004話 ソロになるということ
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!
パーティー決め。これは中々面白い。
俺が直接クラスメイトに声を掛けて回っている訳ではないんだけど。
周りの表情は真剣そのもの。
相手の顔色を窺いながら、エデンの話を交えて情報を探る。
本来、そんな事をしなくてもエデンのプロフィールで検索を掛ければ、勝率や職業の選択頻度、得意なマップ種類など事細かく分かるというのに。
それでも実際に面と向かって会話をするのは、もう一つの要素を気に掛けているのだろう。
内面性及び相性の把握。
人間関係のドロドロを避ける為には必要不可欠だろうな。
勇者のパーティーだって、それが理由で解散するのも珍しくない。
しかも、俺達はまだ学生だ。
色恋も絡んでいるように見える。
チラホラと下心丸出しの顔で誘う男子生徒と、エデンのプロフィールを見ながら値踏みする女子生徒。
そんなやりとりが幾度か見受けられた。
そして、その逆も然り。
イケメンが女子生徒にモテる構図……か。
「ねぇ、スズヤくん。 私をパーティーに入れてくれないかな?」
「ちょっと待ってよ! アタシの方がランキング高いんだし、アタシ入れてよスズヤくん!」
「入れるなら、私に決まってると思うけど?」「はぁ? アタシでしょ」
女子生徒の群れがスズヤを取り囲んでいる。
胸倉の掴み合いにこそなっていないけれど、激しい口論が後を絶たない。
そんな醜い姿を晒したら、スズヤからの評価が下がるという考えに至らないのが笑える話だ。
まぁ、でも、そこまでしてパーティーへの加入を希望するのは無理もないか。
アツトパーティーはどうやらランキングも高いらしい。
俺とマッチングするくらいだからな。
それで丁度一席空いているとなると狙いたくなるのも無理はない。
「ごめんね、みんなの気持ちは嬉しいんだけど」
「えぇー、なんでなんで」
「姫川さんもいるんだし、女の子がダメって訳じゃないんでしょ?」
「オメーらとヒメを一緒にすんな、バーカ」
歯切れの悪いスズヤに代わって、アツトが女子の前に立つ。
「色恋でパーティーを選べっかよ。そもそもお前ら、言われた職業できんのか? あ?」
「いや、それは……。ちゃんと練習はするからさ! ねっ、スズヤくん」
アツトが目の前にいるのに、スズヤに懇願するとは。
パーティーのリーダーが誰か分かってないのか。
分かっているのだとしても、タチが悪い。
恋は盲目なんて言葉で片付けるには無理がある範囲だ。
学生気分でいられるのも最初のうちだけだろうし、この光景を目に焼き付けておこう。
「うーん、ごめんね。俺達のパーティーは確かに空いているけど、とある人を誘う為にわざと空けているだよ」
とある人……ねぇ。
チラッとこっちを見るのはやめて欲しい。
バレたら俺が血祭りにされてしまう。
「と言っても、今日断られちゃったんだけどね」
「だったら、一学期だけでも良いから入れてよ」
「そうだよ。この中から一人選んでさ」
「ごめんね、それは無理な相談だよ。この席は彼の為に残しておく。これはパーティー全員で決めたことなんだ。誘っておいて、他の人を入れたとなったらその人からの心証も悪くなるだろうしさ」
だから、やめてね。こっち見るの。
それと俺はソロをやめるつもりはないから、パーティーメンバーは探しておいた方が良い。
そう言いたいところだけど、口に出すのは控える。
わざわざ出て行ったら、誘われたのは俺ですと名乗っているのと同義だ。
「あの……、雨神さんですよね」
あのパーティーには後でキツく言っておくとして、今は関わらないように視線を外しておくのが良いだろう。
「あの! 雨神さんですよね!」
アツトパーティーを観察している間に、パーティーも概ね固まってきた。
基本的には四人パーティーになるように調整してある。
中には珍しい二組もいるな。男女ペアで中々ランキングが高い。
カップルなのかと邪推してしまうのは、俺も学生だからだろう。
「ちょっとッ! 話を聞いてくださーい!」
ゲッ、そんな大声で叫ばないでくれよ。
クラスメイトからの視線が痛いだろ。
「おっと、ごめんね。考え事をしていたんだ。で、君、誰でしたっけ?」
「自己紹介が遅れました。私、神場 雛子と申します」
艶があって枝毛のない手入れのされたロングの黒髪。本当に同級生か疑いたくなる小さな身体。クリクリとしたまん丸な目の少女。
名は体を表すとはまさにこのこと。
容姿も気になるところではあるけど、苗字が神場。
校名と同じ苗字なのは、偶然か必然か。
気にはなるけれど、俺から触れることはしないでおこう。
「それで神場さん。俺に何か用?」
「雨神さんは首席合格でしたよね? あの、……もしよければ───」
「お断りします」
神場が言い終える前に、被せてお断りする。
「えっ!? まだ何も言ってないです、私!」
「君、ユニークな事言うね。状況を考えてみてよ」
皆まで言わなくたって、パーティーへの勧誘だって事は分かる。
まさか、ここでお友達になりませんかなんて言うはずもない。
それに、さっきから彼女が色々な人間に声を掛けては、相手にされず、追い返されているのを目撃していた。
最後の望みでソロの俺に声を掛けたのだろう。
だからこそ、長々と話をして希望を持たせるのは可哀想だ。
敢えて尋ね、先回りしてきっぱり断るのも一種の優しさだと勝手ながらに考えた。
「うぅー……。確かにパーティーのお誘いですけど……。でも、でも! 雨神さん、まだソロですよね? ソロなんかで良い成績は取れませんよ。 なので、パーティーを組みましょうよ」
ソロなんか。今まで散々言われてきた言葉だ。
今更、言われたところで感情は全く揺れない。
いや、全くというのは少し違うか。
あぁ、コイツも人の限界を決めつけるのかという、失望だけは確実に胸のどこかへ残っている。
「悪いけど、俺はソロって決めてるんだよね。だから、神場さんは早めに他の人とパーティー交渉をした方が良いと思うよ?」
「えっと……。でも、それは……」
言葉を濁すのは本人も気付いているからだろう。
誰一人として彼女をパーティーに入れるつもりがないと。
エデンのプロフィールを見る限り、彼女の勝率は二八パーセント。
しかも、歴は二ヶ月半だ。
問題なのは歴の短さではない。
ゲームセンスがあれば、歴が浅くても頭角を現す者もいるからな。
歴が浅いのに、あの勝率であることが問題なのだ。
二ヶ月半であの勝率だと、初心者層のレート帯でも全く勝てていないはず。
そんなお荷物だと一目見れば分かる人間を、好き好んでパーティーに入れる奴はいない。
本人もそれは気付いている。
顔を青ざめさせながら、チラチラと時計の針を気にするのがその証拠。
こうやって無駄な沈黙を続けている間にも時は進む。
俺への勧誘を続けるか、損切りして他を当たるか。
でも、誰に。この成績でどうやって。
みたいな感じで、考えは上手く纏まらず、本人の思いとは裏腹に脳内を自由に駆け巡っているのではなかろうか。
「お願いします! 私とパーティーを組んでください!」
やっぱり、俺を勧誘することへ振り切ったみたいだ。
でも、残念──、
「そこまで。現時点で決まっているパーティーメンバーを今から配る紙に書いて提出してくれ」
タイムアップだ。
ご覧いただきありがとうございました。
よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!




