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灰空戦記【勇者の旗の下】  作者: アオン
ダ・ギヴ編
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19/21

【再結成】


クツワムシのガチャガチャガチャ!と言う

羽音の爆音の中、背にしがみ付く

トールスとタント。


「耳が死にそうですし、

乗り心地は最悪ですけど……」


「めちゃくちゃ速いですね!」

「おう!これなら直ぐじゃ!」


ーーーー

カララス森


矢の雨をウニモグが仲間を庇い背中で受ける。


「族長!なにやってるんですか!!」


「ふん、こんなのイバラに

落ちた時の方が痛かったわ!」


羽を擦り合わせ空気を連続で叩く

奇妙な音が響き目前に砂煙と共に落下!?


砂煙の中から

「モグちゃん、待たせたな」


ウニモグがニィと笑い。

「一つ借りだな?」


トールスが大剣を片手で背負いニヤッと

「猿酒一樽でええど?」


「はっは〜!秘蔵のをくれてやる!!」


敵を前に並ぶトールスとウニモグ。

「モグちゃん、なんか付いとるど」

と無造作に

ウニモグの背中に刺さる矢を引き抜く。

「痛っだ!」


ウニモグが少しトールスを睨んだ後

「……本隊の撤退がまだ完了してない」


「ほんじゃ、もうちょい踏ん張るかの?」

大剣を構え敵に向く


ウニモグも戦斧を構え並ぶと

「なんか、この感じ……」


トールスも思う所があり口元を緩める。

「懐かしいのう」


ウニモグも牙を見せて笑う。

「ああ。魔牛の森での

【ミノタウロス百頭斬り】以来だ」


それを聞いたタントが目を丸くする。

魔王戦争の後半に

新聞の一面を飾った内容だったが

ミノタウロスは1匹で

小さな村が大混乱する強さを持ち

流石に誇張だと当時は笑って

近所のガキと喧嘩した記憶が有る。


「えっ!?魔王戦争の!?

あれって

戦意向上の為に誇張された宣伝じゃ!?」


トールスが鼻で笑う。

「何を言う。本当じゃ!ワシが六十!」


ウニモグが即座に割って入る。

「嘘をつけ! オレが五十四だ!

トールスは四十六だろ!!」


トールスがジロリと

「……細かいことを覚えとるのう?」


ウニモグは楽しそうに声を上げ笑い

「がははは!当たり前だ!

あの勝負は今でも覚えてる!」


タントは呆然。

「そこが訂正するとこなんだ……。」


トールスとウニモグの二人は

顔を見合わせる。


「おっしゃ!久しぶりの

【パワーファイターズ】再結成じゃ!

今日はタントも入れて+1じゃの!」


「「行くぞ!!」」「はいっ!」


ーーーー


ウニモグが槍を捌くタントを見て

「おい若いの!コレを使え!」と

ナイフを投げ渡す。

くの字に曲がったナタ?……

ウニモグ比較だと

ナイフに見えた、を受け取る。


「ククリ刀だオレ達には馴染みの物だ!」


退がる為に重装兵を斬り付ける!

どうせ斬れないだろうが

怯ませればOKだ。


だがククリ刀の特徴の湾曲した刃と

重量配分によって斬撃に力を伝えやすく

タントの攻撃は重装兵の籠手にめり込み

前腕を叩き斬る!崩れ落ちる重装兵。


「えっ!?

コレ!めちゃくちゃ良いです!」


ウニモグはニッと「良いだろ!」と

横一閃!数名吹き飛ばし

更に横でもトールスが盾ごと2名叩き斬る!

「相変わらずすっごいパワーじゃの!?」


「トールスだって

人間族だったら化け物クラスだろ!?」


パワーファイターズの英雄と言われる2人の圧倒的な戦闘に尻込みする討伐隊。


暫く戦闘していると

討伐が極端に距離を取り始める。


「んははは!

ワシら強さにビビったかの!?」


「ハァハァ、ちょっと休憩ですかね?」


警戒していると……

複数の風切り音が響いてきた。


爆発が起こり木々を薙ぎ倒す!!


爆風を腕で防いでいたタントが

「なんだ!?」と言うと。


ロウ教官が

「彼奴等!

臼砲まで持ち込みやがった!!」


討伐隊の包囲網の後方に

小型臼砲を並べ簡易的陣地を構築して

山なり弾道で包囲網の中に

砲弾を次々と送り込む!


包囲網内に次々と爆発が発生する!


「どひぃー!

流石にワシもこれはキツいど!」


流石に砲撃相手に何も出来ない

トールスが窪地で身を低くしながら叫ぶ!


なるべく低い位置に避難する

ウニモグは顎を揉みながら

「うーむ、

しょうがないウランカ橋まで退がろう

今から行けば最後尾は抜けてる筈だ」


拾った盾の下に伏せているタントは

「そこまで行けばっ!(爆発)

どうにかなるんですか?」


「……ああ」とウニモグが頷くと。


「そうと決まったら逃げじゃ!

