喫茶店で休憩しましょう
-6月某日-
「晞咲さん疲れたので休憩しましょう。 暑くてぶっ倒れそうです」
「そうね、ちょっとヤバイ感じがするわね、喫茶店でも入りましょう」
まだ6月だというのに真夏日のような暑さのこの日、ゆいちゃんと晞咲さんは外回りをしているようであった。
「あっ、あそこにちょうどお店がありますよ、入りましょう!」
「あら」
【コーヒーハウスぽむぽむ】
たまたま目の前に現れた黄色い看板の喫茶店に入るのであった。
「いらっしゃいませー。 何名様でしょうか?」
「2名様です!」
「あなたこういう時は自分で何名様って言わないで2人って言うのよ…… それにしてもやっぱりそうね」
「何がですか?」
晞咲さんが何か気付いたようだが、そのまま席に通され座る2人。
「以前キャラ担当の水卜さんと外回りした時に何故か半ば強引に同じような黄色い看板の喫茶店に連れて来られたのよ」
「このお店の系列店ですか?」
「そうね、たしかぽむぽむって感じのプリンみたいなかわいい名前だった覚えがあるわ」
どうやら晞咲さん、この店の名前に覚えがあるようだ。
「あっ、そういえばこのぽむぽむって確か水卜さんが好きなマンガに出てくる喫茶店のモデルになったお店ですよ」
「えっ? そうなの?」
「はい、『天空のカフェテラス』と言うマンガで、ここの店ではなく神奈川の浦見海岸にあるぽむぽむが聖地って言っていましたね。 都内にも系列店が割とあるとか」
「へぇーそうなのね」
「昨年浦見海岸に研修という名の旅行で行った時に確か入ったじゃないですか。 絶対に寄りなさいって言われて」
「あぁ! 入ったわねそういえば。 そうかあのお店の系列店だったのね……」
「確か来月からテレビアニメも放送されるとか言って1人で盛り上がっていましたよ。 頻繁に浦見海岸のぽむぽむにも行かれているみたいです。 私も以前布教用のコミック貰いましたし」
「そんなに好きなのね…… まぁでも確かにコーヒーとかケーキも美味しかったし普通に良い喫茶店だったイメージよ」
二人とも以前に神奈川県を勉強するという名目の研修で浦見海岸に行ったことがあり、その際に半ば義務付けられて聖地となったお店に入ったことがあったようだった。
「それでは早速注文しましょうか。 晞咲さん決まりましたか?」
「ええ、大丈夫」
「すいませーん!」
-15分後-
「お待たせしましたー。 アイスコーヒー2つと、チーズケーキとシフォンケーキです」
「あっ、私チーズケーキです、シフォンがそっちですー」
「あなたそっちってね…… せめてそちらって言いなさいよ……」
注文した商品がそれぞれの前に置かれてティータイムが始まった。
「アイスなのに凄く良いコーヒーの香りですね! この時点で美味しいことがわかります!」
プチッ チョロチョロ ポチャンポチャン
「そうね、本格的な喫茶店のコーヒーだからそりゃあ美味しいわよ」
「ちょっとちょっとちょっと晞咲さん、何やっているのですか……」
「え? 何よ?」
「何って、コーヒーに砂糖やらガムシロップやらドバドバ加えてどうするのですか」
プチッ チョロチョロ
「別に良いじゃない、人の好みなんだから」
「言っているそばからコーヒーフレッシュまで入れていますし! それもうカフェオレじゃないですか!」
「だって苦いと飲めないんだもん。 そういうあなたは何も入れないのね」
「そりゃあコーヒーと言えばブラックですよ! コーヒー豆から抽出されたままの純粋無垢な味と風味を楽しみたいので」
「よく飲めるわね。 私には無理だわ」
どうやらゆいちゃんはブラック派で晞咲さんはカフェオレ派のようだ。
これは争いの予感……
「浦見海岸の時は2人でメロンソーダを頼んだので気付きませんでしたが、晞咲さん甘味料そんなに注ぎ込むのですね。 まぁとやかく言うのも野暮なので控えますけど、その飲み方するならば普段はコーヒー控えるようにしないとダメですよ」
がすると思われたが流石に喫茶店内で闘争が起こることは無かった。
