↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
急募:ソロで勇者になる方法〜悪名高いソロプレイヤーだけど、プロゲーマー育成校で無双してます〜  作者: 風野唄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/24

005話 ファンを名乗る者

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

 神場(しんば)の目は、暗い絶望を宿していた。

この世の終わりという方が分かりやすいか。

一学期をソロで過ごすことが決まったからな。

自らソロを望む俺と違って、死活問題なんだろう。


「神場さん、席に着いた方が良いと思うよ」

「……はい」


 俺の言葉にも虚ろな返事をするばかり。

彼女のことを考えると、こうなるのも仕方ない。

けれど、些か失礼だとも思ってしまう。

目の前にいる俺は、事実としてソロを選んでいる。

そんな人間の前で嫌そうな顔をするのは、如何なものだろう。


 これ以上は考えるのをやめておこう。

世間的なソロに対する評価に嫌気が差した俺の考え過ぎだ。

彼女の行動も俺を傷付ける意図はない。

ただ、自身の未来を憂いて、周りが見えなくなっているだけ。

ただ、それだけのこと。


 神場(しんば)が席に戻った直後、前の席の女子からプリントが回されてくる。

なるべく顔を合わせないよう、プリントだけに焦点を合わせて受け取った。

多分、相手も振り向きながら渡してなんていないだろうけど、念の為。


「あぁ、言っておくが虚偽や白紙で提出などしないように。まぁ、そんなことをする必要もないとは思うがな。書き終えたパーティーは指定された場所へ移動しろ。早速、実戦に移るからな」


