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『一組 ─今日からあなたたちは詐欺師です─』  作者: ミタラリアット
一年生 一学期編

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十五話『情報の一番ホーム』


 本田たちが食事に行っている間、鈴木、増田、布田の三人がカジノの前にいた。


 「三人でありったけの金持ってきたけど大丈夫だろうか」と言う増田に、鈴木は「でも稼げば俺たちクラスに貢献できるぜ‼」と気楽な返事をする。


 布田は、「でも入口でこの前も追い返されてしまったやないか」と二人に言うが、近くに散らばり鈴木、増田、布田を見守る六人の監視役の一人が、「またか」と呆れるように三人に向かっていった。


 「この学園のカジノは全員が利用できるわけじゃない」と言う監視役に、鈴木は「そんなことマニュアルになど書いてなかった‼」と反抗する。


 「マニュアルに無ければなんだ。この学園でマニュアルが全てだと思うな。お前らが習っていることはなんだ。」


 監視役の男に言われては、三人は俯く。


 布田は、「じゃあなんやねん」と不服そうな表情を浮かべる。


 「…」


 監視役はただ黙って布田を見下ろした。 「え」


 布田が困惑していれば、「ちょー稼いじゃったー♡」


 などと札束を抱えながら金髪ショートと金髪ロングのギャル二人がカジノから出てくる。


 鈴木は、「オイ‼」とギャル二人に話しかける。


 増田が「ちょっと鈴木‼」と言いながら鈴木に駆け寄る。


 布田も後に続く。「なに、だれ」と鈴木に冷たい目を向けるショートヘアのギャル。


 ロングヘアのギャルは「知ってる子?」とショートヘアのギャルに訊ねるが、ショートヘアのギャルは「ううん」と首を横に振る。


 「カジノに入るための条件、教えろ‼」


 鈴木が言っては、ショートヘアのギャルは「急になに?」と鈴木に冷たい態度を取る。


 増田が「こいつがごめんなさい」と頭を下げる。


 「おい、先輩やで」と鈴木に言う布田。


 鈴木は、「なら余計接触すべきだ」と耳打ちで布田に言う。


 「先輩、先程は失礼しました。カジノってどうやったら」


 鈴木はショートヘアのギャルに訊ねた。


 ショートヘアのギャルは「え…」と戸惑い、ロングヘアのギャルに助けを求めるような視線を向ける。


 「一年生?」と問うロングヘアのギャル。


 「少なくとも新入生歓迎が過ぎるまでは特例生徒じゃ無ければ使えないはずよ。」と鈴木に説明する。


 「特例…?」と首を傾げる鈴木。


 「どこのクラスにもひとりだけ。生徒会長が直々に決めた本人も自分がそうだとは気が付かない【特例】の生徒がいるの。私たちの世代とルールが変わったりしていなきゃね。」


 ロングヘアのギャルの説明に、鈴木は、「くッ…」と歯を食いしばった。


 鈴木は、「帰るぞ」と増田や布田たちに言う。


 「コンビニのイートインで食事でもしよう」


 と鈴木が言っては、「ありがとうございます。」と増田が先輩二人に頭を下げ、カジノの前から立ち去って行く。


 「待ってや‼」


 布田が二人の後を追うように走る。



 本土。清水駅。「はぁーやっと来たぁ」


 星野と志田は並んで街中を歩く。


 後ろには黒い服を着てサングラスをかけた怪しい監視役四人が少し離れた場所から彼女らを見送る。


 志田は、「島から本土まで長いし、ご飯食べに行くだけで一苦労だと思わない?」と星野に言う。


 星野は、「しかも監視役付き…」と監視役たちを振り返る。


 「これじゃカラオケに入っても歌いづらいしプライバシーが無いよね」と不満そうに言った。


 志田は、「まッ、それが嫌なら無料の学食を黙って食えって話なんだろうけど」と星野に言うが、星野は、「どうも美味しくないって言うか、食事メニューが質素じゃない?」と志田に言う。


 「家庭的な食事が提供されるのかと思ったらなんか美味しくも無い冷食って感じ、まだ刑務所に捕まった偉い人とかのほうがいいもの食べてそう」と志田は苦笑する。


 星野は、「そりゃ、脱走しようとしちゃうのも無理は無いよ」と頷いた。


 志田と星野はカフェに入る。


 カフェに入っては、志田は、「私からすみパスタにしよ」とメニューを決める。


 星野は「じゃあハートオムライス!」と決めた。



 志田は自分のスマホを開くが、「あれ、インターネットが来ない」と首を傾げる。


 星野は「確か学園にいる間だけキャリアの通信は切断されて自動的に学園のインターネットに接続されるのよね」と本田の言葉を思い出す。


 志田は空にスマホを向けた。「あ、いまつながった!」と星野に画面を見せる志田。


 星野は、「やっぱり空からつながるインターネットのほうが優秀だね」と微笑む。


 志田も、「やっぱり自分のスマホが一番だよ、学園スマホなんてネット回線とセキュリティーが優れているだけでなんだかスペックが一昔前って感じー。」と愚痴を言った。


 そうしているうちに料理が届く。


 『うわぁー♡』声を揃えながら料理の写真を撮る二人。


 「数十年前にできたSNSがまだ一線を張れてるの、素晴らしい発明だよね」と星野は嬉しそうに言った。


 志田は、「一時期はすごい人がSNSを買収して改悪を繰り返していたって言うけど、政府が日本製のSNSアプリを作った瞬間に日本人たちが一気にSNSをつかうようになったんだって。お年寄りもはじめるようになったみたい。でも、満十八歳未満の未成年者は一時期SNSを規制されて保護者のアカウントに紐付けして保護者に呟きが見られるようにしないと使えなかったみたい。大人の呟きもかつてのような自由なSNSとしての形は無くて、国の検閲が入ってたらしいよ」と星野に説明する。



 星野は、「へぇ、志田さんはSNSに詳しいんだね!」と志田の話に興味を持った。


 志田は、「ちょっと人より触る機会が多いだけよ」と星野に答える。


 「でもそれだけ詳しくなれるって才能だよ、SNSだろうがゲームだろうが、やってきたことは全部無駄にはならないんだから」


 と弾けるような笑顔で人懐っこく、人差し指を揺らしながら志田に言う星野。


 志田は、「才能…」と言われた言葉に少し嬉しそうな反応を見せる。


 「SNSが得意なら授業でも出番あるかもね」


 と言う星野に、志田は「壁打ちで呟くのなら得意なんだけど交流にはちょっと自信無くて」と志田は言った。


 星野は、「志田さんはいろんな人と仲良くなれると思うよ、後は勇気を出すだけ!」と志田の背中を押す。


 監視役たちは少し離れた席から志田と星野がいる場所を見ながら、星野の言葉に同意するように頷いた。



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