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急募:ソロで勇者になる方法〜悪名高いソロプレイヤーだけど、プロゲーマー育成校で無双してます〜  作者: 風野唄


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013話 白の狂気

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

 音を消したスズヤは、口をパクパクと動かして何かしらの魔法スキルを詠唱していた。

詳細までは分からないけど、杖に集まる光の色で属性までは分かる。

今回の色は透き通る水色。

水属性の魔法か。

恐らく、一度使っているところを見たアクアランスだろう。


 ここで見逃してやるべきか。それともひと想いに倒してやるべきか。

後者の方が賢い選択といえるけど、彼の思いついた作戦がどの程度かを知りたい自分もいる。


 迷っているとそろそろ魔法スキルの詠唱が終わる。

スキルが発動しそうというタイミングで、スズヤが怪しい動きを見せた。

魔法の衣装の袖から何かをポロッと取り出す。

あの形と模様、閃光弾だと思ってまず間違いない。

マップの宝箱で拾っていたのか。


 器用に片手でピンを抜いて、俺に目掛けて放り投げて来た。

俺は咄嗟に目を閉じ、バリアも念の為展開。

直後、鳴り響く耳障りな高音が聞こえ、瞼越しにでも分かる眩しい光が辺りを照らす。


 しばらくしてもバリアが壊された気配がない。

あの魔法は俺を狙ったものでないようだ。

てっきり確実に俺を倒すための策かと思ったのだけど。

何もないならスズヤの生かしておく必要はない。


 記憶を頼りに五発をスズヤのいた位置に発砲。

目を開くときちんと五発ともスズヤに命中していた。

完全にダウンしている。

これで二キル目。


「ダーリン! ダーリン! 大丈夫!? ダーリン!」


 悲鳴が背後から聞こえる。

振り返ると黒男がダウンしており、その擬似体の亡骸を大事そうに抱きかかえる白女の姿があった。

スズヤの攻撃は黒男に当たっていたらしい。


 酷く取り乱す白女。

擬似体は、あくまでも本人をデータから再現した人形に過ぎず本当に死んだ訳ではない。

エデンをプレイしていれば、そんなことは常識中の常識である。

だから、ダウンくらいでここまで取り乱すのは異常でしかない。


「……ない。……さない」

「な、なんだよ、いきなり。ダウンぐらいでヒステリックになるなよ」

「許さないッ!」


 普段は感情が昂る側のアツトも白女の様子を見て、一歩引いて宥め始める。

それでも異常なまでに泣き続ける白女。

黒男の擬似体は、白女が力強く握り続けているせいでミシミシと骨の軋む音を鳴らす。

本人は全くそのことに気付いていない。


「ったくよ。まぁ、良いや。戦う気がないなら、ここでリタイアさせてやるから」


 警戒を緩めて、不用心に近付くアツト。

彼女の目の前に立つと、処刑人のように剣を振りかざした。


「最後の言葉は聞いてやるぜ?」

「コロスッ!」


 今までの黒男を立てるプレイスタイルとは一変して、唐突に立ち上がり、激しい近接戦闘を仕掛ける白女。

アツトはこうなることを予測していたと言わんばかりに、冷静に盾を構えた。


 金属製の盾には貫通せず、弾かれる短剣。

武器を失っても尚続く格闘攻撃。

柔軟な体から繰り広げられる頭を狙った神速のハイキック。

反応して盾で防いだアツトだったが、白女の攻撃は止まらない。

手の届く範囲に落ちた短剣を回収し、ガラ空きになった足に突き刺す。


「こいつッ! どんな戦い方してんだよ! 『シールド……間に合わねぇ」

「コロス、コロス、コロス」


 スキルの発動は近距離戦では難しい。

ましてや、相手は理性を失い、攻撃を続けるモンスター。

スキル発動どころか、瞬きや呼吸すらも躊躇われる。


「『サウンド』」


 アツトがあまりにも劣勢な為、後ろから援護する。

スキルを発動して、距離を取るくらいの時間は稼げると判断した。

しかし、全く反応する素振りを見せない白女。

軽い短剣を振り回して、アツトをジリジリと追い詰める。


「邪魔くせぇー……なっ! 『シールドウォール』!」


 防御の要である盾を投げ付け、怯んだ隙に相手との間に鉄壁という物理的な隔たりを生み出す。

これで立てて続けに攻められていた状況から逃れる。

そういう算段なのが透けて見える。


「コロスッ!」


 白女がここで初めてスキルを発動した。

地面に広めの浅い穴が瞬時に生成。

鉄壁の下を潜り抜け、油断していたアツトを追い詰める。


「まじかよ!? クッソ!」


 驚くのも無理はない。

落とし穴の使い道は罠として設置する以外、思い付かないのが一般的な思考だ。

地形を変化させて、攻撃を仕掛けてくるとは誰も思わない。


 防御する盾もないアツトは剣一本で耐え凌ごうと構えるも、力量の差は明らかだった。

鍔迫り合いの最中、火花が激しく飛び散る。

拮抗しているかにも思われたが、十秒と持たずにアツトが劣勢に。

逃げ場を徐々に失っていく。


「大丈夫かいアツアツくん。手助けは必要かな?」

「敵に助けてもらうくらいなら死んだ方がマシだっての! ってか、話し掛けてくんな! 今、忙しいんだよ!」

「なるほど、なるほど。つまり、嫌ってことね」


 忙しいの見て分かる。

律儀に返事をしているのが優しいと思えるくらいにはピンチの状況だ。

俺は顔見知りに情が湧くタイプでもない。

だけど、助けに入る。

理由はたった一つ。

アツトが嫌がっているからだ。


「『ワープ』」


 二人の間に割って入り、白女をアツトから引き剥がす。

彼女も興奮気味でありながら、人数差があるのはまずいと判断したらしく一旦距離を取る。


「邪魔しないで!」

「同感だ!」


 二人が示し合わせたかのように全く同じタイミングで、声を荒げた。


「そんなに怒らないでよ。速攻で終わらせるからさ」


 白女に向けて走り出す。

自分の手で倒したいアツトは、遅れを取るまいとスラッシュを発動させようとする。

剣を包み込むスラッシュ独特の青白いオーラ。

次のアクションで斬撃が飛ばされる……はずだった。


「と見せかけて、『投擲』」


 ノールックでアツトへ向けて放たれた短剣。


「っんで、俺ばっかなんだよ!」


 スラッシュをピンポイントで短剣に当てるという機転の効いた行動で即死を免れた。


「意外だな。そんな器用な真似が出来るなんて」


 素手で近付き、追撃を仕掛ける。

先程も似たような展開を経験したアツト。

速さ勝負には目が慣れている可能性が高い。

ここはお得意の小細工で刺激する。


「どうせ、ここで隠し持ってた武器とか出してくんだろ!」

「段々と俺のことを理解しているのは素晴らしいね。今後、何回も戦うであろう相手の傾向を掴むのは重要だよ。でも、惜しいな。武器は出てこない……って!」


 握り込んでいた乾いた土を目元に目掛けて投げつける。

武器をイメージしていたアツトの、意表を突く形で視界を奪う。

投げた短剣を回収している間に、視界を取り戻されても厄介だ。

背後に回り、ヘッドロックの要領で首を絞める。


 抵抗のつもりでジタバタと暴れてはいるものの、足の負傷に加えて、首絞めによるダメージで限界寸前。

その力は次第に弱まり、最後の最後は文句の一つも言えずにダウンしていった。

ご覧いただきありがとうございました。

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