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02:愛称ゲーム
「なぁ、相澤」
「なんだよ、倉上」
「これからはアザーイッド・ザウスワッドってよんでいいか」
「……誰のことだ、それ」
「愛称は人生において重要な問題だ」
倉上がまた懲りずにそんなことを言った。
「別に大して重要度は高くないだろ」
「甘いな。愛称とは大抵、好感度と比例する」
「そうか? 仲がいい奴でも名字呼びとかいるだろ」
倉上は手に負えないとでもいうように大仰に肩をすくめた。
本当にいちいちいらっとする行動をする奴だ。
「それはあくまで一例だ。人は得てして他人とは違うという証がほしいものだ」
「そういうもんか?」
「あぁ。というわけで、どうだアザーイッド・ザウスワッド」
「……長い上に元の名前の面影ないな」
「特別感は別格だろう」
確かに別の意味で特別だ。
それで呼び止められたりしたら、周りにいる人間がみんな振り返るぐらいにはな。
「なら、俺はかわりに倉上をなんて呼べばいいんだ?」
そう尋ねてみれば、倉上はさも当然という表情で言う。
「いや、普通に倉上で頼む」
……うん。薄々、気づいていたさ。
これは愛称うんぬんの問題ではなくて、俺に対する嫌がらせだって。
次の日、呼び方がなんの違和感もなく戻ったのは言うまでもない。
倉上は飽きっぽい。うん、知ってる。