 冷たく言い放った板里(いたさと)先生の目には、神場の姿が映っていた。

生徒一人一人の心境に敏感なのは、流石教師としか言いようがない。

可能性は低いけど、先手を打てばそんな考えもまず浮かばなくなる。

神場も諦めて、自分の名前を書いて提出するはずだ。


 周りよりも記載する人数が少ない俺は、誰よりも先にプリントを提出。

担任から別室の場所を確認すると、そのまま教室を後にした。

廊下へ出る前に神場の方を見たが、手を動かす様子はやはり見られない。

クラスで二人しかいないソロ。

少しは気持ちを切り替えて、前を向く姿に期待していたけれど、この様子では期待できないな。




 特別教育棟一階。先生から指定された場所。

そこは全てが白く塗り潰された質素な空間だった。

暑くもなく、寒くもなく快適な温度。

左右に設置された数多くの扉と一本の長い廊下しかない空間で、どうやって温度を管理しているのか不思議だ。


 板里(いたさと)先生は、着いたらパーティー毎に好きな部屋へ入れと言っていた。

どこへ入っても変わらないだろうと、適当な扉のドアノブへ手を掛ける。

しかし、ドアノブを下へ下げ切る前に考えが変わった。


 クラスの様子から考えるに、全員が集まるまでに時間がまだ掛かるだろう。

廊下には恐らく他クラスであろう生徒もチラホラと見受けられた。

数分くらいは人間観察として、廊下を散歩してみるのも悪くない。

もしかしたら、度々マッチングしたことのある見知った顔がいるかも。


 ドアノブから手を離すと、また先の見えない長い廊下を歩き始めた。

しばらく歩いていても、ネクタイが同じ色の生徒ばかりすれ違う。

今日はこの階が貸し切りなのか。

いや、普段から使用する学年を階ごとに分けている可能性もある。

どちらにしたって、今日得られるのは同学年の情報しかなさそうだ。


「あら? あらら? もしかして、雨神(あまがみ)様ではございませんか?」


 透き通った清涼感のある声で誰かが俺を呼んでいる。

わざわざ声を掛ける物好きがいたことにも驚きだけど、俺を様付けする異質な人間がこの世に存在するのか。

相手は俺を知っているようだし、万が一にも知り合いという線も拭えない。

声を聞いた感じだけでは見当も付かないので、顔を見ようと目を向けると、そこには可愛らしい白いリボンを銀髪に付けた少女が立っていた。


 まず最初に、彼女が知り合いでない事を確信する。

俺の知り合いに、こんな気品のある糸目はいない。

お嬢様なのに、裏で暗躍する裏切り者みたいなオーラがある。

一度でも会っていたら絶対忘れない。


「そうだけど、どうして様付け? 俺と貴方は同級生だよね?」

「様付けなのは当然ですよ! 私(わたくし)は、雨神様の大ファンですから! それも結構古参だと自負しております。ソロになる前、パーティーを組んでいた時期の雨神様も存じ上げてますので」


 同級生にファンがいるのはとてもむず痒い感覚だ。

そもそもあの悪虐非道な立ち振る舞いを見て、ファンを名乗れる異常性。

この子の感覚は一般的なものから掛け離れているのは間違いない。

自分に好意的だから異常だと結論付ける、何とも悲しい論理。

自分で認めてしまっているのが、尚更悲しみを助長させる。


「俺のファンなんて、随分と物好きだね。俺は恥の多い生涯を送って来たと自負しているけど」

「まず、お顔がタイプなんです。シンプルにカッコ良いと思うんですよ。アイドルにも負けず劣らずだと思っています。そして、あの強さ。パーティーでも、ソロでも順応する対応力と発想力は見習うところしかありません。しかも、悪役を演じておきながら、どうしても徹し切れていない可愛さもあります。あとは──」

「ストップ、ストップ。もう良いから。ありがとう、ありがとう」

「もうよろしいのですか? 私(わたくし)としては、まだ語り足りないくらいですけど」


 こんな真剣な眼差しで言われても。

普段の立ち回りをしているせいで、シンプルな好意を向けられることはなかった。

故に耐性がない。

嬉しいという感情が湧いてくるよりも先に、恥ずかしいという気持ちで一杯になる。


 この場合、何と返すのが正解かも分からない。

精一杯の苦笑いだけが、二人の間に生まれた気まずい間を埋める。


「ここにいらっしゃるということは、他のクラスもこれからエデンをプレイされるのですね。私(わたくし)は、てっきり先生の突飛な思い付きかと思っておりましたが」

「大方、クラス内での実力差を明確化する為なんじゃないかな。やっぱりゲーマーの本質として、負けず嫌いだから。自分の強さがどのくらいなのか、自分よりも強い奴がどのくらいいるのか。それを知ることでやる気を出させたいんだと思うよ」

「なら、雨神様にとってはつまらないかも知れませんね。当然、勝つのは雨神様なんですから」


 勝つのが俺である点は否定しない。

今まで積み重ねて来た努力と経験と実績。

その全てをもって、今の俺の自信へと繋がっている。

ならば、ここでそんな、そんなと謙遜するよりも、例え驕りだと思われても黙って肯定する方が良い。


 そんな事を考えていると目が合う。

彼女は細い糸目を一層細めて微笑んでいた。

考えていることが分かっているとでも言いたげに。


「どうやら人が集まって来ましたね。人目を浴びるのはあまり好きじゃないと思いますので、今はこれで失礼しますね。また会う事になると思いますので、その時にまたゆっくりお話し致しましょう」


 周りを見渡すと確かに人が多くなって来たように思える。

ポケットにしまっていた携帯を取り出して、ロック画面を見ると、教室を出てから十分が経過していた。

そろそろ大半の生徒が集まっていてもおかしくはない。


まだ名前も聞いていないのに立ち去る糸目の少女。

嵐みたいな人という古典的な表現が似合う生徒だったな。

好意的に接してくる彼女なら、話す機会はまたあると思うけど、出来れば体力の有り余った日にしてもらいたい。


 今からエデンをプレイしないといけないのに、変な汗を掻いて疲れてしまった。

人間観察は碌にできなかったけれど、さっさと部屋に入ってゆっくり教師の指示を待つことにしよう。

ご覧いただきありがとうございました。

よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。