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灰空戦記【勇者の旗の下】  作者: アオン
旅立ちの時
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10/22

【御前会議】

ヴァルクラント王宮

御前会議場


ヴァルクラント国旗を背負う様に

豪華な王冠に白狼の毛皮の襟を持つ

ケープを纏う立派な髭を蓄えた

ヴァルクラント王が上座に座り。


そのもっとも近い右手に座る

魔道具で投影されたアルトリウス

他将軍や参謀等が

巨大な地図を囲み列席している。


参謀が報告する。

「聖都フィーラ方面。鎮圧完了!」


「エリクシルは飛空艦建造数が

前年の約1.5倍に達しています。

それと

エリクシル系傭兵艦隊の動きが活発化

各地で被害が出ています」


「ダ・ギヴ山森連合との

資源協議は悪化の一途との事です」


「ヒノモトは依然鎖国を継続して

沈黙を貫いています」


「他の中小国が理由は様々ですが

我が国境への軍の移動を確認しました」


老将軍が鼻息を鳴らし

「明らかな敵対行為ですな」


王がゆっくりと言葉を発する

「敵対ではない……【恐怖】だ」


御前会議場が静寂に包まれる。


王は続ける。

「我らは魔王を倒した。

だが今度は我ら自身が恐れられている。」


将軍にしては若めの将軍が

チラリとアルトを見ながら

「しかし、

フィーラ正教を国教としている国は

アルトリウス殿と聖女の婚姻で抑えれる筈

……だったのですが?」


アルトリウスは頭を下げ

「……申し訳ありません、

聖女は目下捜索中です」


肥満気味の貴族将軍が皮肉っぽく

「勇者殿といえど、

花嫁の心までは討てなかったようですな!」


会議場内に

クスクスと言う笑いが所々で起こるが

参列者の反応は様々であった


クスクスと嘲笑した者、

発言者を睨む者、無感情を貫く者と……


参謀は会議を進行する為淡々と語る。

「各国は表向き中立を主張しています。

しかし実態は……」


地図に赤線。

ヴァルクラントを囲む。


「対ヴァルクラント包囲網が

形成されつつあります。」


全員沈黙。


ヴァルクラント王が静かに

「ならば、戦争は近い。」


王のその一言に

列席者はゴクリと固唾を飲む。


……その中、

アルトリウスは地図から目を離さず、

小さく呟いた。


「……違う」


ーーーー


【エリクシル・実験棟】


実験終了後。


エルグラが古い海図を広げる。


魔力嵐で黒く塗られた海域。


俗称「船の墓場」


エルグラはそこを指しながら

「魔王戦争後、

弊社の実験艦が消息を絶ちました。

この艦は高出力魔導主機を搭載しています。

あなた方の欲しい出力は十分でしょう。」


トールスは腕を組み

「ほう」と唸る。


「ただし……」

エルグラは海図と並んでいる

実験艦の見取り図の一点を指差す。


「艦内に棺桶に似た保存容器があります。

それも回収してください。」


沈黙。


トールスはジトリとエルグラを見て。

「……オンドレ。

最初からその棺桶が本命じゃろ?」


エルグラはニコリと

「ギブアンドテイクですよ」


トールスは掴み掛かりそうな勢いで

「ギブギブギブアンドテイクじゃ!」


さらにエルグラは平然と……

「ちなみに主機ですが〜

弊社所有物なので代金をーーー」


「待て待て待て!

くれるんじゃろ?所有者はわしじゃ!」


エルグラは笑顔を崩さず

「……違いますね会社です」

何を言っても態度を崩さないエルグラ。


「ぐぬぬ……ほ、ほんじゃあ……

棺桶回収で主機代という事でどうじゃ?」


エルグラはヤレヤレと

手を広げ、頭を振りながら……

「……はぁ、しょうがないですね。

それで手を打ちましょう」


トールスは拳を震わせながら

「アイツ、

全部終わったら一発ブン殴っちゃる」


そんな事も意に介さず

「所で?懐かしい魔力をマル……

トールスのボロ船から感じるのですが?」


「ちっ!やはり気付くか?」


「僧侶のお嬢さんも御連れに?」


「……多分の」

「多分?」


今までの経緯をエルグラに話す。


「……ほう、興味深いですね?

私の魔力探知でも僧侶のお嬢さんだと思いますが……確かに妙な違和感が有ります」


「そうじゃろ?なんか思い付かんか?」


「一度連れて来て下さい」


「……」


「……どうかしましたか?」


「本音は?」


「アムダを倒した時の魔法!

アレの再現をしたいのですが

手掛かりが全く掴めなかったのです!

本人かは不明ですが

同質の魔力を持っているという事は

直接調べれば何か糸口が掴める筈です!

さあ、早く!連れて来るのです!」


「アホか!んな事やって

また消えたらどうするんじゃ!?」


「……確かに、貴重なサンプルですからね

私の方でも少し調べてみましょう

それまで貴方にお預けしましょう」


「別にオドレのモンじゃなからろう

じゃが調べるのは頼ま」


「ええ、分かりました」

「……なんか、不安じゃの〜」


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