10.ようこそ!ラドミニシアへ
10話です。楽しんで頂けると幸いです。ただ、区切りがおかしいです。すみません。初めの部分は9話に入れるべき内容でした。次からは気をつけます。
「僕の商隊の護衛でありながら、なぜそんな危険を犯した!?第一、君は雇用関係という者がわかってるのかい?」
「まだ、正式ではないがの。」
「...それにしたって、異郷の地でどこかへ行くときは、まず連絡をだな、、、」
「まるで親じゃな。」
「...シサムさんは口を挟まないでもらえます?話が進まないので。...それで、君はだな・・・・・・」
フラーテにより、こってり叱られたアルバは、朝早く商隊が移動する前から疲れが顔に出ていた。
魂力を使うと、身体能力の他、自然治癒力も上がるため、アルバは、身体を動かすと痛みは走るが、歩けるまでには回復していた。
「おう!アルバ。昨夜ぶりだな。フラーテさんにきつく絞られてたが、その様子だと他の奴にもなんか言われたのか?」
横から朝の準備をしながら、キンチが横から話しかける。
「朝起きた時に、トーマ達2人と、後リーン..さんにも怒られたんだ..です。」
「ハッ、まぁやんちゃなことしたからな。元気出せよ!」
キンチが優しく肩をポンポンと叩きながら、励ます。
「俺、キンチ..さんの事、少し誤解してたよ..です。」
「?てめぇ、それどういう意味だ?もっと疲れさせてやってもいいんだぞ。」
「あー、えっとそれは、、、」
「ちょっと!!!あんた達、いつまでそこで立ち話してんのよ!朝は時間がないんだから、さっさと動く!!」
リーンに助けられたアルバは、さっさと動くことは出来ないので、自分のペースで荷運びを済ませた。
リーンの近くにはキラリがいた。
この2日間、キラリの主な見張りはリーンがしていたが、特段目立った行動はとっておらず大人しくしていた。
仕事以外で、面倒事を起こしたくないのだろう。リーンとの会話も極力少なく済ませて、あまり周りの人達とも関わらないようにしていたらしい。
そんなキラリを端目に置いて、出発する時間の数刻前に、アルバは狩人が寝ている場所へ寄る。
朝早いので、無事な事を確認してから、出発しようとしていたアルバは、こっそりと部屋へと入ると、狩人はベッドの上で起きて、窓の外を眺めていた。
「ああ、君か、、なにかな?君たちはもう直ぐ出発するだろう。」
「いや、ちゃんと生きてるかなーと思って..です。」
「心配してくれたのか。ありがとう。..あぁ、君に伝えねばならない事がもう一つある事を思い出したよ。」
「なに?..です。」
すると、狩人は身体全体を動かそうとしたが、激痛により、動かす事ができなかったので、頭だけでアルバに向かって深くお辞儀をした。
「済まなかった。君と出会った時、俺が引き返す判断をしていれば、君をそこまでボロボロに、、ボロ、、」
想像より傷ついていなかったのだろう。狩人はアルバを2,3度見してから、咳払いをする。
「んんっ。言い訳にはなってしまうが、君が魔獣を追い払ったのを見て、ある種の安心感に浸っていたんだ。『魔獣が降りてきている』という異常事態が生じていたのに、頭を働かせる事をしなかった。その結果がこれだ。申し訳ない。」
狩人は言い終えると、もう一度深々と頭を下げた。
「いーよ!全然!着いて行ったのも、助けたのも、俺がしたい事をしたんだ..です。だから、おじさんが謝る必要はない..です。それに2人とも、こうして話せてるんだ。それでいいだろ!..です。」
「少年よ、感謝する。君は小さいが、俺が思っていたより幾分か大きいようだ。あぁ、そうだ。最後に君の名前を聞かせてくれ。」
「アルバ!俺はアルバって名前だ!..です。おじさんは?」
「俺はウェナトールという。そうか、アルバか。良い名だな。」
トーマがアルバを探す声が聞こえる。商隊の出発時刻が目前まで迫っていたようだ。
「じゃーね!おじ..じゃない、ウェナトール..さん!元気でね!」
「ああ。アルバ、君もな。君の旅路が良いものであるよう、祈るとしよう。」
そうして、僅かな硫黄の香りが漂う村を少年は発った。
彼の頭はもう、次に辿り着く街に思いを馳せている。
