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レジェンドオブシルヴェリア――Ⅳ伝説記~そして農夫の息子は伝説となった  作者: 永礼経


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第2章 ケラール丘陵(2)

2

 ケラール丘陵――。

 アレシアンから東へ半日ほどの距離にある、砂漠の丘だ。


 ここだけ、砂がなぜか固い瓦礫となっている不思議な場所だ。もちろん砂が全くないわけではないが、他の場所は、砂が深く、足を取られるほどであるのだが、ここだけは地面が固く砂は表面をすべるように流れてゆくのみだ。

 どういう訳かここだけ砂がたまりにくい地形なのだろうか。


 ムンバサウロの居た、ケイノール渓谷もそうだったが、この砂漠には不思議とこういう不思議な場所が多いようだ。


 一行の目前に赤褐色の丘が広がっているのが見える。案内の冒険者によると、それがケラール丘陵だという。丘の両幅は約3~4キリ程という事だ。


「アル――、何か感じない?」

「ああ、何だろう。何か変な感じがするね」


 ケイティから尋ねられたアルもその違和感に気が付いていた。

 ケラール丘陵が視界にとらえられるようになったあたりから、なんというか、体が少し熱を帯びているように思うのだ。


 火照っている、といえばわかりよいか。もちろん砂漠を歩いてきたのだからそれなりに暑さを感じているのは当然なのだが、表面上の暑さではなく、体のうちからジワリとにじみ出る熱さの方を感じていた。


「魔素が、たかぶっている?」

「ええ、私この感じ、どこかで――。あ、そうだわ、デリュリウス監視塔の先、あの島で意識を失う直前、それから、そう、竜の世界からこちらに戻った直後のあの時と似ているわ」


 ケイティが言っているのは、あの光の繭現象が起きたときのことだろう。

 

「――となると、これ以上迂闊(うかつ)に近づくのは危険かもしれない。ケイティのほうが魔素の感度が高い傾向にあるから、ここは、僕と数人で様子を見に行くとしよう」


 というわけで、周辺を見渡すと、頃合いの良いところにオアシスが見える。


「じゃあ、あそこで拠点を設営しよう」


 アルの指示に従って一行はケラール丘陵のすぐ脇にあった小さいオアシスに向かった。

 仮拠点を設営し、簡易テントを張る。

 今日一日探索して、何も判らなければ、明日も探索をするつもりだ。さすがに何かしらの手がかりをつかまないと、このまま放置するわけにもいかない。アルもケイティもケラール丘陵に何かがあることに確信を持っていた。


 丘陵に向かうメンバーは、アル、ジーク、クアン、ゲンシンの4人になった。レイノルドと案内の冒険者はケイティの護衛も兼ねて、野営の準備を続けることにした。


 そもそも、あの魔感士のパーティはここを何故訪れたのか?

 これには実は際立った理由はない。いわゆる定期巡回と言うものだ。

 

 魔巣の出現は人里の近くに出現する傾向があることはこれまでの経験から明らかであるが、街から半日程度の距離ならこれまでも魔巣の出現が見られている。

 例えば、ソードウェーブ(旧ソルス)の北の遺跡などもそのぐらいの距離になる。

 そして、人が立ち入るのが難しい場所にも現れないことも判明していると言ってよい。険しい山や海の上、雪原、砂漠もそうだ。

 ただ、今仮拠点を設営しているオアシスや、ケラール丘陵のようにちょっとした拠点になりそうな場所というのは「警戒対象地域」に指定されている。

 魔法庁はこういった場所の情報を集め、定期的に巡回して異常がないかを冒険者ギルド支部や国軍と協力して調べている、そう言う事だ。


 このケラール丘陵や周辺のオアシスには、幸い、魔巣の気配は感じられない。

 「なにかある」となれば一番に思い至るのが魔巣だったのだが、どうやら当ては外れたようだ。


 それゆえに、原因が不明なのもまた事実なのだ。



「よし、行こう」


 アルの号令と共に4人はケラール丘陵へと向かった。


 丘陵に差し掛かると、案の定、地面が固くなっていて、歩きやすさが倍増する。ただ、小高い丘のような形状をしている為、若干の勾配こうばいがある。


(やっぱり何か変だ――。魔素のたかぶりが強くなっている気がする――)


 アルは自身の魔素を制御しながら、周囲の気配に注意を向ける。


「どうですか、マスター? なにか変わったところでもありますか?」


 相変わらずのかしこまった物言いにそろそろ慣れてきたアルだが、なんだか、もう少し崩れてくれてもいいのになと思うのだが、この次期国王であるジークバルト・キュール(本名はジーク・ニュール)は、完全にそのことを忘れて、一介の冒険者に成りきっている。

 彼にとってはこのスタイルが一番落ち着くのかもしれない。


「ん? んん、そう――だね。なんだろう? 確かに違和感があるんだけどな……」


「しかしこの丘の地面だが、なんでここだけこんなに硬いんだ? それに砂もたまってない――」

ゲンシンがやはりそのことが気にかかって地面に手をついてみる。


「ねぇ! ちょっと来て! あれ、変じゃない?」

少し先に丘の頂上に到達したクアンが丘から先を見渡して言った。


 4人はその言葉につられてクアンの方へと上がり、登ってきた先を見渡す。


「おい、これって――」

「なんですかこれは――」

ゲンシンとジークもその異変に気が付いたようだ。


「――草原……だよね?」


 アルも目を疑った。


 


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