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『一組 ─今日からあなたたちは詐欺師です─』  作者: ミタラリアット
一年生 一学期編

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三十一話『屋上の不思議』


「で」朝日は本田を見つめる。

「調査依頼受けるって具体的に何すんの?」


朝日の問いに、「嗚呼」と本田は数秒間があった後反応する。


「世の中には知りたい事がある奴が山ほどいる。その人たちの代わりを俺たちで勤める。【なんでも調査隊】とか適当に銘打ってホームページを作ってついでにSNS用アカウントも作る。それでこっちはAIを使いながら学園内で答えられる範囲の事を答えて纏める。それを納品した対価で別ルートから稼ぎつつ、情報さえ手に入れる」



本田の作戦に、「なんか詐欺のほうがよほど稼げそうね」と朝日は冷静に言うが、「それはあいつらがやるだろ」と本田は遠くで「どうしよ…」とあたふたしている茅野たちを眺めながら返した。


飛鳥は「前に俺たちにコロナについて調べさせたりしたけど本田はなんでそんなに情報を集めてるんだ」と本田に問いかける。


本田は「…」と考えた後、「やるぞ、手動かせ」と飛鳥を無視する。

「いやちょっと本田⁉」と驚く飛鳥。



「俺が情報集めてる事がそんな気になるのか」と飛鳥にジト目を向ける。

飛鳥は「なんだなんだ」と焦る。


朝日は「アンタまさか盛田さんと同類とかそんなんじゃないでしょうね」と飛鳥にジト目を向ける。

飛鳥は「えぇ⁉俺にそういう仕事が務まると思うか⁉」と朝日に言い返す。


朝日は「アンタみたいな馬鹿には無理、冗談よ。多分、本田くんも」と答える。

本田も、「不自然な言動は控えたほうがいいぞー」と棒読みで飛鳥に言う。



学園スマホを開く本田。本田はとりあえずSNSアカウントを作る。

朝日は「本当にこんなんで外部依頼が来るとは思えない」と溜息を吐く。


本田は「まず動かないことには結果はわからない」と朝日に言い返す。

朝日は「んもー…私こいつに振り回されんの嫌―」と嘆く。


榎本が「いいじゃんいいじゃん、本田くんなら絶対失敗しないよ」と朝日に言う。

「根拠はどこにあんのよ」と榎本に問う朝日に、榎本は「目?」と考える。



「はぁ?」全く根拠がない榎本の発言につい呆然としてしまう朝日。


榎本は、「ほら、本田くんみたいなキャラって明らか目死んでそうじゃん、でも本田くんってこう見えてなんかメラーってしてるって言うか、なんだかんだ言いながら私たちの事見てくれてるのかな?って♡」とニヤニヤする。


女子トークを気にせずスマホを眺める本田。



朝日は「それはどうだか」と返しつつ、飛鳥が何かを開いているのを見て「アンタなにしてんの」と訊ねる。


「ん?スマホゲームだが」と答える飛鳥に、「ちょっとちゃんと私たちについていきなさいよ」と言いながら近づき、その飛鳥のスマホを没収しようとする朝日を、榎本が「はいはい」と言って宥める。


本田は飛鳥に、「多分その学園スマホ、先生が履歴見ようと思えば安易に見れるぞ」と棒読みで言う。

飛鳥は「こ、校則違反になったら」と手を止める。



「朝日、榎本、飛鳥。お前らに頼みたいことがある。このアカウントに入って最初の顧客を取ってホームページにレビューを書いて貰え」


本田からの指示に、朝日は「本田くんは何するの」と訊ねる。


「俺は…」本田は学生証アプリが入った私物のスマホを見る。

「ちょっとトイレに」本田はそう言って教室を立ち去る。


朝日は「トイレにスマホ持って行って何すんの」と去って行った本田を見て吐き捨てる。



飛鳥が、「とりあえず俺たちはSNS運用か」と本田の指示を整理する。


パスワードが書かれたメモを見る朝日と榎本。

「なんか本田くんのメモ帳…可愛くない?」と朝日は引いたような口調で言う。

榎本は「シロクマさんだ…⁉」と目を輝かせる。



飛鳥がパスワードを読もうとするが、「あいつ字汚いな…」と呟く。


「ちょっと見せなさい」と朝日がそのメモ帳を奪う。

「え」朝日はその字体を見て目を丸くする。

「…小学五年生?」


やたら大小ガタガタして統一性が無く少し右曲がりな本田の字を見て、朝日は次第に真顔になるのだった。

榎本は「意外かも♡」と嬉しそうな様子だ。



当の本田本人はA棟の屋上にいた。

遅れるようにホノカが屋上に来る。


「いつかお前から呼び出される日が来ると思っていた」薄ら笑いを浮かべるホノカに、本田は「お前、夜叉鏡や光道教について詳しいんだな」と問いかける。


ホノカは「ふッ、詳しいどころか、夜叉鏡を夜叉鏡という存在にした張本人がこの私だ。だがそれを知ってお前はどうするんだ。粗探しでもしているのか?目立つばかりだぞ」と本田の背中に言葉を靡かせる。


屋上では、清らかな風が二人の間を通るように吹く。



「年齢詐称か」本田が呟くとホノカが「私はもうお前たちのように【年齢】で測れるような存在ではない」と返す。


「不老不死だ、とでもいいたいのか?そんなフィクションみたいな話など」と本田は興味なさげに屋上から海を見渡しながら答える。


「私は――――。死神だ。お前の嘘も。真実も。全てこの目に映る」とホノカは口角を上げる。


「言ってみろ」本田がホノカに試し行為をしては、ホノカは「―――――」とはっきり言った。


「な…んで」と本田は振り返る。



その瞳は静かに揺れた。「私が死神だと信じるのなら、お話してやってもいいぞ」ホノカの余裕そうな態度を、本田はジッと観察する。



「…一応話は聞きたい、お前がただの厨二病じゃなければいずれ事実と立証できる。」本田はホノカの表情の変化などを見ながら言う。


(なんだこの溢れ出る余裕は…)とホノカを不気味に思う本田。


「それよりお前に聞きたいことがある」ホノカは十字架のネックレスを本田の真正面で揺らす。


「…お前は【正義】と言う概念についてどう想う」


ホノカの問いに本田は、ボーっと後ろの景色を振り返りながら、「馬鹿に限って提唱する、行動を制限する足枷のようなものでありながら、暴走を助長する舵のようなものだ」と何かを思い浮かべながら口元だけで笑った。


ホノカは「垂直に誰かを助けるための原動力、とでもいえばいいものを」と呟くホノカに、本田は「なぜそんなことを聞いたんだ」と訊ねる。「…あいつは…夜叉鏡の全てのはじまりは…【正義】だったんだ。それを私が無理矢理追い込んだ。」ホノカの切なげな表情に、本田は「…」と一度思考停止する。

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