第13話 今、俺が出来る事を
(学園案内の時に1回だけ来たけど、やっぱり壮観だなぁ!)
放課後、女神の加護について詳しく知る為にヴィルティスと図書館にやって来た。
3階建てで吹き抜けの受付けがあるホールに、壁一面や本棚にびっしりと収められている大量の本、自習スペースも完備させていて、どれもデザインがファンタジー味溢れていて興奮してしまう。
(もっと色々見て回りたいけど、今は目的があるからまた今度だな)
受付けに居る司書の人に、女神や加護関係の本の事を聞くと、歴史関連が置いてある場所を教えてくれた。
(魔法関連だと思ってたら歴史なんだ、でもそうか、加護持ちが数百年に一人とかだと歴史になっちゃうのか)
ヴィルティスと一緒に教えてもらった2階の一角にある歴史のコーナーに着いて、各々探し始めた。
(歴史って一括りにしてもいっぱいあるなぁ…
え〜っと女神と加護、女神と加護……ん?何だこれ?)
パッと目についた、タイトルに女神の文字が書かれている本を1冊手に取る。
『この世界の成り立ち〜創世の女神様〜』
(何かピンポイントな本見付けたぁ!)
創世の女神様ってあのアホ女神の事だよな!?
アイツここではそんな大層な名前で呼ばれてんの!?
(何と言うか、創造したゲームの世界に自分の存在を入れんなよ!! おかげで何か変な事になりそうなんだわ!)
アイツの存在、そして創られたこの世界がどう言うものなのかを知る為にも、この本は借りる事にしよう。
「あっリリア、加護持ちに関する本はこれで良さそうかな?」
本棚からひょいっと現れたヴィルティスが持っていたのは『加護持ちの存在とその力の記録』だ。
「ありがとございます、私も女神様の本を見付けましたよ」
さっき取った本をヴィルティスに見せると『そっちなんだ』とちょっと予想外な反応をされた。
「えっ?そっちとは?」
「う〜んと……あった、これこれ」
スッとヴィルティスが本棚から取って渡してくれたのは……。
『女神信仰と教会の歴史』
「しっ…信仰!?」
「リリア声っ」
シーとジェスチャーされ慌てて手で口を塞ぐ。
「すっ…すみません」
「いや、周りに人がいなくて良かったよ、でもそんなに驚く事かな?女神信仰は小さい頃から聞かされる話しだと思うけど」
(確かに『リリアの記憶』にあるわ…でも幼少期の記憶なんてパッと思い出せないしアホ女神=信仰対象って結び付かないんだよ!)
ってかアイツ信仰されてる上に教会で祀られてるの?
とんでもねぇな!
「女神様に関する事なら、教会の本も詳しく書かれてるんじゃないかな?」
「あっありがとございます、小さい頃にお聞きしただけなので少し驚いてしまいましたけど、再認識の為にこちらの本もお借りしますね」
この図書館で借りられるのは10冊までだけど、要点さえ分かれば良いので、基本的だと思われるこの3冊を借りる事にした。
「よっしゃ!読むぞ〜!」
晩ごはんを食べ後、自室にて借りてきた本を読み始めたけど3冊の割りに量があって、しかも昼間は授業があるから、読破するまで2日かかってしまった。
大体をまとめると、この世界は創世の女神『ティアメル』によって創られたとされており、4つの元素『土により大地を形成し』『水により生命の源である海を満たし』『風により鳥や植物の種を遠くへ運び』『火によって人々に知恵を与えた』それが世界の始まりである。
そして人々は女神が与えた4つの元素を、4つの魔法の属性として扱えるようになり、極稀にだが通常とは違う魔法を発現させる者が現れた。
『その者の命が尽きるまで決して消える事がなく、極寒の地を暖め続けた灯火』
『魔法が飛び交う戦場に一陣の風が巻き起こり、全ての魔法を吹き飛ばした烈風』
『土壌が痩せて不毛の大地となった故郷に肥沃な土を与えた沃土』
その力を持つ者を『加護持ち』と呼んたが、しかし人々が記録を付け出してからの数千年、未だに『水属性の加護持ち』は現れていない。
そして王都に総本山を構える『ティアメル教会』は創世の女神ティアメルを崇めており、女神を信仰する者を温かく迎え入れ、更に女神ティアメルの素晴らしさを訪れた人々に説いている。
(……どっっっれも!どれもゲームのストーリーに存在しない内容だぁ!!)
何アイツ名前ティアメルって言うの!? 今初めて知ったわ!
そして何!? この仰々しい世界の始まりの設定は!?
そんで本当に加護って何の為に存在してるの!?
(あ〜駄目だツッコミが追いつかない)
取り敢えずまとめた内容を書き出したけど、今直ぐに丸めて捨てたい気持ちになる。
(しかし何でこの世界に数千年前からの記録があるんだ?確かに魔法や文明が発達するのにそれぐらいか、それ以上の年月がかかるのは分かるけど、まるで本当にこの世界が数千年前以上前から存在してるかの様な……)
……待てよ?本当にアホ女神、改めティアメルは数千年以上前からこの世界を創ったのか?
世界を創れる力を持ってるなら、もしかして時間軸の操作も可能なのかも知れない。
世界とある程度の設定を創って、数千年後に俺をリリアとして転生させたのか?
なら加護は俺の方がもしかして先なのかも。
俺に与えた加護が不都合にならないように、加護そのものを世界の設定に組み込んだから、こんな事になったんじゃ……?
(うわ〜!分っかんねぇ!!)
髪をぐしゃぐしゃしながら机にベシャっと倒れ込む。
ある程度の事は知れたけど、俺の予想は正解かどうかは分からないし、十中八九加護持ちであろう俺の問題が解決出来た訳じゃない。
(過去に現れた加護持ちは何かしらの危機に対処してるけど、俺の知る『恋ハピ』のストーリーではそんな危機的な事は起こらない筈だ)
でも加護と言う概念が組み込まれたであろうこの世界は、もう俺の知る『恋ハピ』ではなくなってしまったのかも知れない。
(本当に余計な事をしてくれたよなティアメル)
目立ちたくはないし、面倒事もこりごりだけど、加護持ちである俺じゃなければ対象出来ない事態も起こるかもだし、何の加護なのかを知る必要があるな。
(あんまり考えたくはないけど、不測の事態が起こる可能性があると知れただけでも良しとしよう)
出来れば杞憂であって欲しけど、準備を怠って後悔はしたくないもんな。
取り敢えずはゴードン先生が言ってた通りに、魔法の向上を目指そう。
(あっ!もうこんな時間なのか!)
本を読んでいた上に、まとめた内容を書き出してたから遅い時間になってしまっていた。
(明日は休みとは言え、アイリスとお茶会の約束もあるしシャワーも浴びてねぇ!)
軽く髪を拭いて自然乾燥させてた前世時代とは違って、今は女の子なんだからしっかりケアをしなければ!
しっかりその習慣が身に染み付いた俺は、明日の為にも素早くシャワー室に飛び込んだ。
いつも読んで頂きありがとうございます!
ブックマークとリアクションも凄く嬉しいです!
加護と世界の成り立ちの設定や、本のタイトル考えるのめっちゃ楽しかったです。




