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美少女恋愛ゲームに異世界転生したのに攻略対象(チョロイン)だったんだが!?  作者: 萌奈菓


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第11話 他の攻略対象とお友達になりました

アイリス・グロロッサ

彼女の祖父は騎士だったけれど、武勲を挙げた事により男爵の爵位を授かった。


そして自分の子孫達にも『自分と同じく研鑽(けんさん)に励み、高みを目指しなさい』と家訓を立て、女の子であるアイリスにも厳しい修行を課している。


そんな彼女が選択したのは勿論『剣術クラス』だ。


(彼女にも歳の離れた兄がいて、男爵家はお兄さんが継ぐからアイリスを自分と同じ立派な騎士にしたいんだろうけど、ちょっと強引なんだよなぁ)


でもアイリスは、そんな祖父と父親の期待に応えようと健気に頑張って凄く良い子なのに…。


(そんな頑張り屋さんのアイリスの手を怪我させるなんて、マジで許せん!)


しかし多くの生徒が在籍しているこの学園で、ちゃんと顔を見ていない人物を見付けるのは不可能に近いだろう。


悔しい思いを胸に、到着した保健室の扉をノックする。


「は〜い、どうしたの?あらっリリアちゃんじゃない!」

「キャサリン先生、先日はお世話になりました」

「どういたしまして、後ろにいる子は誰かしら?」


俺の後ろに控えていたアイリスの怪我の経緯を説明して、保健室に入れてもらう。


「酷いわねぇ女の子に怪我させて逃げ去るなんて!」


ポーションを用意しながら憤慨する先生に(全く持ってその通り!)と同意しつつ、アイリスを椅子に座らせる。


「えっ?ポーション!?」


手渡されたポーションに、数日前の俺と同じリアクションをするアイリスに、思わず笑ってしまいそうになる。


ちょっとした切り傷とかなら絆創膏などで処置されるみたいだけど、先生が必要だと判断したら怪我の度合いに合ったポーションが出されるみたいだ。


「そう言えばリリアちゃん、今日は彼氏君とは一緒じゃないの?」

「ふぇっ!?」


アイリスの怪我が治ったのを確認し終わった先生が、とんでもないない質問をしてきて、変な声をあげてしまう。


(かかかかか…彼氏!? あっヴィルティスの事か!?)


「キャッキャサリン先生!」

「キャシーで良いわよ?」

「……キャシー先生、ヴィル様と私は付き合っていません!」


きっぱり否定すると、先生と一緒にアイリスも驚いた。


(あ〜アイリスも噂知ってたもんな)


「えっ?前にゴリちゃんに知らせて帰って来た時に甘い雰囲気出してたのに!?」

「甘い雰囲気でしたか!?」


(そりゃあ『君の力になりたい』とか『そばに居たい』って言われたけどさぁ!)


「ヴィル様とは友達なだけです!」


あの時の事を思い出して照れそうになるのを必死に振り払って言い切ると、何とか納得してくれた。


「申し訳ありませんリリア様、私も噂を信じてしまって」

「アイリスは悪くないわ、周りが勝手に言っているだけだから気にしないで?」


またペコペコと頭を下げるアイリスを宥めて、治療も終わったから保健室から退室しようと席を立つ。


「キャシー先生、ありがとうございました」

「は〜い、二人とも怪我だけじゃなくって、何か相談したい事があればいつでも来てね」


ひらひらと手を振って見送ってくれる先生にもう一度礼をして、アイリスと一緒に保健室を出た。


「あのっリリア様、本当にありがとうございました」


暫く歩いた後、アイリスにお礼を言われて立ち止まる。


「何かお礼をしたいのですが…」

「保健室を案内しただけなのだから、そんなに深く考えないで大丈夫よ?」


律儀だねぇっと、ほっこりするけどアイリスは気にしそうだな。


(う〜ん…そうだ!)

