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その旅の果てに 〜世界を巡る彩色録〜  作者: 浦島 晴次郎
1章 同泥の国編

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11/14

11.到着後に

11話です。楽しんで頂けると幸いです。箸休め的な回です。


 重厚な鉄格子を備えた商館の門が開かれ、商隊を乗せた荷車が中庭へと滑り込む。

 長旅の土埃を纏ったフラーテが荷車から降り立つと、そこには商館を預かる支配人と、現地スタッフたちが整列していた


 「若様、長旅の大任、誠にお疲れ様でございました。ご無事の到着、館の者一同、心よりお待ち申し上げておりました」


 「僕の留守中、館の維持ご苦労だった。皆、よくやってくれているようだな。..さて、まずは、彼らの労いだが、手配は済んでいるか?」


 フラーテは荷車の方へと目線を向ける。


 「はい。すでに準備は出来ております。また、厩舎にて、ラパの世話の引き継ぎも待機しております。」


 「流石だ。」


  フラーテが支配人の言葉を聞き、隊のメンバーに指示を出す


 「よし、まずは皆、お疲れ様。ハーパラ(支配人)が労いの場を設けてくれたため、しっかりと体を休めるように。その後は、各白いつも通りに動いてくれ。だが、細かなことでも良い。報(・)告(・)は忘れるなよ。」


 フラーテの言葉の後、商隊のメンバー達は控えめな歓声を上げ、館の中へ入っていき、アルバ達も後ろから彼らについてゆく。


 その姿を見届けながら、フラーテがハーパラと会話する。


 「この国における僕の持っている情報と、お前達が集めた情報の擦り合わせ及び、今のこの国の情勢を知りたい。今すぐに、僕の部屋まで来てくれ。」


 「畏まりました、若様。ですが、長旅でお疲れでしょう。準備もしてありますので、今宵は旅の疲れを、、、」


 「僕はこの後も様々な準備に忙しい。だから、こういった事は行える時に行いたい。休むのは全ての仕事を終えた後にだ。」


 そう言って、フラーテは異次元袋を両手で抱え、部屋の方へと向かっていった。その後をハーパラも追っていく。


 商館の中では、ささやかな宴が行われていた。


___________________________



 アルバ、トーマ、エルレの3人は誕生日にも食べたことのない食事と、久しぶりのお湯を浴びた後に、ロニのいる部屋へと来ていた。


 トーマが扉をノックする。


 「すいません、ロニさん。いますか?」


 だが、応答がない。

 今度は、アルバが大きくノック音をたてる。

 

 すると、少し間を開けて扉が開く。

 そこには、いかにも眠そうなロニが怪訝そうな顔をして、頭を掻きながら立っていた。


 「あ゙ー、なんだお前ら。俺は夜の警備担当だから、寝たいんだ。飯が欲しいなら、リーンあたりが隠し持ってるから盗みにでも行け。」


 「えーと、そうじゃないんです。フラーテ様の指示した『いつも通り』が僕たちは分からなくて、、、他の人たちに聞いたら、お前達はロニさんの担当だって聞いて、、」


 ロニはトーマが何を言いたいのか理解した。

 彼は護衛統括。そのため、トーマ達が護衛見習いといった立場であっても、指示を出さなければならない。


 これはあらかじめ行う必要があった行為である。

 

 元々、責任感が強い彼はこの商館が雇っている常駐の警備兵との兼ね合いを考え、頭を懸命に働かせて、配置を指示、、指、、、、あ!すごく眠そうだ!!!


 「よーし、分かった。今考えた。お前らは自由だ。うん、自由。以上。俺は寝る。」


 どうやら眠気が勝ち、色々と面倒くさくなったらしい。


 半目だけ開きながらそう言った瞬間、ロニはパタリと扉を閉めてしまった。

 以降はいくらノックしても彼は出て来なかった。

 

 トーマ達は困惑から扉の前で立ち尽くした。


 「自由って言ったって、、どうしよう?」

 「普通に好きにすればいいんじゃないか?」


 「好きにって?」

 「街中を探索したり、寝たりとか好きにすればいいんじゃね?」


 「うーん、でも、皆何かやってるのにいいのかな?リーンさんとかキンチさんとかにも聞いてみようよ。」

 「えー、トーマは真面目だな。」


 2人が会話していると、その会話を黙って聞いていたエルレが割って入る。

 

 「私もトーマと同じで、リーンさん達に会いに行くの賛成〜。」


 「まじ?エルレもかよ。」


 「どこかへ行くにしろ、リーンさん達とかに報告して行った方がいいでしょー。どっかの誰かさんみたいに、勝手に大変な目にあったら困るしね〜。」


 「うぐっ、それも、、そうだな。」


 かくして、3人は商館内を動き回りリーンたちを探し始めた。

 

__________________________




 「さっきも食ったけど、うめえ!この肉!!」


 「でしょ、でしょ。ほらあんた達も遠慮しないでいいから!!」


 さっきのご飯で出された肉が、僕らの前にある。アルバとリーンさんは美味しそうに食べており、僕とエルレは手をつけていない。


 はあ、なんでこんな事に、、、


 とても短い回想にでも入って、気持ちを紛らすか、、

 