モグちゃん案内頼むど!」


「わかった!付いて来い!」

ウニモグが走り出す

すると包囲網に突き当たる!

狼狽える前衛に

「どおぉー!せいっ!」と

戦斧を振り抜く!5人ほど吹き飛ばすと


「モグちゃん頭下げい!」

トールスがウニモグを踏み台にして

跳躍して振り下ろし!更に左横薙ぎ!

大股で一歩踏み込んで右薙ぎ払い!!

包囲網に一点の穴が空く!


「タント!」大声で呼び

「チュウ!ロウ!」とウニモグも叫ぶ!


トールスとウニモグがほぼ同時に

「道を広げい!」「道を広げろ!」


「了解です!」

「承知!」「了解した!」


答えると同時に包囲網の穴に

3人が割り込み我武者羅に腕を振るう!


タントがククリ刀で叩き斬り。

チュウ老師が連続突きからの蹴りで、

ロウ教官は両手の鉄の爪で切り裂き

噛み付きで引き千切る!


一点の穴が道へと広がる!


ウニモグが大声で命ずる!

「全員行け!!ウランカ橋だ!」


老兵達がその道を一気に駆け抜ける!


トールスとウニモグが

殿に付き交戦しながら退がる!


大地の裂け目と言うのが似合う

渓谷に掛かる一本橋ウランカ橋が見えた!


周囲には友軍の姿は無い!

タントは

息絶え絶えにウランカ橋を渡り切る!


すると、

「遅かったですね?」


タントが咄嗟に構える!

とロウ教官が手で遮る

「エルフ、友軍だ」


金髪に尖った耳の戦士

他にも森に紛れて複数居る。


他にも小柄だが筋肉質で髭を蓄えた

二本角の兜を被った戦士……ドワーフだ。


エルフの戦士は

「主力は私達の支援で

【1時間程前】に通過完了してます」


1時間程前と言うのを聞いて

一瞬頭に血が登るタント

「なっ!?いや!今はいい!」


タントは息を思い切り吸って大声で

「トールスさん!モグちゃんさん!

主力撤退完了してま〜す!!」


「おお!朗報じゃの!」

と目の前の追撃兵を蹴り飛ばして

「モグちゃん!もうええど!」


ウニモグは「おう!」と戦斧を一振りして

二人同時に回れ右して駆け出す!


「んははは!

モグちゃん息上がっとるど?

族長仕事で鈍っとるんか!?」


「ハァハァ……

ま、まだまだ……現役だ」


エルフ兵が手を振り。

「ウニモグ族長と

もう一人の撤退を援護する!」


エルフ兵数名が

長弓を一斉に引き絞り……放つ!


普通はこういう時は集団に向けて

適当に射つものだが

矢は正確に追撃兵に命中する!

しかも次射も速い!

噂通り、いや噂以上の弓の旨さだ!


エルフの援護射撃の元

トールスとウニモグが

ウランカ橋を渡り切る!

二人が回れ右して武器を構える。


追って来る追撃兵が

橋の中頃まで迫っている!


するとドワーフの一人が

「……伏せろ」と言う。


同時に身を低くする。


ドワーフがT字の棒が付いた箱の

T字棒を押し込む。


凄まじい爆発が

ウランカ橋の中央で発生し

多数の追撃兵と共に橋が落ちた。


ウランカ橋が掛かっていた

渓谷は少なくても長さが数十キロに及ぶ。

短時間で回り込むのは不可能だ。


対岸との距離は

追撃兵達の弓矢では射程外になる。


臼砲は重量故にまだ追いつかない。


がエルフの長弓は対岸にも届く。


討伐指揮官は苛立たしげに

長弓の射程外まで退がる様に指示する。


「司令部に伝えろ……

ウニモグ討伐に失敗。

ウランカ橋が落ちた為、即時の追撃不能」

と通信兵に伝えた。


トールス、ウニモグは

やっとの思いで一息吐くと

ウニモグがエルフの戦士に現状を聞く。


主力はウランカ橋で

エルフとドワーフの協力で

1時間程前にウランカ橋を通過。


既に多数が

獣人の里に到着しているとの事だった。


現状を聞いたトールスは

エルフの両襟を引っ掴み顔を近付け、

「ほんなら早よ〜言わんかい!

こっちは死にかけたんぞ!!」


エルフは苦しそうに埋めきながら

「うっ!ほ、報告は無線で何度もした」


ウニモグは腕組みしながら聞いていたが

「あっ」と言うと。


通信兵(ウサギの)がやられて以来

通信途絶状態だったのを思い出した。


トールスはそれを聞いて手離す。


エルフは咳き込みながら

「だから、俺たちが残って

ギリギリまで待ってたんだ」


トールスは慌てながら

「す、すまんの!知らんかったんじゃ!

詫びに【ウニモグの猿酒】

好きなだけやるからの!のっ?のっ?」


「おい、トールス!ふざ……け……るな」

ウニモグが倒れる。


「モグちゃん!?

おう!担架!いや荷車持ってこんかい!」



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