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レジェンドオブシルヴェリア――Ⅳ伝説記~そして農夫の息子は伝説となった  作者: 永礼経


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第2章 ケラール丘陵(4)

4 

「ミリルさん、おそらくですが、原因だと思われるものを見つけましたよ」

アルはミリル・ケインズファーにそう報告した。

「砂漠にも花が咲くんですね。僕は初めてあんな光景を見ましたが、圧巻でした。でも、経験の浅い魔術士たちにはすこし警戒と注意が必要そうです」


 アルは、ケラール丘陵の周辺に咲くピンク色の花のことを報告し、その花の生息地域が他にもないかを調査する必要性を訴えた。

 不用意にその花の群生地に近づくと、魔素が急激にたかぶり、場合によっては卒倒したり、体調不良、眩暈めまいなどを引き起こすことも考えられる。おそらく、具合の悪くなった魔感士の彼女はそのことと、旅の疲れなどが原因で急変したのではないかと、アルはミリルへ報告した。


「わかった。すぐに冒険者ギルドに依頼書を回すわ。それで、その花の群生地の割り出しをして、魔法庁にはその花には近づかないよう通達を流すわね」

と、ミリルが請け合った。


「お願いします」

そう言ってアルはミリルの執務室からそうとした。


「あ、ケイティ、少しいいかな?」

一緒に部屋を出て行こうとしたケイティをミリルが引きとめた。


 おそらく、「あのこと」との関係について意見を聞くためだろう。


「はい」

そう答えておいて、アルには目で合図を送る。


 アルは、ケイティとミリルの間で何か話があるのだろうと察し、一同を促して部屋を辞した。


 アルたちが部屋を辞したあと、ミリルが切り出す。


「ねえ、ケイティ、その――、「性的干渉あのこと」はやっぱり何らかの起因になってるとみていいのかな?」


「そうですね……。私も少し花の匂いを嗅いだのですが、アルの言うように、急激な魔素の昂りを感じましたし、それから数時間魔素の制御が必要になりました。例えばあの状況で何らかの精神的な影響があれば、魔素の制御が難しくなる、ということは考えられるかもしれません」

ケイティは正直な見解を述べる。


 つまり、あの魔感士たち二人の関係が今回のことに影響がなかったわけではないという事になる。


「――そうかぁ、やっぱり話をしておかないとだね……。ありがとう、ケイティ。二人には私の方から話しておくよ」


 そう言ってミリルはケイティを呼び止めたことに礼を言った。



 そこから一行はすぐにシルヴェリアへ戻った。

 昨晩次元門(ゲート)を使わなかったのは、やはりあの花の影響で魔素の制御が必要になっていたからだ。万一、あの状態で魔法を使った時に何らかの障害が起きた場合、二人とも具合が悪くなる可能性を否めなかったため、大事をとって、一晩様子を見るためだった。

 幸い、今朝には完全に安定していたため、ミリルの待つアレシアンにも次元門ゲートを使って戻り報告したあと、ゼーデとアリアーデへ意見を求めるために二人の元を訪れることにする。


「じゃあ、あとで。シルヴェリアの魔法庁で」

そう言い残すとアルとゲンシン、クアンの3人は次元門ゲートへと消えていった。

 3人は先にソードウェーブへ寄った後、アリアーデと、場合によってはルシアスをつれてシルヴェリアへ向かうことにしたのだ。


「私たちも行きましょう」

残ったレイノルドとジークにそう促すと、ケイティも次元門ゲートを開く。


 こちらの3人の向かう先はシルヴェリアの国際魔法庁本部、イレーナのところだ。



 ――――――



「ロルズ草――ね」

アリアーデがその花を見た瞬間に応えた。


「ロルズ草? 師匠、この花をご存じなのですか?」

アルが驚いて問い返す。これまでにこんな効果のある花の話など聞いたことがなかったからだ。


「まさか、この世界にも在ったって、思いもしなかったわ。私がこれまでに見てきた場所では見かけることがなかったから、ここには咲かないのかと思っていたのよ。アル、これどこで見つけたの?」

アリアーデが小瓶の中の花を指してそう言った。


「アーレシアの砂漠、ケラール丘陵と呼ばれる場所です」

「ふうん。その辺り、他の場所と何か違いはなかった? 例えば草木の色が変色してるとか――」


 アリアーデがそんなことを聞いてきた為、アルはそう言えばと思い出す。


「変わったところといえば――、ああ、そう言えばその丘陵だけ周りの場所と違って砂がほとんど溜まって無くて、地面が固い岩地になっていましたね。そのことが何か関係あるのかはわかりませんが」


「そう。この花の咲く周囲は魔素の流れが少し自然ではなくなる傾向があるのよ。その結果として、周囲の自然に何らかの影響が出ることが多いの。私たち竜族の世界に咲いたロルズ草の周囲は、木々や草花の色が変わっていることが多かったわ」


 なるほど、確かにその周囲だけ他の場所と違う形状になっているという点では一致していると言えるかもしれない。


「――でも、これはなかなかの収穫になったわよ?」

アリアーデは唐突にニヤリと笑った。

「これで、一時的な魔素の強化ポーションが作れるかもしれない」


 一瞬アルは言葉の意味を疑った。聞き違えたのかと思ったからだ。


「アル、この花は扱いが難しいのだけど、しっかり制御できれば、一時的に魔素を増幅する効果を生み出すポーションを生成できるのよ」


 アリアーデが言っている意味が、この花が魔素強化ポーションの素材になるという事なのだと、アルは気付くまで少し時間を要した。

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