「別にあなたに言われなくたって大丈夫よ。 缶コーヒーは1日2本位しか飲まないし」
「まさか缶コーヒーって、ブラックじゃなくて加糖タイプのものですか……?」
「ええそうよ。 だいたい缶コーヒーで気分転換して仕事に励んでいるわ。 もう手放せないわね」
「晞咲さんそれ危ないですよ。 甘いタイプの缶コーヒーは角砂糖がそれなりに入っていて、それこそメロンソーダとかの炭酸飲料とだいたい同じような糖分量になりますからね」
「えっ? そうなの?」
「はい。 なのでコーヒーだからと言っても甘いやつを毎日飲んでいると身体に悪いですよ?」
缶コーヒー185mlには角砂糖が2.8個分程入っていると言われている。
1日2本程度でも毎日続けたら塵も積もって山になっていくので飲み過ぎには気を付けましょう。
「それは知らなかったし気にしたこともなかったわ。 気を付けないとね……」
「まぁ晞咲さんもこれを機にブラックを飲めるように練習してみては如何ですか? ブラックなら当分ゼロなのでお水やお茶のような感覚飲めるので口が寂しい時にちょうど良いですよ」
「うーん、でも苦いのは好きじゃないしなぁ。 まぁ気が向いたらね」
「そうですか。 まぁくれぐれも飲み過ぎないようにしましょうね。 年々身体の代謝も悪くなっているでしょうし」
「とやかく言うのは野暮って言いながら一言余計なのよ!」
「ふふぁあ、ケーキ美味しいです! コーヒーと相まってより一層美味しいです!」
「って聞いてないし…… それにしても美味しそうに食べるわね。 チーズケーキそんなに美味しいの?」
呆れつつもあまりにもケーキを美味しそうに食べるゆいちゃんが気になる晞咲さん。
「一口食べます?」
「じゃあ頂いてみようかしら。 ちょっと失礼」
モチャモチャ
「美味しいけどあなたみたいな間抜け面にはならないわね」
「晞咲さんも十分言うに事欠きますね本当に! じゃあこれ飲んでから食べてください」
「だからブラックは苦手だって……」
「ほら良いから!」
「えぇ、全く……」
チュ—
「うわっ、苦ッ」
「はい、もう一口どうぞ!!」
晞咲さんに無理矢理ブラックを飲ませてチーズケーキを押し付けるゆいちゃん。
その反応は如何に。
スッ、モチャモチャ
「あれ!? 何これ! さっきとは全然違う、甘さの広がり具合が全然違うわ!」
一口目とは大きく異なる反応にゆいちゃんがしたり顔をしていた。
「それはそうでしょう。 激甘コーヒー、いやカフェオレとの組み合わせでは絶対に味わえませんからね。 一度口の中を甘味からリフレッシュして味わう最高のひと時です」
「…… 悔しいけど確かにこれはコーヒーの苦みあっての美味しさね……」
「今晞咲さんが食べているシフォンケーキもきっとブラックと一緒に食べると全然違う味わいになりますよ」
ゴクッ
「ねぇ…… コーヒーもう一口貰える……?」
「追加オーダーしてください!」
-20分後-
「ありがとうございましたー」
お会計を終えてとても満足気なゆいちゃんと晞咲さんが店から出て来た。
「結局コーヒーをもう一杯追加で頼んでしまったけど確かにケーキの味わいが天と地の差だったわ。 何ならブラックがいくら苦いと言ってもケーキで十分緩和されるからトータルでは普通に有りね」
ブラックコーヒーが苦手だった晞咲さんも新しい発見をしてとても嬉しそうな顔をしていた。
「でしょうでしょう。 まぁケーキが無く単体で飲む時は若干甘味料入れるのも仕方ないとは思いますが、やはりスイーツとセットの時はブラックに限ります!」
「残念だけど何も反論出来ないわ。 いい勉強になったわ、また今度違うケーキもブラックと一緒に食べてみたいし……」
「ではまた今度食べに来ましょう!」
「でもあなたまだダイエットが」
「もう良いです! 何話もその話題引っ張らなくて良いです!」
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