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その旅の果てに 〜世界を巡る彩色録〜  作者: 浦島 晴次郎
1章 同泥の国編

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12/14

12.邂逅

12話です。楽しんで頂けると幸いです。


 朝になる。ご飯を食べ、皆が慌ただしくなる中、アルバ達はは走っていた。いや、正確に言うと、走らされていた。


 「もっとペース上げるよー」


 リーンの掛け声の元、さらにペースを上げる。もうかれこれ30分は館の敷地内をぐるぐると、まあまあな速さで走り続けている。


 「さ、身体はこれで温まったでしょ。いつものとは違って、今日はちゃんとやるわよ。」


 そう言ってリーンは、片手で持てる大小様々な石をアルバ達に集めさせ、その間、地面に大きな円を描く。


 それなりの量の石がリーンの近くに置かれた後、その石をリーンの能力(スキル)で洗いながら、リーンがアルバ達に向き直る、


 「あんた達、今からこの円の中で鬼ごっこをしなさい。ルールは分かる?最初に鬼を決めて、タッチされた人が鬼に変わるっていう遊び。」


 「それは分かるけど、何で鬼ごっこなの?..です。もっと、戦い!とかじゃないの?..です。」


 「それに似たようなことは後からやるわよ。まずはこれからってだけよ。さあ、円の中に入って、最初の鬼を決めてちょうだい。」


 リーンに促されて、3人は円の中に足を踏み入れた後に、じゃんけんをして、最初の鬼は負けたエルレとなった。


 「これから、あんた達にはいくつかのルールを守って鬼ごっこをしてもらうわ」


 「「ルール?」」


 「そう。まず誰かを掴んで捕まえたり、これはしないと思うけど、殴ったりして、行動不能にするのは駄目よ。次に、鬼になってからの2秒間タッチ禁止。そして、、」


 そう言ってリーンは、足元に置いてある石の一つを手に持った。


 「そして、鬼ごっこの最中、私があんたらに石を投げるから、それを魂力を使って避けなさい。どうしても、避けれない時は、石が当たりそうな部分だ(・)け(・)を魂力を使って守りなさい。」


 「石をぉ!?」


 「そう、石。まともに当たるとちゃんと痛いわよ。後、石を避けるもしくは防ぐ時以外で、魂力を使っちゃ駄目よ。あんたらが使ったかは、直接見れないけど、身体能力が突然上がったら、流石の私でも分かるからね。それで、質問はある?」


 真っ先にトーマが手を挙げて、石を投げる意味について問いた。


 「それはね、あんた達には意識外からの攻撃を反射で魂力を使って対応出来るようになって欲しいのよ。特に相手が能力(スキル)持ちだったら、何をしてくるか分からないことの方が多いから。他には?」


 「鬼になるデメリットってあるんですかー?」


 エルレが続く。


 「もちろん!鬼になった時間が一番長い人は罰(ペナルティ)があるわ。内容は言ったら面白くないから言わないけどね。」


 「はーい・・・・・。」


 「他にないなら、始めるわ。」


 かくして、鍛錬と言っていいのか分からないものが始まった。


__________________________


 

 鬼ごっこの最中の私の役目は、避けれなさそうな時や私を意識から外した時に石を投げること。

 

 さっき説明した効果(もの)以外にも、バランスや空間認識、身体の連結、切り替え能力(あとは忘れちゃった)とかが育つらしいのよね。


 懐かしいなぁ。


 魂力が扱えるようになった時に、よくこの遊び(鍛錬)をしてたなぁ。

 瞬間的に魂力を石が当たりそうな部分にだけ使うのが、意外に難しくて、最初の方は全然防げなくて、まともに石に当たってたっけ。


 一緒にやってたみんなに痣が沢山できて、シサムさんが『流石にお主らまともに当たりすぎじゃ。魂力の扱いがもう少し上手くなるまで、これは禁止じゃな。』とか言ってたなぁ。

 

 それで言うと、この子達はちゃんと防げてて偉いわ。大怪我しないように投げてるとはいえ、やっぱ魂力の扱いに関しては、歴があるから上手ね。

 

 たしか、聞いた話によると、魂力の鍛錬はエルレちゃんが4年、トーマ君が7年、アルバ君は覚えてないって言ってたっけ。


 でも、キンチが『10年前後は修行してないと、あの威圧感は出せない』とか言ってたから、それくらいなのかしら。

 魂力を操れるようになるまでに大体3年はかかるから、操作性の向上に使えた時間は差し引き、1年、4年、7年?と言ったところね。


 それなら、エルレちゃんは相当扱いが上手だわ。後半は、体力的にしんどくなって、何発かまともに受けてたけど、前半は完璧だったわ。とても歴1年とは思えない。でも、鬼になった時間は一番長いわね。


 トーマ君は体力はあるけど、、歴に比べたら少しまともに当たりすぎ。ただ、他の人や石の位置関係を一番把握してそうな気が、、あ、当たった。..まあ、これからに期待ってとこかしら。


 そんでもってアルバ君(こいつ)。ほんとーーに、経験が足りないだけね。この時間を通して、避けた回数こそ少ないものの、一度もまともに当たってはいない。その上、鬼にも一番なっていない。ていうか、魂力の操作性に至っては私より上手そうなんだけど。

 

 ..なんかムカつくし、4発同時に投げちゃお!

