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青春リテラシー。  作者: シュレディンガーの羊
5/15

04:切りすぎにはご注意を




「なぁ、相澤」

「なんだよ、倉上」

「爪は何を摂取すればすぐに伸びるんだろうか」

「……髪の毛は確かミネラルだろ」




「今は爪が短いから、攻撃力が皆無だ」


倉上がまた懲りずにそんなことを言った。


「別にお前、爪で誰かを攻撃する機会なんてないだろ」

「死因が変わるだろう」

「は?」

「というか首を絞められた時に、突き落とされそうになった時、爪がなければ防御層に格好がつかないだろう?」


おい、さらりととんでもないことを言ってないか?

呆れるばかりだった最近に比べてちょっとダークな発言だ。


「なんてな。ただ、同じ土俵で勝負するのが最善だと思っただけだ」

「同じ土俵?」

「相手はなかなかの強敵だ」


横髪がかき分けられ、露わになった右の頬には赤い三本線がくっきり。

痛々しいそれに無意識に眉がよる。


「痴情のもつれ?」

「遠からず、近からずだな」

「……相手は猫か」

「よくわかったな。なぜか俺にだけ懐かないんだ」

「おまけにお前の家の飼い猫か」

「あぁ、だから対抗するには爪が必要なんだ」


猫に嫌われる人間は性根が悪いと言うが、あながち間違っていないんじゃないか?

倉上の友人として、ぜひとも倉上の猫を応援したい。


「爪があれば拳は無理でも、語り合える気がする」


倉上の友人として、祈ることはただ一つ。

どうか、こいつの爪が伸びませんように。




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