一時の休息3
なんだかんだあって一命を取り止め、シロを連れて被害にあった街の人々に頭を下げて回り、残りの時間を費やして疲れが溜まった俺は、ため息を吐いていた。
それを隣で見ていた琥珀がなぜか申し訳なさそうに俺を見て、
「お兄ちゃん、ごめんなさい。私がとっさに……」
「いいって、気にすんな! 元は俺が悪いんだし」
琥珀が涙目だが、こうなってしまった元凶が俺にある。俺がしっかりシロの面倒を見ていればこうやって騒ぎにならず、結果琥珀が泣くこともなかった。本当に俺はどこか抜けていて、どこか甘いところがある。いつも、こんな風に劣等感を抱いて、みんなに迷惑をかける。だから、Dランク止まりなんだろう。
「まあなんとかなったし、いいじゃないか! お前さんのせいではあるかもしれないが、お前さんらがいなかったら止められなかったし、別に気にすんなって!」
おじさんが優しく元気に、気が落ちた俺に向かって言ってくれる。
「ああ、ありがとう」
それだけ言って俺と琥珀は家に帰った。
シロをしっかりゲージに入れて、俺はそのままの姿でベットインしてしまった。
…………。
意識が遠のいていく中、俺の頭には今日使った魔術のイメージ。水の輝き、流れ、その速さ、水に関する様々なものが見えてきた。使えた魔術に関して特に考えられなかった今日ではあるが、今整理してみると、脳に強くイメージできたことで俺は水を生成することができた。
正直、まだ魔術についてどんなことがあるかは理解していないが、おそらく俺の知らない未知の世界が魔術の奥に待っているだろう。俺がそう思った時には意識がなくなっていた。
小鳥の囀りが聞こえる。
ピー、ピー。チュン、チュン。
でも、そいつらに俺は疲れている気がする。痛い、なぜか頬が痛い。
なんだ。
ッ!?
俺が目を開けると俺の隣で琥珀が頬をツンツンしていた。
「わっ!?」
「え!」
琥珀が顔をびっくりしたと同時に、俺はベットから転げ落ちた。
「ぃってて」
「ごめん、お兄ちゃん……大丈夫?」
琥珀が下を向いてモジモジしている。
「ああ、てかどうしたんだよ?」
こんな状況滅多にないから嬉しさが湧き上がる。その嬉しさを押し殺して、冷静に、悪魔でも冷静に聞く。
「いや、その……」
「その……?」
「お兄ちゃんが……」
「俺が……?」
人差し指を合わせてくるくるさせている琥珀は、
「ぉにぃちゃんが……きのぅ、げんきぃなさそぅだった…………」
ああ、そう言うことか。
琥珀もシロがいないことに気づいた時は怒っていたが、その怒りがどこに言ったか分からないくらい優しく俺に呟く。
「あ……ありがとう、琥珀」
でも、だからこそ。
琥珀はすごく、優しいのだろう。
そんな優しさが尊くて、美しくて、可愛い。
「ぇへへ……」
頭を撫でると琥珀は嬉しそうに、ニコッと笑顔で微笑んだ。
この日の朝は、琥珀の優しさが身に染みた朝になった。
遅くなってすみません。今日からしっかりあげていきます。




