確認しましょう 2
春花祭で見つけた笛、オカリナ。
栗拾い中に見つけた鈴、リングベル。
遺跡で見つけた笛、でんでん太鼓。
ダイアナさんが持ってきた琴、ピアニカ。
昔、白銀が護っていた洞窟で見つけたギターみたいなの、ウクレレ。
……ちょっと玩具っぽく変化しているかもしれない。
う~む、でもぼくが触っただけで勝手に変わるので、ぼくにはどうしようもないのです。
あれ? 実際には精霊さんと契約している、つまりお友達が奏でるので、そのときにまた楽器はその姿を変化させるのではないでしょうか?
じゃあ、ぼくの責任はないよね? 大丈夫だよね?
「なに、一人でブツブツ言ってんだよ」
ドンッと真紅に背中押されました。
おっとっと。
「やあね。レンに意地悪しないでちょうだい」
ダンッと紫紺が後ろ足で真紅のお腹を蹴っ飛ばします。
「うげぇっ」
あ……真紅が吹っ飛んでいった……けど、ちょうどベッドの上にボスンと落ちたからいいや。
「しこん、ありがちょ」
「いいのよ。さて、見つかった楽器は五つ。残りは一つ。そして精霊との契約者も五人」
火の精霊ディディとお友達のアリスターは狼の獣人。
水の精霊エメとお友達のプリシラお姉さんは人魚族と人族とのハーフ。
土の精霊チャドとお友達のドロシーちゃんはモグラの獣人。
風の精霊リーズとお友達のアルバート様は父様の弟で凄腕の冒険者。
闇の精霊ダイアナさんとお友達? のウィルフレッド殿下は黒髪でエルフの先祖帰りの第三王子様。
「ひとり、たりないの」
精霊は六属性で王様も六人いるけど、ぼくがお会いしたのは、水と火と土と風の精霊王さま。光と闇の精霊王さまとはお会いしていない。
「光の精霊とその契約者はダイアナが連れてくるって話だろう? 確か、ダイアナと同じ上級精霊のはずだ」
精霊には下級、中級、上級とその力によってレベルがあるみたい。長く存在していると力が勝手に強くなるから、長生きしていると上級精霊になれるのかな?
ぼくと兄様も妖精とお友達なんだよ。
水の妖精でチルとチロって名前なの。
本当は妖精は力が弱くて、力を使いすぎると消えてしまうかもしれない儚いものなんだって母様が教えてくれた。
チルとチロは元気いっぱいだし、ぼくと兄様の魔力を毎朝、もりもり食べているけどね。
そして、妖精は誰かと契約はできない。
まだその力が弱いから……って、ぼくと兄様とはお友達になっているけど……どういうことなんだろう?
創造神シエル様からの贈り物なのかな?
「楽器も精霊も精霊の契約者もそれぞれ一つずつ足りないけど、ダイアナに伝手があるんでしょう? そうじゃなかったら、今頃ヒューたちに探しに行けって命令しているわよ、あの女」
ケッと吐き捨てるように言うのは紫紺で、白銀もグルルルと牙を見せて不機嫌そうに唸っている、
もう、仲良くして!
「じゅあ、もうさがす、しない?」
ぼくと兄様たちは、神獣クラウンラビットを封印するため、あちこち探して精霊楽器を見つけたんだよ?
あれれ? あちこちウロウロしてたら偶然見つけたんだっけ?
もう、必要なものも人も見つけたから、あとはダイアナさんが来るのを待っているだけなのかなぁ……。
最近、ダイアナさんはどこかへ出かけてしまって、全然その姿を見せることもなくて、ウィル殿下も寂しそうだったけどなぁ……。
あ、ああーっ!
ま、待って。
いつも一緒のアリスターは精霊のお友達でしょ? プリシラお姉さんもドロシーちゃんもそうだし、アルバート様もそう。
じゃあ、ぼくは?
ぼくは白銀たち神獣と聖獣とお友達だけど、今回の封印に白銀たちは物理的な力以外は期待されていない。
白銀たちは精霊と違って「浄化」の力を持っていないから、神気が混ざった瘴気を消してしまうことができないんだ。
だから、もし封印のときに目覚めてしまった神獣クラウンラビットが暴れたときのために白銀たちの力は必要だけど、そこに彼らとお友達であるぼくの出番はない。
つまり……。
「ぼく、おいていかれちゃう!」
た、たいへんだあああぁぁっ!
また、父様や母様に一緒に行くのを止められちゃうし、セバスも味方になってくれない。
それどころか、今までぼくの味方だった白銀たちも反対するかもしれない!
たいへんだーっ、たいへんだーっ!
なにか、ぼくにもお役目がないと、お屋敷に置いてけぼりにされちゃうよぅ。
う、う~ん、う~ん。
「あっ! しょうだ!」
あった、あったよ、ぼくのお役目。
ふふふふっ。
「どうしたんだ、レン? 腹でも痛いのか?」
ちっちっちっ、違うよ白銀。
「ぼく、きづいちゃった」
「な……なにに?」
「ぼく……ふーいんにひつよー」
「へ?」
「ぼくね、ぼくね。じゃじゃーん! うたいてさんだった!」
ビシッと右手を高く上げて人差し指を天に向かってピーンとする。
左手は腰にあてておこう。
「歌い手? なんだそれは?」
「ま、まさか、ダイアナが言っていた、精霊楽器と同じ増幅の力を持つ歌い手のこと?」
白銀が眉間にシワを寄せて胡散臭い顔をする横で、紫紺は愕然とする。
そう、ぼくは精霊楽器と同じ力を持つ、奇跡の歌い手さんなのだーっ!
「これで、ぼくも、しろがねたちといっちょ!」
ふふ~んと鼻歌がもれるぼくの横で白銀と紫紺が項垂れているけど、なんででしょう?
そして、ぼくは真紅の一言で地獄に落とされるのである。
「じゃあ、ヒューはどうすんだよ」
あ……兄様のお役目、どうしよう……。