後2週間程、ラパを走らせるとフラーテの商隊の目的地であるルスラグに到着する。
そこには、まだ見ぬ何かが彼を待っている、、かもしれない。
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アルバ達がリサグ村を出発した1週間後、彼らはキラリの目的地であるラガールに着いていた。
リサグ村とは違い、活気のある少し大きな街。ルスラグの首都に近づいてきている証拠である。
道中の荷車内では、変わらずシサムがキラリの横に張り付き、キラリとフラーテが一方的な問答を交わしていたが、そのどれものらりくらりと避わされて、彼女から特別な情報を吐き出すことは叶わなかった。
唯一、彼女が溢したことと言えば、ルスラグの首都近郊には、何やら大きな賊軍がいて少し過激な事も行われているらしい、という事だけであった。
そんな事はもちろん、フラーテも知っていたので、ただの情報の擦り合わせにしかならなかったのだが、実りのある擦り合わせとも言える。
別れる前の3日間は情報の入手を諦め、彼女の仕事の後に手元に置けないか画策し、横にはシサムではなく、同年代の同性であるエルレを置くなどしたが、どれも失敗に終わった。
「ツガーフ家の方々、ここまで送ってくださり、ありがとうございます!皆さんと話せて嬉しかったです☆ 」
「こちらこそ有難う。約束通り、君とはここでお別れだ。もし良ければなんだが、君の言う仕事が終わった後、ツガーフ家の方で君の仕事に関して斡旋する事もできるが、、どうする?」
「大丈夫です!お気遣いありがとうございます☆」
最後まで丁寧だった彼女は、そのまま別れを告げて、街の喧騒の中へとそそくさと消えて行った。
「はぁー。」
「流した魚は大きそうじゃの。」
「でも、あれ以上のこと出来ます?もう少し手荒な真似をしてもよかったかな...。でも、道を大きく外れたくはないしな、、」
「あそこまでの胆力があると、見抜けなかったのお、坊よ。」
「はぁー。」
そんな会話をしているフラーテ達をよそに、エルレは街中に消えていくキラリを見てとある事を思い出していた。
それは、リサグ村でのリーンとキラリと共に温泉に入っていた時の事である。
エルレは、彼女が服を脱いだ瞬間に、彼女の背中に焼き跡のようなものを見たような気がしたのだ
その時、エルレが2度見をすると、その焼き跡は彼女のどこにも見当たらなかったので、気の所為だと自身を納得させた。
その焼け跡も一瞬しか見る事が出来なかったので、形も余り覚えてはいない。
「(なーんで、今こんな事思い出すんだろ〜?キラリちゃんが寝てる時も、気になって背中を覗いたけど何もなかったのに〜)」
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ラガールの喧騒を抜け、少し裏道に逸れてから、幾許か歩いた先にある、淀んだ空気の裏路地に入り、階段を下って目の前にあるドアをノックする。
「合言葉は?」
「なにそれ?そんなのないでしょ★」
「かぁー、相変わらずノリが悪いな。ソレアは。」
その言葉と共にドアを開いたのは、ロニと同じような年齢の中背中肉で、所々白髪が入り混じる短髪の男。
だが、男はロニと違い、くたびれた社畜の顔ではなく、生き生きとした表情をしている。無精髭もロ二と違い生えていない。
そして、その男と対面するはキラリと名乗っていた桃色髪の少女。
少女は中に入り、散らかった物をどかして、椅子に座る。
「ていうか、ソレア。お前、ここに着くの早くないか?後5日後に集合予定だったろ。」
「親切な商人の方に送ってもらったの★」
「商人?お前何か余計なこと話していないだろうな。」
「私が話すと思う?」
「それもそうだな。いやー失礼。失礼。」
キラリ、、もといソレアは男と話している最中、作り笑いの笑顔すら見せずに、ただ冷たい表情をしている。
「そういえば、小耳に挟んだのだけど、ディーが山の中を徘徊してたって本当?」
「ディーアの野郎がか?あいつの管理は、アイベルに任せてるんだが、、あいつ、ディーアの大事さ分かってんのか?」
「さあ?でも、回収されたらしいよ★」
