前世の夢
夢を見た。
前世の私には親友がいて、
その子はいつもわたしの味方をしてくれる。
「咲ちゃんの小説は面白いね!!」
明紅愛ちゃんは口癖のように
そう言ってくれた。
彼女は明るくて、元気で
陰鬱な私とは正反対の良い子だった。
『花姫は王太子に溺愛される』の
明るくてハツラツとした太陽のような
ベルティーナとよく似ていたのは
無意識に明紅愛ちゃんをモデルにして
書いていたのかもしれないくらい。
でも、明紅愛ちゃんは首を横に振る。
「わたしは月のように静かに皆を見守る
凛としたノクタヴィアの方が好きだよ」
「どうして?」
「だって、ノクタヴィアって
咲ちゃんに似てるんだもん」
花のように笑う明紅愛ちゃんは
やっぱり可愛くて。
私と似ているからという理由で
ノクタヴィアを好きになるなんて
変わってるけど、少し嬉しかった。
「もし、生まれ変われるなら
ノクタヴィアに生まれたいな」
その言葉が最期になるなんて誰が想像しただろう。
最初は何も手につかなくて、
ただ、1日を生きていた。
けど、ノートを落とした拍子に
彼女が好きだと言ったノクタヴィアが
断罪されるシーンを垣間見た。
このままじゃダメだ。
ノクタヴィアを彼女だと思って
物語を書き進めた。
大好きなあの子が私の物語の中で
生き続けていられるように……。
涙を拭いながら毎日書き続けた。
彼女の死が思い出へと変わって
ノートを見つけた時、
私はまた明紅愛ちゃんに巡り会えた気がしたんだ。




