03:光りて暗闇
「なぁ、相澤」
「なんだよ、倉上」
「雷が怖いというのは、電子レンジが怖いということと同意か?」
「……俺がいま一番怖いのはお前の思考回路だよ」
「電子レンジが止まる瞬間が怖いのは正常なことだ」
倉上がまた懲りずにそんなことを言った。
「雷の音とか光が怖いのはわからなくないけど?」
「正直、あのやたらと高い声で叫ぶのは勘弁してほしい。学校には避雷針があるから、簡単には落ちこない」
「たしかに女子はすぐ叫ぶし、怖がるな」
先日の雨の日はひどかった。
光るたび、轟くたび、悲鳴が上がっていたし。
「それよりも電子レンジが止まる瞬間の方がよっぽど恐ろしいぞ」
「はぁ? 何が怖いんだよ」
「止まるあの瞬間の電磁波が一番強い。つまり、正面で待ちかまえていると心臓によくない。微量ながら健康に悪影響を与えるんだぞ」
全然知らなかった。
実は身近の当たり前こそ恐ろしいものではないかと考える。
「まぁ、雷が怖いのはわからなくないが」
いきなり倉上がそう呟いて、ふいっとそっぽを向く。
そう言えば、雷の日、倉上は始終机の下で何かを探すふりをしていた。
ということは、つまり?
「なんだ。お前も怖かったのか?」
「断じて違う。電子レンジに比べればあんなもの」
むっとした倉上を初めて見た。
思わず笑う。
俺的に雷より電子レンジを怖がる男子高校生もどうかと思う。
でも、まぁ今日ぐらいは、俺も電子レンジに気をつけてみようか。
いや、別に怖いからじゃないから。
あくまでちょっとだけ、気になるだけだから。