「そうか。ならいいんだ。」
よく見ると、男の手の甲にはとある焼印がある。
その焼印は、下部には、弓なりに太い爪が大きく湾曲し、それぞれの先端には鋭い矢印のような返しが付けられており、その太い爪の中央から伸びる棒の頂部には、逆階段上に3段のブロックが積み重なっている、まさしく"傷の証"である。
「それより、今回の依頼内容は?」
「あぁ、俺の知人からの依頼でな。なんでも、ラドミニシアに混乱をもたらしたいだとか。」
「確認なんだけど、ラドミニシアってルスラグの首都のこと?」
「それ以外に何かあるのか?」
「そうだよね。それなら、1つ不穏分子があるんだけど、、」
ソレアにも情や恩を感じる事はある。だが、彼女は依頼達成の為、彼女自身の目的の為に、その情や恩を捨て去る事が出来る。
なぜなら、彼女の背中にも傷の証が存在するのだから。
「ツガーフ家がその国に商売しにくるらしいよ。しかも、その中にとびきりやばいお爺さんがいるの★」
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キラリ、、ではなく、ソレアを送り届けたアルバ達は、その後何事もなく、平和にルスラグの首都に向かっていた。
リサグ村より栄えている街や村をいくつか巡ったが、あの村での出来事のような事件は起こってはいない。
アルバ達は変わらず、すでに慣れてしまった毎日を過ごしていた。
御者が告げる。
「もうすぐ、ルスラグの首都、ラドミニシアに着きますよ。」
その言葉を聞き、アルバが荷車の外へと身を乗り出すと、城壁に囲まれた大きな都市が見えた。
だが、忍んで密かに侵入してた彼の故郷の王都よりは小さいように感じた。
その事を同じ荷車に乗る商隊のメンバーに聞く。
「そりゃあな。アークレムは6大国のうちの1つだからな。ルスラグなんて、アークレムと比べたら小国だせ。」
「へぇー。俺たちの住んでたところって大きかったんだ。」
そんな会話をしていると、ラドミニシアの城壁前に到着する。門の前には人や荷車がそれなりに並んでいた。
「わ!あれ、ツガーフ家だ・・・」
「本当だ、まだここにも来るのか・・・・」
ツガーフ家の荷車が列に並ぶと、周りで並んでいた人が囃し立てる。
こういった声は、今までの街や村でも聞いていたが、ここでの声が1番大きいとアルバは感じた。
身元確認、積荷の申請、税の支払い、武器の梱包などが行われると衛兵達の言葉と共に、アルバ達を乗せた荷車は城門を潜り抜ける
「ようこそ!ラドミニシアへ!」
故郷の王都以外での初めての城塞都市に胸を躍らせていたアルバは都市中を覗く。
そこは確かに故郷の王都よりは小さいのかもしれない。
しかし、その都市は多くの人々が行き交い、整理された綺麗な都市区画には店が溢れ、活気のある声で満たされている。
だが、何かが違う。
ここの様子はアルバの故郷の王都での活気とは全く別のものに見えた。
「(よく分かんねーけど、何でこの人たちは、無理矢理元気を出しているように見えるんだ?。)」
アルバが都市をのぞいている間、別の荷車に乗っていたフラーテと他のメンバーが小声で会話していた。
「やはり、税が高くなっていた。ここに来る途中、ルスラグ内の街や村を観察してきたが、ここが本命だ。この国に今後、取引する価値があるのか今回で見極める。他の者も気になる点があれば、逐一僕に報告してくれ。」
ここは、ルスラグの首都ラドミニシア。小国ながらも繁栄を極め、次の大国入りを最も期待されていた国の象徴である都市。
だが、それはもう10年以上昔の話。かつての景色のみが維持されたこの国で、戦火が巻き起ころうとしている。
灰と化すかもしれない火中であっても、目を塞いだこの国は来訪者を歓迎するだろう。
『ようこそ!ラドミニシアへ!』と。
10話どうだったでしょうか?面白いと思って頂けると嬉しいです。面白いと思っていただけたなら、次も見に来て欲しいです。
前書きでも書きましたが、区切りがおかしくてすみません。次回以降このようなことが無いようにします。
そのため、文字量が少なくなる話数が出てくるかも知れないことをご了承ください




