33/34
番外編 約束の月の裏側 〜ルシアの災難〜
本編27話「帰って寝よ。」のその後のお話です。
クライマックスの裏側、ルシア視点の短編になります。
気づけば、夜はすっかり更けていた。
通信機が鳴る。
ああ、そういえば。
今日は自分が調べた“あの日”だ。
転移して向かうと、城の廊下で上官が行き倒れていた。
「……エリオン様。何やってるんですか」
本当にこの人は。
天才魔術師と呼ばれる副団長が、廊下に転がっているとか、誰が想像するだろう。
「疲れた。運んでくれ……」
「無事にやり遂げたようで。お祝い申し上げます」
「まあな……」
エリオン様は、少し満足そうに口元を緩めた。
本当に限界なのだろう。今日はいつになく素直だ。
私はため息をつき、彼に触れて魔術塔へと転移した。
そして――
エリオン様は三日ほど仕事を放棄した。
「エリオン様……とっくに回復してるくせに、何サボってるんですか!」
「えー。世紀の偉業成し遂げた後だから良くね?」
「誰が仕事を肩代わりしてると思ってるんですか?」
「残業代は全部、レイに請求してくれ」
「そういう問題じゃありません!」
なお、残業代は王太子殿下にきっちり請求しておいた。
特別手当もついたので、今回の件は不問にする。




