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【11月コミックス2巻発売!】ちびっ子転生日記帳~お友達いっぱいつくりましゅ!~  作者: 沢野りお
完結編 前編

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確認しましょう 3

ブルーベル辺境伯騎士団の泣く子も黙る鬼の特訓を終え、僕と親友のアリスターは汗を拭くため井戸へと移動していた。

チラリと、いつもならかわいい弟と恐れ多い神獣と聖獣の小さな獣体のじゃれつきが見られるベンチを横目に、ため息をつく。


「どうした、ヒュー?」


「う、う~ん。今日も、朝起こさなかったからレンは怒っているかなぁって」


僕のかわいい弟であるレンは、プンプン怒っていても、なんだかかわいいんだけど。

プンプン頬を膨らませて怒ってます! ってアピールするのに、朝食のパンケーキを一口食べるとホワッとふにゃふにゃの笑顔になっちゃうんだ。


「……起こしてやればいいじゃないか。俺は毎日キャロルを起こすので大変なんだぞ?」


僕の親友であり従者見習いであり、目出度くブルーベル辺境伯騎士団の正騎士となった狼獣人アリスターの妹は、ブルーベル家でメイド見習いをしている。

メイドの朝も早いから、キャロルは毎朝眠くて大変なんだろうなぁ。


僕も、毎朝、神獣の白銀と真紅、聖獣の紫紺に囲まれて幸せそうに眠っているレンを見るたびに可哀想で起こせないもん。


「レンは幸せそうに寝ているし……。別に剣の稽古なんて朝じゃなくてもできるだろう?」


あと、騎士団の稽古に交っているつもりだけど、本当はちょっと邪魔をしている。

レンのせいじゃなくて、騎士たちの気合が足りないからだと僕は思っているけどね。


「ああ……レンの掛け声は……気が抜けるもんなぁ」


「失礼な! かわいいじゃないか! とっても、かわいいじゃないか!」


いくら、親友でもレンの悪口は許さないぞ!


「いやいや。ヒューだって、てりゃーとかやぁーっとか、お遊戯みたいな声とフラフラの素振り見てたら力が抜けるだろう? アレを見てて平気なのは耐性のある俺と、レンかわいいで常識的判断ができないヒューとマイルズ副団長だけだ」


「そうか?」


とってもかわいいのに。

僕はちょっと口を尖らせて、井戸から汲んだ水にタオルを浸す。


「はぁぁぁっ。でも今日、レンを朝起こさなかったのには理由があるんだ」


「へ? そうなのか?」


アリスターは上半身裸になって、濡らしたタオルでゴシゴシと体を拭いていく。


「……そろそろ、神獣クラウンラビットの封印について、話し合わないといけない。だけど……さすがにレンは連れて行けないだろう? でも、レンを説得できる自信がないんだ」


今回の相手は闇堕ちして封印されている神獣クラウンラビットと、その神気が混じった瘴気を悪用して世界に混乱をもたらそうとしている道化師の男だ。


敵の全容はまだわかっていない。

道化師の仲間がいるのか? いるなら、それはどれだけの規模なのか? もしかしたら、どこかの国が覇を唱えて道化師の男を利用しているのか?


そういう、背後関係が全くわかっていないが、神気の混ざった瘴気を放っておくこともできず、封印されているはずの神獣クラウンラビットが目覚めてしまう可能性もあり、とにかく神獣クラウンラビットを封印しなおすことにしたんだ。


そのために必要な精霊とその契約者、精霊楽器という珍しい魔道具? もほとんど揃えた。

残りのパーツは闇の上級精霊であるダイアナが連れてくることになっていて……。


「レンは俺たちと一緒に行きたがるが、どんな危ないことになるか見当もつかないし……無理にでも留守番させるしかないだろう?」


アリスターの耳と尻尾がだらんと下がる。


「……いざとなったらお祖父さまとお祖母さまにレンを託す。……それともうひとつ問題があるんだ」


僕は隣に立つアリスターをギロリと強い視線を向ける。


「な……なんだよっ」


「精霊とその契約者、そして契約者が奏でる楽器。それはほぼ揃いつつある。あと足りないもの……アリスターもわかっているよな?」


「うっ……そ、それは」


僕の追及にたじろぐアリスターだが、後ろは井戸だから逃げられないぞ。


「ダイアナが話していただろう? 楽器以外にも精霊の力を増幅させた人がいたって。その歌声で精霊の浄化の力を強め、封印に助力した、その力を持つ人が今回も必要だと」


「……ヒューは、もしかして……そうだと思っているのか?」


俯いたアリスターの小さな声に、僕は胸を痛めつつもしっかりと頷いた。


「ああ。僕はその人はアリスターの妹、キャロルだと思っている」


アリスター兄妹と出会った春花祭の事件で、犯人側にいたキャロルがその歌声で子どもたちを誘導していた。

精霊楽器と同じ力を持つ奇跡の歌い手は、キャロルだ!






























「困ったわ……」


ルンルンと白銀と紫紺が軽やかな足運びで進む後ろを、どよよ~んとしたオーラを纏ったぼくがトボトボと歩く。

朝食を食べに食堂に行くと、お稽古帰りの兄様と会ってしまうので、ぼくは思わず屋敷の裏手へと出てきてしまいました。


ぼくの悩みの相談を誰かにしたいけど、父様たちやセバスに話すと、そもそも神獣クラウンラビットの封印に同行することを反対されるし、ここはセシリアさんかな? と考えた。

その途中で……手になにやら本を抱えたプリシラお姉さんを見かけた。

隣には、というかプリシラお姉さんの周りをフヨフヨと浮かぶ魚姿のエメがいる。


「んゆ?」


どうしたんだろう? なんか……困っているみたい?


「プリシラおねえさん?」


「……あっ」


なんだろう? ぼくと目が合ったときにプリシラお姉さんの「助かった」みたいな嬉しそうな表情は?


いつもご愛読いただきありがとうございます!

今年の更新はここまでです。

よいお年をお迎えください。

来年もよろしくお願いいたします。

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◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
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