戦闘開始 VSジャガノート
「プラズマリアクター、反応正常です!」
「よーし、安全装置、解除せいや!」
「武装制御回路、開きました!」
格納庫では、メカニックたちが2機の調整を進める。
その隣ではギゼラと烈火がそれぞれ出撃の準備を進めていた。
ギゼラがウェイバーのコックピットに飛び乗り、金髪をかき上げて笑う。
「シグマの雑魚どもか。まとめてぶっ潰してやるさ!」
「いいね、行くぜアネゴ!」
烈火はブレイズの操縦桿を握り、ニヤリと笑う。
フォオオオーン……!
二機のプラズマリアクターが唸りを上げ、プロメテウスのハッチが開く。
『烈火・シュナイダー。ブレイズ・ザ・ビースト! 出るぞ!』
『ギゼラ・シュトルム。ウェイバー・ザ・スカイホエール! 出撃する!』
ウェイバーの紫にブレイズの赤が抱えられ、迎撃のために荒野へと飛び出していった。
~~~
同時刻、シグマ帝国の偵察部隊、タイタン3機の偵察部隊。
アサルトライフルと重砲で武装し、隊長機にはシールドもある。
土色の重厚な機体が荒野を進む中、レーダーがけたたましく警告を発した。
ビービービービー!
コックピット内の兵士が声を上げる。
『隊長! 上空から反応です! 高速で接近中!』
『迎撃準備だ。何者か知らんが、シグマの偵察を邪魔するなら容赦はせん』
隊長がディスプレイを睨み、低く応じる。
と、一機の兵士が緊張した声で続ける。
『見たことねえ機体っす……紫と赤? 何だありゃ!?』
上空から、ウェイバーの紫色の巨体がブレイズを抱えて急降下してくる。
ギゼラが豪快に笑いながら操縦桿を引く。
『行くよ、烈火! 派手にカマしてやりな!』
『オウ!!』
ウェイバーが目標地点に到着すると、ブレイズを投下!
赤い機体が空中で一瞬静止し、ジェットパックのリパルサーリフトが作動。
落下の衝撃を完全に打ち消し、ブレイズは音もなくタイタンの目の前に着地する。
烈火は操縦桿を強く握り込み、ニヤリと笑った。
『さぁて、ここから先には行かせねぇよ』
タイタンのコックピット内で、兵士たちが困惑の声を上げる。
『なんだ!? コイツ音もなく降りてきやがったぞ!?』
『こいつ、エリシオンの機体か!? なんだか強そうだぞ……!』
動揺が広がる中、隊長が鋭く叫び、士気を引き締める。
『怯むな! ここでコイツを仕留めれば、我々の昇格は間違いない。全機、火力を集中しろ!』
ガシャガシャ、ヴィーン!
タイタン3機が一斉に武装を構え、アサルトライフルと重砲がブレイズを狙う。
だが、赤い機体の姿は既に次の動きを見据えていた。
ドガガガガガ!
攻撃の寸前、ブレイズの赤い機体が滑るように動き、タイタンのアサルトライフルと重砲の弾幕を軽やかに回避!
烈火は両腕を粒子バルカンに切り替え、反撃の弾幕を浴びせる。
「食らっとけオラ!」
ドゥン、ドゥン、ドゥン!
直撃! だが、タイタンの隊長機がシールドを構え、被弾を覚悟で突撃してくる。
土色の機体がソニックブレードを振り上げ、鋭い衝撃波がブレイズを襲う!
「チィ!」
烈火は咄嗟にバルカンを粒子ブレードに切り替えた。
青白い光の刃が隊長機の攻撃を受け止め、火花が散る。
『貴様、シグマのタイタンを侮るなァ!』
隊長はコックピット内で叫ぶが、烈火はニヤリと笑う。
「踏み込みが鋭いな。だが……!」
その背後で、ウェイバーの紫色の巨体が上空から轟音を響かせる。
ギゼラが豪快に叫んだ。
『さぁて、まとめてぶっ壊すよ!』
キュオオーン……ドォオッ!!
