第12話 女神の加護?…うっ!頭が…!
「最近グロロッサ男爵家のご令嬢と仲良くなったの?」
アイリスと友達になって数日後、2回目の魔法の授業の為に校庭へと移動している途中に、ヴィルティスに質問された。
「そうなんです、前回の魔法の授業があった日の放課後に、怪我をしていたので保健室まで連れて行ったのが切っ掛けで友達になりました」
お昼はヴィルティスと食べてるけど、朝ご飯は女子寮から一緒に行く事が多いから、アイリスと食べるようになった。
(帰りはクラスで帰る時間がズレたりするから難しいんだよね)
だから晩ごはんは一人かどちらか時間が合った方と食べている。
「今週の休日には私の部屋でお茶会するんですよ」
実家から持ってきた特産品の茶葉を出しましょうかねと喋っていると、さっきからヴィルティスが黙ってる事に気付いた。
(おいおい質問しといて黙りかよ?)
ヴィルティスの方を見てみると、怒っている…と言うより拗ねたような顔をしている。
(あれっ?俺何かやらかしたか?でも変な事は言ってないよな?)
仲良くなった子とお茶会なんて、女子の間では良くある事じゃないのか?
「ヴィル様?どうされましたか?」
「えっ?あっ!いやごめん、何でもないんだ…けど」
(…何だよ?らしくないなぁハッキリ言えよ)
「アイリス嬢が羨ましくなってしまって…」
「……え?」
「俺も、リリアが淹れたお茶を飲んでみたいな」
(えっ?え〜!? 何?アイリスに嫉妬?ヤキモチ妬いてるの!?)
可愛い所あるじゃん…いやいやそうじゃない!!
何だよヴィルティスに可愛いって!そんでヤキモチ妬かれて喜ぶなよ俺!
(久し振りにチョロイン属性が発動してしまったな)
しかし、アイリスは女の子だぞ?
あっ!これはアレか?友達が自分以外の人と仲良くなるのが、ちょっと面白くないって思ってしまう感じか?
(まぁ気持ちは分からんでもない、何か疎外感があるもんな)
仕方ないなぁと思いながらも、ちょっと笑ってしまう。
「リリア?」
「ふふっすみません、ちょっと拗ねているヴィル様が可愛くて」
「かわっ!?…いや、別に拗ねてる訳じゃないからね?」
「でも羨ましいって言ってたじゃないですか」
図星を突かれてぐぅの音も出ないヴィルティスを横目に続ける。
「でもヴィル様にお茶をお淹れするにしても、女子寮と男子寮は行き来が禁止されてますよ?」
何がとは言わないが、生徒同士で問題が起こるのを防ぐ為に緊急時以外で異性は出入り厳禁だ。
「う〜ん、じゃあ寮の敷地内の庭にあるガゼボはどうかな?」
ヴィルティスの提案に、成る程と納得する。
建物は入れないけど外なら自由に会えるから、庭ならお茶会するのも可能だ。
(まぁ人目があるから恋仲の噂が助長されそうだけど、ここで断るのも可哀想だもんな)
「良いですね、保温の魔法具が付いているポットもありますから持って行きますね」
「やった!じゃあ約束」
スッと小指を差し出すヴィルティスに、ドキドキしてしまう心を何とか押さえ付けて自分の小指を絡ませる。
(あ〜小っ恥ずかしい!授業前に何やってんだよ……そうだ授業!!)
バッと前を見ると、他のクラスメイト達がだいぶ先を歩いてるのが見える。
「ヴィル様!急いだ方が良さそうですよ!」
「そうだね、急ごう!」
授業に遅れないように急いでクラスメイトを追いかけた。
「前回は魔法を出す授業じゃったが、今回は魔力操作を教えるぞ、まずは出した魔法を球体にするんじゃ」
杖の先で魔力の膜を作って、自分の魔法を閉じ込める感じじゃって言われても。
「むっ…難しいですね」
頑張ってイメージはするけど、バシャバシャと纏まらない水魔法に苦戦する。
「俺のは何とか形になってきたよ」
ヴィルティスの方を見てみると、少々歪だが火球が出来上がっていた。
「わぁ凄いです!」
(チャッカマンじゃなくて、ファイヤーボールになってるじゃん!)
俺も負けじと奮闘するも中々上手くいかない。
「少し手こずっておるみたいじゃの」
「ゴードン先生」
そんな俺の様子に気付いてくれた先生が、アドバイスしに来てくれたみたいだ。
「ふむ、膜のイメージが難しいのなら、水が中心から渦を巻いて流れるイメージはどうかの?」
「渦…ですか?」
「そうじゃ、渦は丸いじゃろ?」
(渦…前世で見た渦潮とか…いやあれはデカすぎるよな
ちょうど良いイメージなのは……あっ!洗濯機だ!)
