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ぽんこつ可愛いアイドルは、妹として愛されたい  作者: 日々一陽
第二章 絶対結婚しような!

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24/25

24話 繋がりって……

ご愛読いただいている皆様、

ブックマークいただいた方々、本当にありがとうございます。

これからもよろしくです。




「凄かったわね!」

「何が? アイアイ? モッシュ? それともマサイ?」

「なんかそんなの。でも楽しかったわ」

「それはよかった」


 ライブが終わるとみんなバラバラに動き出す。カバンにカメラを仕舞い込むもの、ドリンクを貰いにバーカウンターに並ぶもの、ヲタク同士で会話を弾ませるもの、我先に推しの列に並ぶもの……

 いつもなら他のヲタクと雑談を始める拓海だが、今日は美妃が横にいるからか誰も近づいてこなかった。いやそういう仲じゃないんだけどな、まったく変な気を使いやがって……

 と思いつつ拓海は周囲を見渡す。けいたさんはバーカウンターの近くでライスさんと話し込んでいる。


 ここラックスはライブフロアのすぐ横にバーカウンターがあった。

 拓海は同担のかんべえさんを見つけると手を振る。


「やっぱりワンマンライブの発表でしたね」

「予想通りだな。しかしスカイホールかあ。カモミにはちょっと広いかもな」

「でもステップキャットとかじゃないし、いい具合じゃないですか」

「まあそうだね」


 会話を交わしながら野球帽を被ったかんべえさんはチラチラと美妃の方を見ている。


「あ、こちら大学の友達の柳川さんです」

「はじめまして柳川です」


 待ってましたとばかりに美妃は頭を下げる。


「こちらこそ。白色振ってくれてたよね。同担(どうたん)だね。かんべえです。よろしく。しかしひめちゃんのファンになるとはお目が高いね。彼女は推してて安心だからね」

「推してて安心?」


 首を傾げる美妃にかんべえはまるで自分のことのように自慢げに話し始める。


「そうだよ、推してて安心。ひめちゃんって真面目と言うかバカ正直と言うか嘘がつけないタイプなんだよね。この前の配信でも「日曜のランチェキに可愛くない私が混ざってたかも知れません。プロデューサさんにこれは外してって言ったんですけどそのまま入れちゃったらしくて、本当にごめんなさい!」とか、黙ってればいいことを謝らないと気が済まないんだよね。ひめちゃんだけは絶対に繋がりとかはないから安心だよ。うん、あり得ない。もしそんなことがあったら僕はヲタクからキッパリ足を洗うね」

「えっと、繋がりって?」

「もしかして正真正銘のご新規さん?」


 かんべえは美妃に繋がりについて語り始めた。

 彼の豊富なアイドルヲタク経験からひと口に繋がりと言ってもアイドルとヲタクがいわゆる男女の仲になったものから、ヲタクへの情報漏洩レベルのものまで多種多様で…… と熱心に語っていたが果たして美妃にどれほど伝わったのかは疑問だった。なぜなら彼が一通り話し終わった後に美妃から出た質問はこうだったからだ。


「ところでその繋がりってどうしてダメなんですか?」


 かんべえは暫し首を捻る。


「健全なアイドル経営ができなくなるからね。繋がったファンはお金使わなくなるし公平じゃないとバレたら他のファンは離れるし、何より笑顔や希望を売るアイドルがルール違反なんてしたら、もう信用されなくなるよね。なあたっくん」


 話を振られた拓海は慌てて頭の回転数を上げる。

 繋がりの話が出ると必ず出てくるのが「恋愛の自由」と言う観点。


 アイドルが恋愛をしていてもそれは自由だし僕は(私は)推す、と言う人もいれば、恋愛は自由だろうけどだったらアイドルはしないで欲しい、と言う人もいる。それは多分ヲタクの立ち位置によっても変わるのだろう。ちょっと離れて応援する人もいれば自分の恋人のようにガチ恋する人もいるのだから。しかしこの時彼の頭の中を占拠していたのはひとりのアイドルの微妙な立ち位置だった。


「推しが特定のファンと特別な関係になって自分は蚊帳の外、なんてみじめな状況を望むヲタクなんていないと思う。だから少なくとも繋がりってファンの期待を裏切るってことになると思うんだ。ビジネス的にも痛手だしね。でも裏切ろうと思って悪意で裏切るアイドルなんてきっといないとも思うんだ。それは結果論だったり止むを得ない状況だったり……」


「カモミ―ユ 特典会を始めま~す! 宜しくお願いしま~す!」


 拍手が聞こえる。

 3人は慌てて姫路眞名のチェキ列に並んだ。


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