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レジェンドオブシルヴェリア――Ⅳ伝説記~そして農夫の息子は伝説となった  作者: 永礼経


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第6章 冒険者ギルド『木の短剣(WSS)』(1)

1

 亜人族世界から帰還した一行は拠点をソードウェーブのギルド宿舎として、現在は世界各国の魔巣情報を集積しつつ、即対応が必要なところを優先的に回っては殲滅する日々を送っている。


 そして同時に、各地の冒険者ギルド支部の体制の確認や、人員配置のための人選などを行っていた。


 この際、ダイワコクの支部にだけは、アルたちが出向くような必要がなかった。なぜならそこには、チュリとユーフェリアがいる。また、ゲンシンたちの仲間のダイワコクの諜報部たちもいる。

 ダイワコクの状況は逐一ゲンシンの耳に届くようになっており、その言葉は信頼を裏切らない。つまり、ゲンシンが大丈夫だと言えば問題ないからだ。


 事実、ゲンシンは、ダイワコクの魔巣は問題なく処理できていると、アルたちに報告していた。実際のところ、魔巣の方は問題なく対応できていたため、アルたちはより優先度の高い他の地域にまわることが出来ている。



「今日のレトリアリアの魔巣はなかなかに厄介だったな――。出現する魔物はそれほど脅威じゃねえが、数が多かった」

と、レイノルドが感想を述べた。


 最近の魔巣の傾向として、ある程度大きくなったものの中には強力な魔物が巣食っているというよりは、数が増えている傾向にあるようだ。


 これまでの魔巣の基準としては、憑依型、小鬼、大鬼、オウガというような段階型の魔巣が多かったのだが、最近は小鬼級の数が以前の2~3体から、5~6体ほどと、倍以上に増えている感がある。


「巣食っている魔物は大鬼が1体だったのに対して、小鬼が8体も居やがった。これはこの先の冒険者パーティの編成にも注意が必要なレベルだぜ?」

と、レイノルドが注意を喚起する。


「そうですね。間違ってクラスが低い冒険者が舞い込んでしまった場合、対応できずに命を落とすことも考えられます。これまで以上に魔巣の規模探索には注意が必要でしょう」

とはケイティだ。

 魔巣探知を主任務とする魔感士を束ねる彼女としては、行き当たりばったりの危険を顧みない「冒険」は出来る限り避けてもらいたいという気持ちが現れている。


「とはいっても、冒険者たちはどうしたって冒険心を持ってしまうものですからな。なかなかに注意を喚起しても飛び込んでしまうものも出るでしょうな」

とはジークの言葉だ。


「それが冒険者だというような風潮は出来る限り払拭してゆくようギルドからは啓発活動を続けるしかないね。見習い冒険者の訓練課程である程度頭を打っておかないと、悲劇的な結末を迎えるものが増えるかもしれない」

と、アルがまとめた。


「ハアルジーンの言葉に、『勇者は無謀を行わざる者』という言葉があるんだよ。そういうことを言ってるんだよね?」

とクアンが聞く。


「ああ、クアンの言うとおりだ。無謀な行為と勇気ある行為は全く似て非なるものだ。むしろ、危険な時にこそ勇気をもって退くことを教えないといけないね」

と、アルがクアンの言葉に同意した。



 各地の冒険者ギルドには日に日に新しい見習い冒険者が増えている。もちろんすべての冒険者が無事に帰還できるわけではない。

 数はまだそれほど多くはないが、悲劇に見舞われるものも現れているのが現状だ。


 中には全く無謀なものが自身のレベルやランクに見合わない魔物との対決に臨んで命を落とす事件も現れ始めている。

 こういったことは、冒険者ギルドの繁栄にとっては向かい風となりかねない。

 もちろん、冒険者はすべてにおいて自己責任であることは疑う者はいない。これまでにも仲間の訃報にあって肩を落とすものはいるが、それもすべて自身の判断による結果だと受け止めており、ギルドに対して異議を申し立てるものなど一人としていなかった。


 だが、だからと言って、ギルドに全く責任が無いとは言い切れないと、アル自身は考えている。

 適切な指導、充分な訓練、知識や情報の共有などは、すべてが自己責任の冒険者の世界だからこそ、それを支えるギルドの役割として揺るがない大きな責任を負っていると考えている。


 現状冒険者クラスの中で最上級のものは銀級シルバーだ。


 「見習い(ノービス)」クラスが受注できる依頼クエストは、拠点近隣エリアにおいて、比較的おとなしい魔物のコモウや、原生生物であるランデルの狩猟など、討伐対象としてはよほどのことがない限り命を落とすことはないものに限っている。

 次に「銅級カッパー」クラスになると、オーラットやドゴレム、スケラトなどの憑依型魔物に対する依頼の受注が可能だが、魔巣潜入案件に関しては銅級でも3名以上のパーティを組んでいないと受注できないとしていた。

 最後に「銀級シルバー」クラスになればようやく汎用型魔物群、つまり、人型の魔物――小鬼や大鬼・オウガなど――が対象となる依頼を受注可能とし、それでも、魔巣案件に関しては必ず3名以上のパーティでないと許可しないとしている。


 黎明期にあってはそんなことも言ってられない状況だったため、「銅級」でもそこそこのレベルの魔巣殲滅にあたっていたが、今となってはそのような経験を持つものたちはすべて銀級に昇格させ、きっちりと棲み分けを行った。


 今後の計画では、ギルドの支部長副支部長クラスなどのある程度部隊編成が可能なものたちを「金級ゴールド」クラスとし、各国においてオウガクラス魔巣を殲滅できるほどの戦力を育成せねばならない。


 おそらく現状で支部単独でオウガクラス魔巣に対抗できうるのは、冒険者ギルドの初代支部であるベイリール支部と、ダイワコクのサムライたちと協力体制が確立しているダイワコク支部の2支部ぐらいのものだろう。


 あとの、カルティアのグアンタ支部やレトリアリアのレトリアーノ支部、アーレシアのアレシアン支部などはまだまだそのクラスの冒険者に恵まれていない。


 まだまだ、これからやらねばならないことが山積しているのである。


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