 えい!


 「うわっ!」


 お!4発全部命中したけど、、全然痛そうじゃないわね。別々の箇所を同時に守ったって事?

 

 ..やるじゃない。


 さあ、次の石を、、石をって、今ので石を全部投げちゃった。


 「....よーし、鬼ごっこはここまで!少し休憩を取るわよ!」


 私の言葉の後、アルバ君とトーマ君は膝に手を置き少し息を切らしてて、エルレちゃんは地面に思いきり寝転んだ。


 「ふー疲れた。トーマ達、痛がりすぎじゃねえ?」


 「痛てて、、、逆だよ、逆。アルバが痛くなさそうすぎなんだよ!」

 「はぁ、はぁ、完全に同意〜、、、」


 よし、この後もやる事あるし、さっさと罰(ペナルティ)を言っちゃおう。ただ、エルレちゃんにはあまり罰にならなさそうかしら。

 

 「はーい!注目!鬼になった時間が1番長いエルレちゃんは、今日の午後の自由時間を削って、この商館の掃除を手伝って貰うわ。」


 「うわー、、エルレ、ドンマイ!」

 

 「・・・・・・」


 あれエルレちゃん、もしかして結構落ち込んでる?案外楽しみにしてたのかしら。

 どうしよう、、可愛い子が落ち込んでたら優しくしてあげたくなっちゃうのよね、、


 ...でも、負けたことが悪いか!勝負事だったものね。ただ、可哀想だし少し励まそ。


 「エルレちゃん、掃除は私も手伝うから一緒に楽しくやろうね。」


 「え、余計にかわいそう(小声)」


 「トーマ君、今何か言った?」


 「いえ、何も言ってないです!」


 あれそうかしら、何か言ったような気がしたんだけど。まあ、アルバ君(あいつ)と違って優しそうなトーマ君が悪態とか付くわけないか。


 「後少しで休憩は終わり!まだ鍛錬は続くわ!」


 そうして、彼らの鍛錬は昼の飯時になるまで続いた。

 その後、アルバとトーマは自由時間に、エルレとリーンは商館の掃除を手伝いに行った。


___________________________



 アルバとトーマは自由時間を使い、街を散策していると、美味しそうな匂いにアルバが釣られていた。


 彼がその匂いの元を辿ると、少し小太りの中年男性が肉串を焼いている。

 その光景を店の目の前で匂いに釣られたアルバが背伸びをしながらじっと見つめていた。


 「・・・・・・」


 「・・・・・・」


 何も言わずに自身の肉串をじっと見つめる少年に店主が話しかける。


 「これ食べたいのかな?」


 アルバは大きく首を縦に振った。


 「だったら、1本2ペールを貰うよ。割高に感じるかもしれないが、味は保証する。」


 「外から来たから、お金は持ってない..です。」


 「..ああ!遠い所から来たのかな?なら、君の国の通貨でもいいよ。代わりに値段はその硬貨の重さを見て、俺が決めるけどね。」


 「いや、お金自体持ってねえ..です。」


 「!? ...それなら退いてくれるかい?君の後ろにも客がいるんだ。」


 そう言われて、アルバが後ろを振り返ると、後ろで結われた髪がライオンのたてがみの様に見える筋肉質な上(・)裸(・)の男が並んでいた。

 そのさらに後ろに、アルバに置いてかれたトーマの姿が見えた。


 「・・・・・・」


 「なんだ?ボウズ。買わねえのか?」


 「買わないってか、買えない。邪魔してごめん!..です。」


 「そうか」


 男は自身の前から去る少年をよそに、店主に肉串を6本注文する。

 店主は男が上裸な事に驚いておらず、淡々と肉串を準備する。


 男が注文をした辺りで、男の後方で2人の少年が合流する。アルバとトーマである。


 「もー、2人で探索しようって言ったのに、当然いなくならないでよ。」


 「なんか美味そうな匂いがしたから、つい。悪いとは思ってねえ。」


 「なんでだよ!...ま、いいか。見つけられたし。そう言えば、アルバを探している・・・うわ!なんであの人、上が裸なの!?」


 「なんでだろうな。そういうのが好きなんじゃねえのか?それより、俺がどうしたんだ?」


 アルバ達の声は上裸の男の耳にも届いていたが、男はそんな会話を気に求めずに、店主にお金を払おうと、腰回りに付いているジャラジャラした小物から財布を探していた。


 「そういう人もいるんだなぁ、、、ああ!それでね!アルバを探している途中に、なんか、街の人が『"はんらんぐん"が現れたー!』って叫んでたんだよ」


 トーマの言葉を聞いて、財布を見つけ出し、お金を払おうとしていた男の手が止まる。


 「おい、さっきのチビより背が高いボウズ。それはどの辺りで聞いた?」


 「え?そんなの覚えてないよ!裸好きな人。」


 「ちょっと待て。なんで今の言葉でトーマが答えてるんだ??」


 「???なんでって、逆になんでわからないの?」

 

