表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『一組 ─今日からあなたたちは詐欺師です─』  作者: ミタラリアット
一年生 一学期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/65

五十二話『逃げた気になったネズミの末路』


 『挑戦者、前へ』


 会場に響き渡る男性の声と同時に、正面に立つ生徒会の三人の前へ移動する本田。


 負ければ、そこで敗退――――。


 『戦いたい相手を選んでください』というアナウンスと同時に、観客席の後ろでは生徒会全員の賭け券を握りしめた男が、祈るように座る。


「…長谷部…」


本田が長谷部のほうに行こうとした時、さくらが「私と戦いなさい」と本田に命令する。


「いや…」


 会長を避けようとする本田。


 さくらは「私と戦いなさい‼」と再度大声で言い、


「…」


 本田が逃げられないような空間を作る。


 長谷部の前に立つ笹井。


 ケンは「え、俺は?」と戸惑う。


 本田は、「…」と諦めるようにさくらの前に立った。


 その時、一組の教室内では、


「ちょ、本田の奴‼ 会長選んだぞ会長‼」


 と佐田が指を指して騒ぐ。


「カップル試合だ‼」


 と頭を抱える飛鳥。


「でも、待て、ほんまに不味いんとちゃう⁉ 本田…負けてまう…」


 悩む布田に、「ねぇ…‼ 生徒会長、笑ってる‼」と叫ぶ志田。


「やばいよ怖いよ…」


 怯える志田に、茅野は「今日の健康値測定の結果からすると…これは…98%の確率で…会長の勝ち…」と分析する。


 茅野の後ろにいた鈴木が、「じゃあ2%は何なんだよ」と茅野に問いかける。


「本田くんは…何するかわからないから」と答える茅野。


「…でも本田くん」と茅野は続ける。


「ストレス数値が…高い」


茅野の言葉に、増田が「なんでわかるんだよ」とツッコむ。


 星野は茅野の席まで移動し、笑顔で「じゃあ、笹井さんのはわかるの?」と訊ねる。


 茅野は、「いや…笹井さんのは…」と目を逸らす。


(どういうこと?)


 星野は本田だけ分析できた茅野に違和感を覚える。


「結局茅野さんの勘じゃない、あの本田くんがストレス抱えるような事あるの?」


 と言いながら支払い分が書かれた紙を紙飛行機にして飛ばす朝日。


 その紙飛行機が前の女子生徒にぶつかり、


「ねぇ痛いんだけど」


 と朝日は言われてしまう。


「そこに座ってんのが悪いんでしょー」


 と言いながらノートに落書きを続ける朝日。


「…」


 女子生徒は黙って朝日を見つめつつ、モニターに向き直るのだった。


 「はぁ」と溜息を吐きながら星野の席に移動する志田。


 志田は、「ちょっと星野ちゃん話あるんだけど別室行こ」と星野を誘う。


 星野は、「いいよ♡」と別室へ行こうとする志田についていく。



 競技祭会場の本田は、さくらに連れていかれ、いつもより豪華なテーブルに招待されていた。


 笹井と長谷部の試合とは違い、監視役も囲むように立っている。


 さくらは、「これで不正は出来ませんね?」と微笑んだ。


 本田は下を向きながら、さくらと視線を合わせようとしない。


「あら? どうされたの? 私はあなたのこ・い・び・と、でしょ?」


 と、わかっていながら煽るような口調で言ってくる。


 ディーラーが監視役に困惑しつつ、それぞれにカードを配った。


「今回。二度もあなたは不正を働いた。その証拠はお父様のタブレットにしっかり記録されています…。私はどんな不正をあなたが働いたのか知りませんが、まぁ後でタブレットを借りればわかる話です。」


 本田は下を向きつつ、さくらのカードに目をやる。


「…観察しても無駄ですよ? 私はあなたとは違って正々堂々勝負しますから。もしここであなたが不正をしようと言うのなら、公表だってできます」


 カードを二枚交換するさくら。


 一方の本田はカードを三枚交換する。


「それと――――」


 さくらはそう言うと、


「ここでルールを変えます」


 と口角をあげる。


「え?」


 と思わず顔をあげる本田。


「本田湊くん。もしもあなたが私に負けたら……あなたの携帯。私に見せてください」


 さくらの頼みに、「ああそれは構わな」と言いかける本田。


「…二台」


 と呟くさくらに、「なッ」と言葉を詰まらせる本田。



「知ってました? 学生証アプリが入っているスマホは、ネットワークログから利用情報を全部見れるんですよ。誰がなんのアプリをどれだけ使ったか。など…。でも…一台だけ。学園のインターネットに接続していないにも関わらず、深夜帯に学園内で外部通信している端末があった。つまりどういう事か。学生証アプリが入っていないスマートフォンが持ち込まれているんですよ」さくらは長々説明する。


「教員の可能性だって」


 と逃げ口を探す本田に、さくらは「まさか」と口角を上げた。


「教員や監視役、その他全ての学園に常に立ち入る人物のスマートフォンには、【職員証アプリ】が導入されています。…説明なんていちいちしませんが。それと深夜帯なら競技祭で来るような客のものでもない…」


 さくらの説明に、本田は「なぜ俺に絞った」と訊ねる。


「二年や三年に持ち込んでいる可能性がある人間がいると?」


 カードを見せながら言うさくらに、本田も遅れてカードを見せながら、「嗚呼」と答える。


「フルハウス」


「フォーカード」


 さくらはフッと微笑む。


 さらにカードが配られては、「でも…あなたのように不正を働ける二年生や三年生は、今のとこ見た事ありませんわ…この競技祭で既に前科がある…あなたを第一に疑うのが筋では?」


本田は、「…」追い詰められるような表情を浮かべる。


「証拠不十分だ」と言いながらカードを交換する本田に、「そうでしょうか」と返すさくら。


「あなたはさっき、構わないと仰いました…普通、携帯見られるのなんて嫌でしょう? 私には、用意周到だから見られてもいい。って言ったようにしか見えませんが」


 とさくらもカードを交換しながら言う。


「…本物だ」


 と続けるさくらに、「え?」と首を傾げる本田。


「あなたの苗字から、まるで自分が【本物】だと言いたいような。そんな主張が取れるのです」


と言うさくらに、本田は「偶然だろ」と答えつつ、さくらとほぼ同時にカードを見せる。


「スリーカード」


「ツーペア」


 さくらはまたほくそ笑む。



「あら? 本田くん。いつもの悪知恵はどうしたの?」


 煽り好きのさくらに、本田はただ手が出ない。


「まぁ…負けたら携帯見せてください、なんて冗談ですけどね。」


 さくらはそう言うと、「本田くんとの試合は収穫沢山です♡」と嬉しそうに言った。


 遠くの席から追い詰められる本田をちらっと見る笹井。


「強いなお前」と笑う長谷部に、笹井は「伊達にクラス委員…やってませんから」と答えた。


 緊張感で包まれる会場の隅で、監視役が何かを記録し、楚々辺は椅子に足を組んで座っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