「じゃあ、一つだけお願いしても良い?」

「はい!」

「私と友達になってくれる?」

「はいっ!……え?」


勢い良く返事をした後、戸惑ってしまうアイリスに思わず笑みが溢れてしまう。


「実はね、恥ずかしい話しなのだけど、私ヴィル様しか友達がいなくて…もしアイリスが友達になってくれたら嬉しいなって、あっ無理矢理なって欲しい訳じゃないから嫌なら断ってもらっても…」


出来たら友達になりたいなぁ提案してみたけど、男爵家であるアイリスなら、伯爵家からの願いは無下に出来ないんじゃなかろうかと思い直して、断っても大丈夫だと言いかけたけど…。


「私で良いのですか!?」


食い気味のOKの返事で遮られてしまった…ってか。


「いっ…良いの?無理はしていない?」

「はいっ!私、噂でしかリリア様の事をお聞きしてなかったのですが、愛の…いえっ友達の為に立ち向かうリリア様に憧れを抱いていまして」


(今愛って言いかけたよね?…けど)

「憧れ?」

「はい!私の家は、元々は騎士だったお祖父様が武勲を挙げられ、爵位を授かって成り上がった男爵家です

だから学園に来る前から周りから時折『元平民』や『偽物の貴族』だと言われておりました」

「…酷いわね」


こう言う点ではヴィルティスとアイリスも似た苦労をしてるんだよな。


「学園でも同じ事を言われるんだろうなって思ってたのですが、リリア様が仰られた『誰にも迷惑をかけていない』『産まれたのは子供の責任じゃない』と言う言葉がその人達にも届いたのか、何も言われなくなったんです」


(マジで!? まさかあの騒動でアイリスまで助けられていたのか!)


アイリスを攻略する為には同じ『剣術クラス』に入って共に剣の腕を磨き、お互いの悪評や言いがかりから助け合って好感度を上げて行くんだけど、リリアに転生したから不可能になってしまった。


(だからせめて知り合いか、友達になって盾になれたら良いなって思ってたけど、既に解決出来ていたとは)


「偶然とは言え、アイリスの助けになれたのなら良かったわ」

「はいっだからリリア様は私の憧れで…その憧れのリリア様とお友達になれるなんて嬉しいです!」


キラッキラの笑顔でそう言ってくれるアイリスに、俺も嬉しくなってしまう。


(リリアに転生してしまった俺はアイリスとは恋人になれないけど、友達になれて良かったぁ)


そこまで考えてギクリとしてしまう。


(あれっ?って事はアイリスルートは完全に封じられんじゃ?)


ヴィルティスは『薬学クラス』に入ってしまった。

アイリスは『剣術クラス』に入らなくても攻略は可能だけど、攻略の肝である悪評や言いがかりの助け合いも俺が解決してしまった。


(なんてこった!ここからでも巻き返せるか…?

いやでも俺とヴィルティスの恋仲の噂がある中、アイリスと引き合わせてしまうと今度は彼女が巻き込まれてしまうかも知れない)


せっかく言いがかりをつけられる事がなくなったのに、新たな火種を蒔いては駄目だ!


(でもアイリスが無理なら他の二人も無理だろうな)


エリザベートは2年生だから普通にしていたら卒業までに間に合わない。

最後の一人は同じ1年生だけど、エリザベート至上主義で他人にほぼ関心がないから、選択クラスを『魔法学クラス』にしないとルートに入るのは難しい。


リリアとアイリスが低難易度で後の二人が高難易度だから、実質アイリスしか攻略出来る相手がいなかったのに…。


(ヴィルティスごめん、婿入り先を無くしてしまったかも知れない)


いやでも現実になったこの世界では、攻略対象以外との恋愛も可能なのでは?


(この3年間でヴィルティスに惹かれる人だって出てくるかもだし)


「リリア様?どうかなさいました?」

「いえ、なんでもないの、アイリスこれからよろしくね」

「はい!こちらこそよろしくお願い致します」


(あれこれ考えても答えは出ないし、取り敢えず今は恋仲の噂が落ち着くのを待つしかないか)


今はアイリスの問題を解決出来ていた事と、友達になれたことを喜ぼう。


そんな事を思いながら、アイリスも寮に入ってるのなら一緒に帰ろうと、並んで歩き出した。

いつも読んで頂きありがとうございます!

ブックマークとリアクションも大変嬉しいです!


エリザベートが2年生って事を明記し忘れてたなぁって思い出したので、書き込める箇所を考えながら書いておりました。

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