ウェイバーの粒子キャノンが輝き、一発がタイタン1機に直撃。
重装甲が一瞬で溶け、大爆発と共にタイタンは爆発四散!
もう1機も熱波で装甲が融解、火花を散らす。
『うわっ! 援護が!?』
残ったタイタンから悲鳴が上がるが、隊長機はまだブレイズと激しく刃を交えている。 戦場に火花と爆煙が広がり、決着の瞬間が迫る。
~~~
一方そのころ、シグマ帝国の戦闘空母『ヴァーミリオン』は、低いうなりを響かせながら上空からプロメテウスに接近していた。
烈火とギゼラがタイタンとの戦闘で離れた隙を突き、攻撃の機会を窺う。
艦内の格納庫で、ゲイル・タイガーはモニターを見据え、冷徹な声で部下に指示を出す。
『今回の目的は偵察と調査だ。エリシオンの戦力を正確に把握しろ。深追いは厳禁だ、わかったな?』
『了解っす、隊長! 様子見てサクッと帰るってことっすね!』
『はい、ゲイル様。調査に徹し、無駄な戦闘は避けます』
モニター越しに返答が響く。
青髪をポニーテールにしたルシアが姿勢を正し、真剣な顔で応じる。
褐色肌の巨漢ドレッドが豪快に頷く。
ゲイルは二人を見やり、小さく頷く。
『よし。ジャガノートで出撃する。それぞれタイタンを随伴させろ。副長、我々が出撃次第、ヴァーミリオンを上昇させておけ』
『了解!』
ヴァーミリオンの格納庫が開き、新型コマンドスーツ『ジャガノート』が姿を現す。
タイタンより軽量なフレームで機動性と反応速度に優れ、ガトリングガンと重砲を装備したその機体は、シグマの技術の結晶だ。
ゲイルの機体を先頭に、ドレッドとルシアのジャガノートが続き、それぞれ数機のタイタンが随伴する。
計10機以上の編隊がプロメテウスへと迫る。
「エリシオン……その力をこの目で確かめてやる」
シャクシャク、ゴクンッ。
ゲイルが2本目の携帯食料を飲み込み、コックピット内で呟く。
ヴァーミリオンの影が空に伸び、戦場の新たな局面が開かれようとしていた。
~~~
プロメテウスの艦橋に緊迫した空気が流れる。
オペレーターのヨウコがモニターを凝視し、巨乳が揺れるほどの勢いで報告する。
「艦長! 上空に戦闘空母を確認! シグマ帝国の『ヴァーミリオン』です! さらにコマンドスーツ複数、こちらに迫ってます!」
「う……また面倒なのが来おったか……。れ、烈火とギゼラはまだ戻らんのか?」
レゴンが疲れた顔で低く唸る。
「まだです! このままじゃ襲撃されます!」
「仕方あるまい。兎歌、マティアス、出撃だ! 迎撃しろ!」
~~~
格納庫で、兎歌は愛機『リリエル・ザ・ラビット』に乗り込んだ。
プラズマリアクターが唸り、桜色の機体が動き出すが、その手はレバーを持つたびに震えている。
「うぅ、仕方ないけど怖いですー……でも、やるしかないよね!」
リリエルは艦から離れ、真っ直ぐにジャガノートへと向かう。
正面戦闘は得意ではないが、他に選択肢はない。
『兎歌・ハーニッシュ。リリエル・ザ・ラビット。行くよぉ!』
『マティアス・クロイツァー。ストラウス・ザ・ホークアイ。出撃する』
一方、マティアスは愛機『ストラウス・ザ・ホークアイ』に乗り込み、静かに出撃していた。
ストラウスは小高い岩山に陣取り、大型スナイパーライフルを構える。
「ふむ……敵総数11。これより戦闘を開始する」
荒野の中、鋼鉄の巨人たちが激突!