子供の頃、意味も無く見続けていた洗濯機の中をイメージして渦を形成してみる。
(実際の洗濯機は流れの向きが変わってしまうけど、今は一方向にして…)
ギュルギュルと段々丸い渦が出来てきてホッとする。
「先生、出来ました!」
「見事じゃ、水や風は流れるイメージが強いから膜よりこっちの方がやりやすい生徒も居るからの」
成る程、個人のイメージの仕方で変わっていくのか、確かに水や風は動いてる感じが強いもんな。
ふんふんと納得していると、先生が俺の水球をジッと見つめていた。
(あれ?どうしたんだろ?…あっ!キラキラだ)
渦を巻いて水球になった状態でもキラキラは健在だっだ。
(球体を作るのに必死で忘れてたな、でも先生が来てくれている今なら聞ける!)
「ゴードン先生、私の魔法なんですけど」
「うむ、キラキラ輝いて綺麗じゃの、教師生活も長いが初めて見るわい」
(先生でも知らないのか?じゃあ何だこれ?)
「青い火の様な、魔力の質が違うって事でもないんでしょうか?」
「う〜む、基本は色が変化するぐらいじゃからの、サルヴィーニ君のは何か違う感じがするのぅ、どちらかと言うと…女神様のご加護かも知れぬ」
………何だって?
「女神様の…ご加護ですか?」
「む?知らんのか?数百年に一人ぐらいしか現れぬのじゃが、普通の魔法とは違う特別な力を与えられた者が存在して『加護持ち』と呼ばれておる」
(……何だそれ?そんな話しゲームにはなかったぞ?
って言うか女神の加護って、まさか…まさか…)
『それでは最後にもう一つお詫びとして、女神の加護を付けちゃいますね!』
(あれの事かぁ!?)
アホ女神か?アホ女神の仕業なのか!?
「リリア!? 顔色が悪いけど大丈夫?」
「ずっと水球を作っておったからの、魔法を止めて落ち着くんじゃ」
呆然とする俺を二人が心配してくれてるから魔法は止めたけど、この事はハッキリさせないと!
「先生、本当に私の魔法は女神様のご加護だと思いますか?」
「今の状態だと分からぬのぅ、水やその上位である氷属性の加護持ちはまだ確認されておらぬから、サルヴィーニ君の魔法が加護なのか、前例が無いけど魔力の質が異なるだけなのかが判断しかねるの、何か輝く以外で心当たりがあるのかの?」
先生の質問に少しギクリとする。
「…いえ、魔法を初めて使うまで輝くのも知らなかったので」
(前世の事を話す訳にもいかないし、もし本当に加護持ちとか言うのだったら、確実にややこしい事になるの確定じゃん)
「ふむ、魔法を向上させていけば何か分かる事もあるやも知れぬ、もしかすれば世界初の水属性の加護持ちが生徒になるのか…教師人生の誉れになるの!」
「先生、リリアが不安がってますので余り話しを広げないで頂けますか?」
ほっほっほっ!と機嫌良く笑う先生に不安になっていると、察してくれたヴィルティスが進言してくれた。
「おぉすまんの、まだ確定した訳でもないのに話しを飛躍してしまったわい、じゃがもし何か分かった事があれば知らせて欲しい、先生として力になるでの」
ほっほっほっ!とまた笑いながら他のクラスメイトの所に行く先生に礼を言って、ヴィルティスの方を向く。
「ヴィル様、先生を止めて下さってありがとうございます」
「ううん、リリアもこれ以上目立つの嫌だろうと思って」
確かにこのまま先生が女神の加護の話しをし続けてたら、他のクラスメイト達にも広がって『リリアは加護持ち』の噂が追加されそうだったもんな。
(本当に助かった、けど何だよ女神の加護って!?)
「今日の放課後、女神様のご加護についての本を図書館で探してみます」
「じゃあ俺も付き合うよ、二人の方が見つけやすいと思うし俺も気になるから」
(…まぁ断る理由もないし、探すの手伝ってくれるのはありがたいもんな)
アホ女神のせいでストーリーにはない事が追加されているのかを確かめる為にも、放課後図書館に行く事が決まった。
いつも読んで頂きありがとうございます!
1話目で出していた加護の話しに、少しだけ触れる感じになります。




