表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レジェンドオブシルヴェリア――Ⅳ伝説記~そして農夫の息子は伝説となった  作者: 永礼経


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/67

第10章 魔族侵攻(2)

2

 アルたち一行は次元門ゲートを使って、ダーンウェル遺跡へと向かった。


 ダーンウェル遺跡。

 太古の遺跡の一つであるが、これまでほとんど人が立ち入らなかった場所である。

 新港町ハーツから南に約半日、レトリアーノから北に約半日の距離である。つまり、ハーツとレトリアーノのちょうど中間点と言える。


 この南北街道はハーツに周遊船が寄港するようになったころから人通りが活発になった。が、アルたちが到着した時には周辺に人影は全く見当たらなかった。おそらくのところ、レトリアーノの王都が街道の通行を一時差し止めてくれているのだろう。


 国王のレミンゴ・ニュールも心を入れ替えてからはなかなかに行動が速く、そこは廃れても国王の系譜だと言えるだろう。

 最近では港町ハーツの造成に国力を投下し、国際社会に参画する意欲も非常に積極的であるように見受けられる。

 まあ、ジークバルト・キュール(ジーク・ニュール)がレトリアリアに貼りついていることで、発破をかけられているという事もあるのかもしれない。


 アルは一度この遺跡を探索に訪れていた。

 街道開通後すぐのことだ。

 こういう古めかしい場所には魔巣が発現しやすいことは、前回の「北の遺跡」の件でよく心得ている。

 

「なんて場所――。すごく大きいのね――」

と、ケイティがその威容を見て言った。


「ああ、かなり立派な王朝だったのかもしれないね。中央にそびえる塔は、すでにレトリアーノの支部が探索済みで、内部には特に怪しい場所はなかったということだったが――」

というアルの言葉に、一同はこの遺跡群の中央に位置する塔を見上げた。地上5階ほどの高さがあったと言い伝えられているが、すでに風化していて、3階ぐらいまでの高さまでが残っている。

 頂上のフロアはすでに屋根がなく、陽光を浴びて壁面の柱が影を作っていた。


「魔素の痕跡は――」

「まだ、それほど高くはないようね。でも、すでに種は植え付けられているってところかもしれないわ」   

アルとケイティが魔素感知を発動し、周辺の魔素の状況を精査した。


「――やっぱりあの塔の最上階か」

「そうね。あの位置が一番安全だからでしょう。それほど時間がかからないうちに塔とその周辺は魔族で埋め尽くされるかもしれないわ」

アルとケイティがそうやり取りしていると、レイノルドが横から問いかけてくる。


「で、どうするんだ? 今からあの塔を駆け上って魔巣を叩くか?」

と言ったレイノルドに、アルが答える。

「いや、おそらくこの人数でそれをやったとして、間に合わなければ一巻の終わりだ。この人数じゃ囲まれたらもう手立てがない」


 前回の黒騎士来襲の時はまだ、魔物の出現に時間差があった。それでもあの人数で、かろうじて防ぐのに成功したのだが、前回の轍は二度と踏まないだろう。来るとなればそれこそ一気に大軍勢で押し寄せると見た方が賢明だ。


「仕方がない。ここは様子を見て、ルシアスたちの到着を待つしかないだろうが、ルシアスとアリアーデはここを知らないのだろう? それだと次元門では来れないことになる。ケイティに一旦シルヴェリアへ戻ってもらうのが得策だろうな――」

と、ゲンシンが言った。

 

 その時、街道の方向から馬の蹄の音が聞こえた。2頭? いや、その後に続く音が大きくなる。これはそこそこの騎馬軍だ。


「え? なに? 馬? 騎馬?」

「ええ、かなりの数ですね――」

チュリとユフィも音に気付いて反応する。



「――スター! マスター!」

街道の方角から声がする。この声には聞き覚えがある。


「マスター! 虎殿とらどの! お待たせしました! ジークバルト・キュール、ただいままかり越しましたぁ!」


 そうだこの声はジークだ。

 レトリアリアのギルドへ遣わせておいたジークバルト・キュールこと、王甥おうせいジーク・ニュールである。

 

「おお! ジークかぁ! 早かったなぁ! それに――」

レイノルドがいち早く応じたころ、騎馬にまたがったジークの姿がようやく視界に捉えられた。


 連れだって駆けてきたもう一騎の騎馬上の人物にも見覚えがある。そしてその後方からは甲冑を身にまとったレトリアリア王国軍騎士団が続いているのも見えた。


「ギルマス! ご無沙汰しております! 私もまかり越しました。さあ、この場は我らにお任せいただいて、各国の軍勢をどうぞお迎えにいらして下さい!」


 この声この顔、そうだ、現在はレトリアリア王国軍司令となり、ジークの留守を守っている元冒険者のヘンデル・クライスこと、ヘイゼル・クロスだ。


「ああ、()()()()! あ、いや、今はクロス王国軍司令と呼んだ方がいいのかな」

と、今度はアルが懐かし気に応じた。


「なにを、他人行儀な。私は今でも冒険者ヘンデル・クライスのつもりですよ。それよりギルマス、ここは我ら王国軍にお任せになって、各国の戦士たちを急ぎお迎えに行かれた方がよいのでは?」

と、ヘンデルも返した。


「ありがとう、ヘンデル。じゃあ、ここは任せた。とにかくまずはルシアスと師匠を迎えに行こう。そこから3人で手分けして次元門ゲートを順に開いて、各国ギルドの冒険者と国際魔法庁の魔法士たちをここへ集結させる。師匠がここにいれば不測の事態の場合も、レトリアリア軍と力を併せて時間を稼げるだろう。――さあ、決戦は近いよ? 気を引き締めていこう!」


 アルの言葉にここへ集った皆々が「応!」と応じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