと、失敗した薬液を廃棄しようとしたら先生に止められた。


「ちょっと待ってサルヴィーニさん、その薬液は一体!?」

「あっアンジー先生、水の属性魔法が入って失敗してしまったので廃棄しようと…」

「いえ、これは成功…もしくはそれ以上のポーションが出来たのかも知れないわ!!」


(えっ?これ成功なの!? 薬液薄まっちゃってるけど?)


まぁ見た目は俺の魔法が入ったせいでキラキラはしてるけど、工程としては失敗の筈だ。


(それに、成功以上って?)


先生が俺の作った薬液を鑑定用の魔法具だと思われるルーペで確認し始めて、周りの生徒達も「何だ?」「何々?」と注目しだした。


(これ、マズくないか?校庭で人と距離を取ってた魔法の授業とは違って、教室内では皆から注目されちゃうって!)


何か弁明した方が良いのかと焦っていると、鑑定し終えた先生が、興奮しながら俺の肩をガッシリと掴んだ。


「サルヴィーニさん!」

「はっ、はい!」

「凄いわ!低級用の薬草しか使ってない上に、貴女の水属性の魔法が入って本来なら失敗作になる筈なのに、上級ポーションが出来上がっているのよ!」


(えぇっ?どう言う事!? いやまさか、これ(・・)が俺の加護!?)


ポーションのグレードを上げる加護なのか!?


(って言うか、これ他の生徒達の前で話しても大丈夫!?)


「先生、アンジー先生!」

「先生、他の生徒達も戸惑ってますのでこれ以上は…」


俺と一緒にヴィルティスが、ゴードン先生の時みたいに止めようとしてくれているけど、アンジー先生は止まらなかった。


「ゴードン先生からサルヴィーニさんは加護持ちではないかとお聞きしていたけど、まさかポーションに関する加護だったなんて!『薬学クラス』に入ってくれたのも運命なのかしら!?」


(あぁもう!全部言うじゃん!)


ゴードン先生、アンジー先生に俺の事伝えてたのかぁ、でも確かに生徒の情報を共有するのって大事だよね。


そんな明後日の方向に思考を飛ばしそうになりながらも、先生の肩を揺すって熱弁を止める。


「先生、落ち着いて下さい!」

「あっあら、ごめんなさい少し興奮してしまったみたいね」


(いえ全然少しじゃないですよ、ってか)


皆めっちゃこっち見てる〜!


「さっき加護って言ってたよな?」

「どう言う事なの?リリア様が加護持ちなのですか?」


ざわざわと騒ぎ出す生徒達を横目に、先生を真っ正面から見つめて、何とかこの状況を収めてくれと無言で抗議をした。



「はぁ〜…」


休日に 部屋に一人で 憂鬱だ


季語も情緒も完全に無視した俳句が出来上がるぐらいには、気持ちもマシになってきたけど…。


(あれから大変だったなぁ)


あの後、アンジー先生が『もしかしたら加護じゃなくて、イレギュラーが起こっただけかも知れない』とその場にいた生徒達に説明してくれたけど、その直前まで『加護だ』と先生自身が言ってしまっていた為、言い訳くさくなってしまい、結局俺が加護持ちである可能性が高いと噂が広まってしまった。


「まぁバレるもの時間の問題だとは覚悟してたけど、思ってたより早かったなぁ」


本当なら今日はヴィルティスにお茶を淹れる約束だったけど、全然知らない生徒達に『加護持ちなのですか?』とか声をかけられてまくって、疲弊した俺に気を遣って『落ち着いてからにしよう』と先延ばしにしてくれたんだけど。


(せっかくアイリスに付き合ってもらって練習したのに残念だな)


…これはアレだよ?ヴィルティスとお茶が出来ないのが残念って事じゃなくって、練習の成果が見せられないのが残念って意味だから、それ以外の意味はないから。


うんうんと自分を納得されるけど、もう1ヶ月以上このチョロイン属性に言い訳したり、否定し続けてるのにも限界を感じてしまう。


(ヴィルティスに対する気持ちは、『リリア』のチョロイン属性によるものなのか、それとも、もう俺自身が思っている気持ちなのかも分からなくなってきな)


でも、怖い。

心は男というのもあって、このまま認めてしまうのにはまだ勇気が足りない。


(だから今は、チョロイン属性のせいにしておこう)


「あ〜!駄目だ、1人だと思考が変な所に行ってしまう!」


(考える事を変えよう!例えば俺の加護が、他の3つに比べて地味だとか?)


いやポーションのグレードを上げる事はかなり凄い事だけど、何かしらの危機を救うような凄さを感じないんだよ。


「国中で深刻なポーション不足になるか、ポーションのグレードを上げるのとは違う加護なのかの2択だろうな」


そしてこれから大変な事になりそうなのが、先生達が「ティアメル教会に報告する」と言ってた事だ。


(あのアホ女神を信仰してる教会だろ?何かすんごい不安なんだよなぁ)


確かに女神の加護を持つ者が現れたら、その女神を主としている所に報告するのは自然の流れだと思うけど…。


「こう言う手合いの教会って、裏に何かあるのか勘繰ってしまうのはゲームや漫画の読み過ぎかね?」


せめてまともな人達でありますようにと、そう願わずにはいられなかった。


いつも読んで頂きありがとうございます!


遂にバレた加護。

タイトルは『この学園の先生達めっちゃ喋るじゃん』とどっちにしようか迷いました。

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