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『一組 ─今日からあなたたちは詐欺師です─』  作者: ミタラリアット
一年生 一学期編

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二十一話『歓迎されない新入生』

▽ 


その後、さくらが原稿を取り出す。赤い台紙には校章が付いている。『新入生の皆様』さくらがマイク越しに声を発する。長らく言葉を述べた後、『新入生の皆さんには、この学園で切磋琢磨クラスメイトたちと協力して三年間を過ごし、我が校の生徒として胸を張って、大志を抱きながら大きく空へと羽ばたいていただきたいです。これにて私の祝辞を終わります。入学式でも、似たような事をお話いたしましたしね?では、二年生の皆さんは教師の皆さんに続いて教室へ戻ってください』


さくらの言葉の後、教師の指示が入り、二年生たちは皆、生徒会を残して体育館を出ていく。


「え、三年生は」と呟く鈴木。


「さっきまでいたの全員二年かよ」と増田も驚く。


「三年生も混ざってるのかと」志田も動揺する。


動揺と混乱で他クラスを含めて一年生たちが騒然とする中、体育館は暗転し、先程部活紹介で使ったスクリーンが降りてくる。


(なんだ…?)と本田も心の中で呟く。


暗闇にうっすら映し出されたのは盛田の顔が付いた身分証。


「あれ…盛田さんじゃない?」志田がスクリーンを指差す。


「で、でも内閣府ってぇ…」と布田が素っ頓狂な声をあげる。


暗闇でよく見えないが、映像の中で『やめて、やめて‼』と何度も叫ぶ盛田の声と、その盛田がいる場所へ伸びる無数の人間の手のようなものを確認できた。


「なんだあれ…」

と佐田や星野も困惑する。


そして一瞬だけ、培養ポットの中に、赤い液体と共に人間が閉じ込められている映像を本田が視認した。だが培養ポットに関しては他の生徒は気がついていない様子だった。


さくらは、「校則違反には気をつけてくださいね♡」と不気味に微笑む。


その言葉を最後に、体育館の照明が点灯した。


志田は、「なに、なんなの…盛田さんはつまり」と言いかける。それには触れてはいけないような雰囲気が漂うまま、整列で生徒たちは教室へと戻らされた。



五月最初の座学。


出海奈はジャージ姿で腕を組んでいた。物々しい空気が教室に蔓延する。


「…盛田が追放された。盛田は内閣府の情報調査室のメンバーだった。余計な事を盛田に話したやつはいないな」


出海奈の言葉に、生徒たちは頷く。


「で、でも確かに、盛田さんは一人で五十万稼いでた…今思えば納得よ」

と朝日は発言する。


志田が「後だしもいいとこね」と朝日に冷たい視線を向ける。


「わ、私に発言権ってないの?」と朝日が言うが、鈴木に「四月から朝日はずっと偉そうにしてたからなー、実力も無ければ俺たちについてもいけないくせに、なぜかライティング班で仕切りたがり。」と朝日に対し厳しい評価をする。


星野は「ちょっと、盛田さんに対して気づいた事を言っただけじゃない」と周りを制止する。


朝日は少し落ち込んだ表情を見せつつ、椅子に座り直す。


笹井は、「とりあえず今は座学。私たちは黙って聞くだけよ」とその場を宥めた。



「これからクラス委員を中心に詐欺でも行事でも動いてくれ。お前たちは詐欺の外でもう二人の追放者を出している。一人目は脱走、二人目はスパイ。詐欺そのものでは優秀だが、規律管理や授業態度などの姿勢ではまだ他クラスに劣る。他クラスはまだ一人も追放者を出してなかったはずだ。もうこのクラスは二人も欠けた。つまり、今後他クラスとの競争があった場合に、お前たちは不利になる。…この学園にはカジノもある。それがどういう意味かわかるか。つまりそのカジノはただの遊び場では無く、人生を賭けた選別が行われる場でもある。この学園においての【負け】は単なる負けじゃない。【終わり】だ」



出海奈の言葉の後、鈴木は「でも、捕まった後の盛田は生きてた…この学園で違反者は死ぬっていうのがルール…」と出海奈を見ながら呟く。


「いま盛田が生きている証拠なんてないだろ」


出海奈の返しに、鈴木は「ぐッ…」と言い返せなくなる。


本田は頭の中で盛田の《同類ですか?》と言う発言を気にする。あれは盛田なりの探りだったのだろうか。


志田は手を震わせながら、「盛田さん…どうなるの…」と俯いて呟く。


出海奈は「遅かれ早かれ、死ぬだろうな。」と事実だけを述べる。


「他に捜査目的か何かで来ているやつがこのクラスの中にいるのなら、下手な真似は辞めておけ。」


出海奈の言葉を聞いた生徒たちは周りの生徒たちに視線を向ける。


「辞めてよッ⁉私じゃない‼」と叫ぶ志田。


星野は「信じてるよ志田ちゃん」と言うが、志田は「本当に星野ちゃんはただの星野ちゃんだよね」と疑う。


「信用できない?」と星野が少し悲しそうな表情を見せる。


鈴木は増田と布田を見る。


「俺なわけないだろ」と腕を組みながら言う増田。


布田も、「あれだけ仲よかった俺らを疑うん⁉」と頭を抱え叫ぶ。


笹井は本田に、「まさかあなた」と言うが、本田は「だとしたら指示役がしたいだなんて先生に言わない」と笹井に答える。


「茅野、お前なんじゃないのか」本田が茅野に振ると、「違う‼そんな裏切るような真似しないよ‼」と茅野は叫ぶ。



「とりあえずクラス委員は目立つし行動もわかる、何かがあれば全てクラス委員に言うことにしろ、くれぐれもクラス委員以外の生徒同士で細かい相談や個人情報が伴うような身元が割れるような会話をしないこと」


出海奈の指示に、生徒たちは「…」と俯く。


「今日の座学の内容は【相手の心理を揺さぶる方法】だ。タイミングもタイミングな上に少し難しい話になってきたがな。必ず役に立つ日が来る。じゃあ、マニュアル開け。はじめるぞ」

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