 「お前えぇぇぇぇぇぇ」


 今にも殴り合いの喧嘩が起きそうなところで、男が1本ずつ肉串を2人に投げる。


 「覚えてないならしゃーねえな。"上"から探すか。教えてくれてありがとな。ほれっ、それは礼だ。」


 男が感謝を述べながらしゃがむ。そして、脚に力を込めると一っ飛びで、建物の屋根に飛び乗った。


 「はんははひふ(なんだあいつ)!?ほーは、ふいへほうへ(トーマ、ついてこうぜ)!!!」


 「食べるか喋るかどっちかにしなよ、、それに、僕らはあそこに乗れるほどのジャンプ力がないよ・・・」


 「ゴクンッ。それなら、"これ"を足場にしよ。」


 アルバは頬張っていた肉串を飲み込むと、家の屋根と自身の間に能力(スキル)である"手"を出し、"手"の平に飛び乗った。

 

 「ちょっと待って・・・・!」


 続いてトーマが飛び乗ろうとするも跳躍力が足りない。空を切りそうなところで、アルバが手を貸す。


 「あっぶな!」


 「ははは、、ありがとうアルバ、、、」


 「うん!てか、これに乗ったまま上に行けるじゃん!」


 アルバはそのまま"手"を屋根の上まで動かす。


 「んー?おー、まだ見えるところにいる!」


 アルバ達が上に行っている間に、男は目星のものを見つけると屋根伝いで飛び跳ねて行ったが、微かに見える後ろ姿をアルバは捉えていた。


 「行くぞっ!!!何処かに掴まって!」


 「掴まる??何をしよ・・・ぎゃ!」


 トーマが何か言いかけたところで、アルバは"手"に乗ったまま、"手"を動かし男を追う。


 「トーマ!すごいすごい!俺達空飛んでる!!!」


 「はっ、うん!すごいけど、、すごいんだけど!!僕をちょっとは見てほしいかも!!」


 急な発進の為、なんとか振り落とされないでいるトーマの声は興奮しているアルバには届いていない。


 もう少しで追いつきそうなところで男の姿が見えなくなる。どうやら下に降りたらしい。


 アルバが"手"を停止させ、下に降りた男を上空から見つめると、何やら人と話して、肩を落としている様だった。


 「なんかあの人止まったね、トーマ。よし、じゃあ降りるぞ!」


 「はぁー、はぁー、う、うん。そう見える様な、、ん?降りるって??」


 アルバはそう言って"手"を解除した。空中に足場が無くなり、2人の少年が空中から落下する。


 「うわあぁぁぁぁぁぁあ」


 トーマの絶叫が空中から響き渡る。


___________________________


 上裸の男は茶髪の少年が話していた『反乱軍』が起こした騒動の中心場所まで辿り着いていた。


 しかし、男がたどり着いた頃には、もう犯人達は掴まっていた。


 「まーた、トルキナのおっさんかよー。いつも、早すぎるんだってえーー」


 そう言って肩を落とす上裸の男の視線の先には、皺が目立ち、左眉の辺りから右下の頬まで削られている顔の半(・)分(・)がない男が集団の先頭に立っており、騒動の首謀者らしき犯人を捕らえていた。


 「うわあぁぁぁぁぁぁあ」


 上裸の男が落ち込んでいると、何故だか上空から聞こえる声が聞こえたので、上を見上げる。すると、少し前まで話していた2人の少年が落下してきていた。


 ドオォォン


 衝撃音の後、何もない場所に落下してきた少年達が、何事もないかの様に起き上がる。


 「うーん。この降り方はまずかったかぁ。」


 「ねぇ、アルバ。もう、騒ぎを起こすなって言われたこと忘れたの???」


 「いや、忘れてねーよ!!こんな激しくなるとは思ってなかったんだよ!!」


 突然現れ、喧嘩しそうになっている少年達を見て、上裸の男が先ほど見つめていた集団は戸惑っており、上裸の男は笑っていた。


 上裸の男は取っ組み合いをしそうになっている少年達に近づき、目の前で座り込む。


 「ハッハッハッ!!お前ら俺を追ってきたのか!!しかも、その若さで魂力を扱えるとは!!お前ら、名は何という?」


 小さい方の少年が男の問いに反応する。


 「..アルバ。俺はアルバ!こいつはトーマだ!あんたは??..です。」


 「俺か?俺はルテウス・フォルティム・ル(・)ス(・)ラ(・)グ(・)。よろしくな。」


 「え、、ルスラグって、、」


 ここはルスラグという国の首都ラドミニシア。


 この場所で彼らは出会った。


 けれども、この巡り合わせがこの都市の結末を書き換える奇跡とはならない。


 なぜなら、彼らの足元にある歴史は、既に破壊という未来に向かって加速し始めているのだから。

 

12話どうだったでしょうか?面白いと思っていただけると幸いです。面白いと思っていただけたなら、是非とも次も見にきて欲しいです。


後、流石に更新頻度上げます。すみません。

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