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レジェンドオブシルヴェリア――Ⅳ伝説記~そして農夫の息子は伝説となった  作者: 永礼経


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第9章 それぞれの果実(7)

7

 チュリがユーフェリアと行動を共にするようになってからすでに1年半が経過した。

 出会いは、ダイワコクのギルド本部だった。

 アルが一緒に「修行」を受けろと言って押し付けてきたのだ。


 初めて出会った時の印象は、とにかくまっすぐで意識高い系だと感じたが、それも彼女の生い立ちとここに至るまでの経緯、そして、あの精霊族の統一庁長官、ルシュリオンさんの義娘むすめということを聞かされて、納得がいった。


 彼女は重い責務を負っている。精霊族の存続をかけた重い責務だ。


 兄に家督を丸投げしておきながら、自分はただ好きな人と一緒にいたいがために冒険者になったチュリから見れば、なんとも義理堅く責任感の強い少女だと思った。


 が、


「チュリねぇ、港区の北の端にちょっと珍しいスイーツのお店が出来たんですよ? なんでも、牛乳と小麦粉と卵を混ぜてふんわり焼き上げた生地にこれまた牛乳から作った甘いホイップとかいうのをぬって、イチゴとかラズベリーとかをふんだんにデコレーションしたあまいあまいお菓子なんですって」


「いや、それ、《《()()()》》ベリーケーキだし!」


「ええ!? チュリねぇはたべたことあるんですか?」


「あ、いや、前に、オルトマンのおじさんとこで食べた……かな」


「あ~! チュリねぇしか食べてないじゃないですか? 私も食べたいです!」


とまあ、こんな感じだ。


 この子、自分の本分を忘れちゃってるんじゃないか? と、たまに疑わしくも感じるほどだ。

 だがしかし、しかめっ面で、重い責任を抱えて必死でこらえてるよりは全然ましなのかもしれない、とも思う。


 始めのころに比べれば、随分と穏やかに、よく笑うようになった。これも皆、ダイワコクのサムライ連中や、修行場の先輩たち、それに陽気な冒険者たちの影響かもしれない。


「――ったく、ユフィはどうしてそんなに食べても太らないのさ? ウチなんか、最近ちょっと食べただけで体が重くなることがあるのにさ?」

「さあ、どうしてなんでしょう? なんだかんだ言って、精霊族《この体》は良くも悪くも成長が遅いみたいですから。そういうところも影響してるのかもしれませんね」


 年齢を言うなら、チュリは今年で17歳になった。体型などいろいろと気にするお年頃でもある。

 それに対してユーフェリアは453歳だ。精霊族の平均寿命は800~1000と言われているから、人族の平均寿命の60~80と比べれば、割合的には精霊族の450歳は人族の30代半ばというところになるのだろうか。それにしては、ユーフェリアの身なりはやはり幼い。見た目的にはチュリの一つか二つ下にも見える。一つを除いては――。


「はぁ、ウチも付くところに付いてくれるんなら、スイーツもいくらでも食べるのに、ケイティと比べたらウチのはぺったんこだからなぁ。ユフィもケイティも、なんで、そこだけは成長してるのさ?」

と、ユフィの胸を指さした。


 この一年半ほどで、ユフィの胸はずいぶんと膨らんできている。そしてそれはあっという間にチュリのそれを通り越してしまった。

 それに対してチュリの方はと言えば、そりゃあさすがに全くとまでは行かないが、明らかに「置いて行かれてる」ように思う。


 なんだかんだ言ってもそこは17歳の少女だ。やはり気にならないわけではない。

 一応、チュリの名誉のために言っておくが、胸以外の肉付きはかなり成長してきており、腰回りや足など、すでに完成された女性の形状を成していると言っていい。

 殊に、お尻の形状などはきりりと引き締まり、しかもそれなりに肉付いてもいるため、チュリの普段着のショートパンツとの相性などは抜群で、もともとから造形の美しい顔立ちをしているのと相まって、振り返る男どもも随分と多いのだが。


「チュリねぇ()()で充分なんですよ。街ゆく男性たちが振り返っているのを知らないのは本人だけってことですよ。チュリねぇ()()()の目しか気にしないんですから、当然と言えば当然ですけどね」

「ええ!? そうなの!? やっば! ちょっと気を付けないといけないねぇ?」


「何を気を付けるって言うんです? チュリねぇを力づくでどうにかできる男なんて、この世にはおそらく一人もいませんから、そこは安心してください」 

「なんだかなぁ、褒められてるというよりけなされてる感がすごいんだけど?」


「そんなことより! そのスイーツ、いつ行きます? 今日? 明日?」

「ああ、悪い悪い、その話、まだ続いてたんだっけ?」


「続いてたも何も、何も進んでませんよ? はあ、まったく、チュリねぇはどうしてこう忘れっぽいんですかね。私がいなかったら一人で生きていけないところですよ?」

「そんなことはないだろ?」


「そんなことはあります。アーレシアに行った時だって、シャワー室から飛び出てきて――」

「あ―――! その話はそこまで、無し無し!」


 この話は、さすがに読者諸兄には刺激が強すぎて、筆者もこれ以上は言及しないことにする。あとは想像にお任せするとしよう。



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