先陣を切ったのは、マティアスの冷静な狙撃であった。
光学迷彩で隠れながら、ストラウスの粒子ビームがタイタン1機のリアクターを正確に撃ち抜く。
ズドォオン!
爆発が響き、土色の機体が崩れ落ちた。
だが、次の瞬間――ゲイルのジャガノートが重砲を放ち、驚くほど正確な砲撃が岩山を襲う!
マティアスは咄嗟にストラウスを動かし、シールドで某防御。
「敵の指揮官か……侮れんな」
岩が砕け散る中、マティアスの視線が鋭さを増す。
ストラウスのバックパックからはコマンドロボが切り離され、発射地点めがけてセンサーを向けた。
一方、リリエルはジャガノートに突進しつつ、兎歌の焦りが通信に漏れる。
「ひぃー! 当たらないでくださいー!」
戦場に緊張が走り、プロメテウスを守る戦いが始まる。
ジャガノートのコックピットでは、ゲイルが冷静に戦況を分析する。
モニターに映るリリエルとストラウスの動きを追う鋭い目が光る。
「機体の出力、反応速度、火力……全てが明確にジャガノートを上回っている。数の差で有利でも、長引けばこちらが不利だな」
ゲイルは深く息を吸い、通信で部下に指示を出す。
『ドレッド、ルシア。深追いするな。あくまで情報を引き出すことに集中しろ』
冷徹な声が響く中、ゲイルは次の手を考える。
だがその瞬間、ストラウスの粒子ビームがジャガノートに迫る!
マティアスの狙撃は正確で、発射地点を即座に見切ったビームがジャガノートの右腕を貫き、重砲が吹き飛ぶ。
ドォンッ!!
「チッ、狙撃手か……。武器に当たったということは、完璧に発射地点に撃ち返してきているのか。どんな腕だ?」
ゲイルは舌打ちしつつ、負傷した機体を後退させて態勢を整える。
一方、リリエルはドレッドとルシアのジャガノート2機に押されていた。
ドレッドの荒々しい突進と、ルシアの迅速な連携攻撃に、兎歌は翻弄される。
『うわっ、速いー! 強いよぉー!』
ガトリングガンの弾幕がリリエルを襲うが、粒子コートが辛うじて弾き返す。
『こんのぉー!』
ドドドドドッ!!
リリエルはコンテナを開き、ミサイルを一斉に発射!
爆音と共に随伴するタイタン数機が大破し、土煙が上がる。
だが───
「ミサイルごときで俺を止められるかよ!」
「敵の火力は高いですが、こちらの連携で押せます!」
ドレッドが豪快に笑いながらガトリングガンで迎撃!
ルシアも冷静に追随し、ミサイルを正確に回避する。
リリエルは2機のジャガノートに挟まれ、兎歌の焦りが限界に近づく。
戦場は一進一退の緊張状態に突入していた。
『3機抜けた!、艦に向かうぞ!』
兎歌とマティアスは懸命に敵の進撃を食い止めようとするが、数機のタイタンがプロメテウスへと突き進む。
艦の機銃が唸りを上げ、1機を撃墜するも、他のタイタンが重砲を放つ。
ズドォン!
轟音と共にプロメテウスが揺れ、艦内に衝撃とクルーの悲鳴が響き渡る。
『うわっ、ロムーが!』
兎歌の声が震え、リリエルは懸命に動き回る。
一方、ゲイルのジャガノートはストラウスの自立型コマンドロボを捕捉し、ガトリングガンで一掃!
破片が散る中、ゲイルが冷たく呟く。
「小細工が過ぎるな」
だがその瞬間、ストラウスの粒子弾が正確に反撃。
ドゴォン!
ガトリングガンが吹き飛び、ゲイルの機体が一瞬よろめく。
「ちっ、反応が速い……!」