 えーと、確か、僕らは捜索を始めると、割とすんなり、リーンさんを見つけることが出来たんだ。


 だが、何か様子がおかしかった。


 リスの頬のように不自然に膨らんでいる腹。

 野犬のような鋭い眼光。

 達人の如く辺りを警戒しながら、忍足で歩くその姿は、、うん、見たことがある。


 盗んできた物を隠すアルバがたまにあんな風になる。 


 なんか、、リーンさんのそんな姿を見たくなかった気がする。


 「あれ!リーン..さんじゃん!そんなところで何してるの?..です。」


 「ちょ、、あんた馬鹿!!何大きな声出してんの!?"アイツ"に聞こえたらどうすんの!?」


 リーンさんは勢いよくアルバの口を片手で塞ぐ。もう一方の腕は、膨らんでいる腹の下をずっとキープしている。


 そして、リーンさんは辺りを見回して、何もなかったのかほっと胸を撫で下ろしていた。


 「で、あんた達セットで何してんの?あ、あんま大きな声出さないでね。」


 僕はそこで、事情を説明したんだ。その間、リーンさんは服の中から食べ物を出して、頬張っていたような気がするが、見て見ぬ振りをした。


 「はふほろね(なるほどね)。..んっん。まあ、ロニさんが自由と言ったなら、好きに過ごせば良いんじゃないかしら。」


 「やった!!!」


 「ただし、今までの時間と違って午前に鍛錬を行うから、そこには必ず居なさい。後、街に出るのだとしたら、必ず一報入れてから出て、12回目の時鐘が鳴る前に帰ってくる事!そして、何よりも重要なのは、、」


 リーンはアルバの方へと視線を落とす。


 「問題を起こさない事!!あんたら見習いといっても、ツガーフ家の一員なんだから、それを肝に銘じなさい!!分かった?特にそこの黒髪!!」


 「分かった!!..です!」


 お腹の不自然な膨らみがなければ、格好ついたんだけどな。その状態で言ってもなぁ、なんて思ってたら、リーンさんが突然、何か思いついたような顔をした。


 3週間という短い付き合いだが、それでも分かった事がある。それは、リーンさんは感情や考え方がめちゃくちゃ顔に出るということだ。


 だからこそ分かる。あの顔は何か思いついた顔だ。

 そして、このタイミングは何かロクでもないことのような気がしてならなかった。


 「とはいっても、今日はもう時間だし・・。あんた達これから暇よね?ちょっと私について来なさい!」


 そして、今の自分の服から出した肉を僕たちにしきりに勧めてくる状態に至るというわけだ。 


 はい、短い回想は終わり。


 そんな事を考えていると、横からエルレがコソコソと小声で僕に話しかける。


 「多分、リーンさん。あたし達を共犯者にしたがってるよねー?」


 ああ、そういう事か。なんか鼻息荒くしながら、勧めてくるなって思ってたけど、怒られた時に、自分だけにその矛先が向かないようにしてるんだ。


 って事は、やっぱあれ、盗んできたものなんだ。しかも、ちゃっかりリーンさんの取り分だけ異様に多いし。


 僕、リーンさんのこと誤解してたよ。


 ていうか、うわ、、なんかめっちゃこっち見てくる....


 僕たちは使われていない部屋にいたのだが、リーンさんの後ろのドアが音を立てて開く。


 「やっと、見つけたぞ。女ゴリラが、、てめぇ、その歳(※おそらく20歳)になってもまだそんな食い意地はってんのか!?」


 キンチさんが怒りながら部屋に入って来た。リーンさんの言ってた"アイツ"とはキンチさんのことだったらしい。


 「違うの!アルバ君がどうしても食べたいっていうから!!!」


 この言葉を聞いた3人の様子を見てみると、


 冷ややかな視線を送るトーマ!

 気にせず肉を食べ続けるアルバ!

 気づいたら姿が消えているエルレ!


 と三者三様な反応があった。


 そこに、リーンの皿にまで手を伸ばそうとしているアルバにキンチが問いかける。


 「おい!アルバ!その手を止めろ。それは、この館の食料(もん)だ。で、この食い意地がはったゴリラが言ってる事は本当か?」


 「誰がゴリラよ!!!」


 リーンは何か喚いているが、キンチには田舎で聞き慣れたコオロギの鳴き声のように、耳には音が届いているが、脳が声としての処理をしていなかった。


 「いや、リーン..さんが一緒に食べないかって、誘って来たよ..です。」


 「やっぱテメェじゃねえか!しかも息するように嘘つきやがって!!こっち来い!!!」


 「ちょっと!何アルバ君のいう事は信じて、私のことは、、アダッ!ねぇ何してんのよ!」


 キンチはリーンを引っ張り、引き摺りながら扉の外へ出ていった。


 部屋の中には2人の少年と、皿の上に乗った肉が取り残されていた。


 「なあ?これ食っていいと思うか?」


 「....流石にダメなんじゃない?」


 こうして、彼らはラドミニシアに着いてからの1日を終えた。

11話どうだったでしょうか?面白いと思って頂けると嬉しいです。面白いと思っていただけたなら、是非とも次も見に来て欲しいです。


投稿が空きました。すみません。

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